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中学生組は初々しい

金髪ブロンドさんの正体も謎のまま、俺は帰路についた。金髪ブロンドさんの婚約者って、誰?しかも俺が自分の写真送りつけるナルシストみたいになってたのは一体何だったんだ…?


「ただいまー」


玄関の扉を開けると、妹のスニーカーと、もう一足。男物のスニーカー。

………。

俺は、一瞬、虚無った。


ああ、はいはい!仲がよろしくてようござんすね!こっちはめちゃくちゃなことになってんのに、中学生組は順調そうで羨ましいこった!


……あはは、なんてね。

俺は良いお兄ちゃんだから、そんなこと思ったりしないよ。


俺はリビングへと続く扉を開けようとしてーーーーー


何やら、男女のきゃきゃしてる声が聞こえてきた。

俺の妹の(すい)と、来海の弟である和泉の声だ。


『も、もう。和泉たら、お兄ちゃん帰って来たらどうするのよ』

『大丈夫だよ翠ちゃん。碧兄ちゃん、毎週この時間部活でしょ?まだ帰って来ないって』

『でも、こんなとこ見られたら恥ずかしいよ……』

『大丈夫だって〜。それより、翠ちゃん続けるよ。もっと中入れちゃうけど、大丈夫?』

『優しくして……入れるときは、優しくね……』

『うん、じゃあ、入れるね………』


おぅおおおおお!!!!!!!


待て待て待て待て待て!!中学生組何してるの!??

今、リビングで2人で何してるの!??


もしや、俺より何歩先も大人になろうとしてるのか……?

いや、まさか、そんな………!!


翠も和泉も、俺よりよほど常識的だ。

『碧兄ちゃん帰ってくるかも』のスリル状態でそんなことするはずは………


『……っ、ん、い、痛い…和泉……』

『あ、ごめん翠ちゃん!ちょっと奥に入れすぎちゃったよ。ごめん、痛かったね。もう、やめておく?』

『ううん。続けて……でも、優しくして…?』

『うん。優しくね』


のぉぉぉぉ!!!!!!!!??


俺は頭を抱える。耳を塞ぐかどうか迷った。


落ち着け、落ち着くんだ俺……っ!!!

絶対何かが間違ってるんだ。俺がたった今頭の中に浮かべてるようなことは、決して行われてるはずはないのだ。

まだ翠と和泉は付き合ってないらしいし、和泉にはちゃんとした教育をしている。付き合ってからならまだしも、そんな事に及んでるはずがない!!


兄として、2人を信じてやらなくてどうする。


『ん……和泉、慣れてきた?上手……気持ちいい』

『ほんと?翠ちゃんにそう言ってもらえると、嬉しいな』


駄目だぁぁ!!!!!!

どうやってもそういう感じに聞こえてまうぅ!!!


床に崩れ落ちた。その間にも妹と義弟の甘々な声が俺の耳へと届く。


来海………。

どうしたら…俺はどうしたらいいんだ。

俺たちの妹と弟が、たった今、とんでもない男女のステージに居るのかもしれない……!


兄はどうすればいいんだ、中学生組よ!!


俺は意を決して、リビングへの扉をそぉ〜…と開く。物音1つ立てないよう、細心の注意を払い、隙間からリビングを覗いた。

そして、見えた光景はーーーーーー。


和泉の膝の上に、翠が頭を乗せていた。翠は頰を和泉の膝に当て、リラックスした状態。

和泉が棒で、翠の耳の中をかきかき。


「翠ちゃんどう?ここは痛くない?」

「うん。大丈夫」


「耳かきかよ!!」

そんなことだろうとは、思ってたけどね!?

ちゃ、ちゃんと俺は信じてたぜ、マイブラザーアンドシスター!


俺のツッコミの声で、2人がリビングの入り口に立っていた俺の姿に気付き、驚いた声を上げる。

「お兄ちゃん!?」

「あ、碧兄ちゃん!?」


急に和泉の膝から頭を離し、勢いよく上体を起こす翠。和泉の方も耳かき棒を俺の見えない位置に隠す。


いや、そんなことしなくても、バレバレだけど…?


しかし、顔を真っ赤にしている初々しい中学生組を揶揄うほど、俺も悪いお兄ちゃんではない。

生温かい目で、うんうんと頷く。


「若人たちよ。恥ずかしがらなくても大丈夫だ。俺と来海も経験済みだから」


まあ、俺の場合は高校生になってからだったけどね?

全国模試のご褒美にしてもらったのだ。あのわさわさされるのが、気持ち良かったのを覚えてる。耳が汚かったら嫌だなと前日に自分で綺麗にしてしまったので、すぐ終了してしまったが。

いつか見せられる勇気を持とうと思った。


和泉は、顔を赤くしながら反論してきた。

「いや、僕たち、そんな堂々と出来ないから!?言っとくけど、碧兄ちゃんとお姉ちゃんはオープンすぎるからね!?普通は、恥ずかしいからね!?」

「大丈夫大丈夫。どうせ俺と同じ道を辿ることになるぜマイブラザー。俺も中学まではどっちかと言うと、恥ずかしがるタイプだったぞ?」

「冗談だよね?」

「いや、マジだ」


和泉は疑惑の目を向けてくるが、本当である。

羽目外すようになったのは、中学2年生あたりだ。

優しいだけ碧くんは閉店し、代わりに全力甘やかし碧くんが開店したのである。来海も昔は俺に甘えるのは、そこまで得意じゃなかった。諸事情で、それを何とか変えさせたのである。


翠と和泉は、まったく信じてない顔で互いを見合わせた。小さく笑う。

「うっそだ〜」

「まあ、信じるか信じないかは自由だ」


…しかし、このタイミングで和泉がうちに来てくれたのはラッキーだ。

ちょうど聞きたいことがあったのだ。

翠には悪いが、ちょっくら和泉を借りるとしよう。


3日後に迫った来海の誕生日の件で、聞きたいことがある。





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