表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/32

合コン⑦

幼馴染の彼氏候補に彼氏確定次第土下座するつもりだった俺。サードンには、俺と彼氏候補の()()()()で対面する場を設けてもらっていた筈が、目の前には合コン中の男女グループ。


つまり。


嵌められたぁぁぁ!!!!


「おい、佐渡ぉぉ…?これはいったいどーいうことかなぁ…??」

俺は佐渡ことサードンにぴくぴくと顔を引き攣らせて、詰め寄る。

サードンはそんな俺の様子もものともせず、ひらひらと手を振った。


「一石三鳥ってやつやで、アオイー」

「はあ?」

「だからな、今日の合コン、男側が1人足らんかったんよ。そんなときに、ぎり4分の3人受け顔のアオイーがオレの前に現れたから、ちょうどいいと思って。これが1つ」

「あの、さっきから褒めてないよなそれ!?」


何だ、ぎり4分の3人受け顔て!ぎりて!

どうせ俺はもう1人の幼馴染の男と違って万人受けするような面じゃないですよ。その辺にいる普通の男ですよ。

あ、アイツのこと思い出したらムカついてきた。

くそ、あんなクソガキイケメンくたばれ。

ロスに永久定住しとけ。


「ああもちろん、アオイーが呼べって言った例の男も、ちゃんとここに呼んでるで」

「それは大変ありがとうなんだけどなぁ……ありがとうなのに、なぁーんで、合コンに俺を呼んじゃったかなぁ……!」


既に震えております。うちの来海王女が何ておっしゃるやら。

もう1人の幼馴染が、どんなに俺を嵌めてこようと避けてきたこういう集まりに、ついに顔を出してしまうとは…なんたる不覚!


俺はその時はたと気付く。

一石三鳥?

「あと1つの理由は?」

「それはな、アオイー……」


言葉が途切れた。

サードンが急に憐れむような目で俺を見て、ぽんと労わる如く俺の肩に手を置いた。

何、何なの!?


「それはなあ、アオイー。…ーーーーー宮野さんという高嶺の花を狙って、現在ほぼ失恋中のアオイーに新しい恋を紹介してあげよーと思って!よしよーし、新しい恋見つけちゃおーぜアオイー!」


な……!?


「しねぇーわ!!何言ってくれてんの!?一生来海ちゃん一筋です俺は!!」

「アオイー〜、もっと現実見てこうぜ。宮野さんはレベル高いって笑」

「知ってるわそんなん!!言われなくても知ってるわ!!いちいち俺の心に塩を塗るんじゃないぞまったく」


サードンが俺の肩を寄せる。


「そんな意地張るなってー!まあまあ〜、分かんないぜアオイー。案外運命の恋しちゃったりして?」

「しないわ。俺は目的果たしたら即帰らせてもらいますー」

「おー流石アオイー。その心意気や。ファイト」

「お前はどっちなの?俺を応援してるの、邪魔したいの、ねえどっちなの?」

「うーん?見てておもしろい方を応援するー」

「く…!何て奴だ……」


食えなさすぎる男だぜサードン。

お陰でいよいよ来海の彼氏と対面するかもしれない不安は減ったかもしれないが。


サードンは俺の肩に手を回したまま、耳打ちする。

「アオイー。先に教えとくと、あの隅につまんなそうに座ってる男が、先月の合コンで宮野さんが帰り際話してた男。いよいよ対決やな」

「……!」


その男は席の隅に座って、確かにつまらなそうにこの空間に居た。隣の女子に話しかけられているようだが、特に言葉を返さずに、無表情だ。

来海という彼女が居るからなのか、それとも元来の気質なのかは、判断しかねる。


俺は軽い衝撃を受けた。


俺は彼を知っていた。


今は高校が違うが、中学が一緒だった。

俺と一緒ということは、すなわち来海とも一緒だ。


何で急に、こんな短期間に来海に彼氏なんか出来たんだと思ってた。

まさか、相手は中学の同級生、なのか……?


守下優斗。

中学時代、俺が生徒会役員でもないのに教師側の目論見により、無理矢理巻き込まれた生徒会に、彼は書記として在籍していた。

俺も彼とは何度も話したことがある。

寡黙だが気遣いのできるいい男だ。


見たことはないが、来海と彼は中学時代にどこかで接点があったのか……!?


そんな、馬鹿な…!


俺は相手が知り合いだったことに軽いめまいがしていると、サードンが俺の肩をがしっと掴んだまま、そのパーティールームに俺を引き込んだ。

そして俺を席にどーん!と放り込んだ。


「さあ、アオイー!今夜は楽しもーぜー?!」


俺はそれどころじゃねぇんだよぉぉぉぉぉ!!!!



ーーーーブー、ブー。


同時に、スマホのバイブレーション。


何だ何だと思ってスマホを開くと、

まさかの来海からのメッセージ。



『碧くん今どこ居るの…?お家に遊びに行ったら、居なくてびっくりした!』

泣いているうさぎのスタンプが送られてくる。


くう、可愛い。

今すぐ帰ってあげたい…っ!!



ーーーーじゃなくて、こっちも詰んでるのかよぉぉ!!!?

来海王女にバレてますやん。


ああ、帰ったら何て言おう………


いや、今はそれより彼氏疑惑の真相を確かめないといけな…………


ぬおっ!?追加でまた来たよ!?

え、寂しい!?寂しいって送られてきたんだけど!

今すぐ帰ーーーーーーー、いやいや彼氏の件を確かめ………



ああ、もう来海ちゃん!!

こんなん、さくっと片付けてくるのでいい子で待っておれ!

秒で片付けてきます。










読んでくださってありがとうございます。

評価とブックマーク、リアクション等でこの作品を応援してもらえると助かります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ