残滓の反撃
森の静寂を打ち破るかのように、診療所の周囲に微かな風がざわめく。
戦いの後に残された影の残滓――仮面の男の闇の一部――が、まだ完全に消え去ったわけではなかった。
カイは診療所の窓から森を見つめ、深く息をつく。
「……やっぱり、まだ動いてる」
胸の奥に戦いの緊張が蘇るが、その隣には仲間たちの存在があった。
リラはカイの隣に立ち、手を握る。
「大丈夫、カイ。私たちがいる」
その瞳には揺るがぬ信頼と覚悟が宿っていた。
シーナも結界を強化しながら、魔力の刃を調整する。
「残滓は小さくても、油断すれば大きな力になるわ」
ミナトは黙々と武器を整えながらつぶやく。
「……よし、来るなら来い」
その声に、緊張と覚悟が混じっている。
森の奥から黒い霧が再び立ち上がる。
残滓は影の波となって、診療所に迫る。
カイは迷わず前へ出る。
「皆、準備!」
光と闇が交錯し、診療所は再び戦場と化す。
カイは魔力の刃を振るい、影を切り裂く。
リラは光の魔法で味方を支え、シーナは結界で影を封じる。
ミナトも力強く剣を振り、影を押し返していく。
影の中心に、仮面の男の面影がわずかに浮かぶ。
その目は冷たく、しかしどこか哀しみを含んでいるように見えた。
「……奴の力、完全には消えてない」
カイは拳を握りしめ、仲間たちを見渡す。
「でも、俺たちは一緒だ。絶対に負けない」
戦いは続く。影は力を増し、光は一層強く輝く。
カイと仲間たちの想い――信頼、友情、覚悟――がぶつかり合い、診療所全体が光と闇に包まれる。
夜空に輝く月光が、戦いの場を柔らかく照らす。
影の残滓はまだ消えていない。
だが、カイたちは恐れずに立ち向かう――
守るべき未来と仲間のために。




