合コン⑤
昨日は酷い目にあった。
授業の合間。
俺は後ろから前の席の颯の肩を揺らした。
「ううー、俺を揶揄わない優しい親友の颯くん〜!俺に会話の主導権握らせてくれる颯くん〜!!」
「………僕貶されてる?」
「馬鹿ヤロー!お前がナンバーワンでオンリーワンの友ってことよ!」
「ああ、そう」
ちょっと笑うだけでさらっとしている颯くん。
だけど動揺したのか、手元がブレて机からノートが落ちる。
うん、好き!
サードンはいい加減にしてほしい。颯を見習え!
「……あ、そうそう。合コン主催者の、佐渡くんだっけ?メッセージ来てたよ」
「お、仕事が早いじゃないかー、サードン」
「サードン?」
「気にするな。アオイーに対抗して仕方なくだ」
「アオイー……?」
颯が鞄からスマホを取り出す。
幼馴染の来海が現在俺のスマホの巡回強化週間かつ、来海にバレるわけにはいかない事案だったため、颯に代わりにサードンとは連絡を取り合ってもらっている。
サードンとは、先月に来海がやむなく参加した合コンの幹事。
俺はサードンから情報を貰い、来海の彼氏かもしれない男をいよいよ特定しようとしていた。
颯はスマホのロックを解除して、トーク画面を開いた。
「アイツ何て言ってた?」
「……えーと、ほら」
颯が机の上に置いて、スマホの画面を俺にも見せた。
『今週の土曜日、決行』
シンプルにそうとだけ書かれてある。
「………土曜日がずっと来なければいいのに……あゞ、憂鬱に染まる我が魂。時の進みは非常にして、我の感情に非情なる……」
「どうしたかな急にイタイポエム読みだして。何があるの今週の土曜日に!?」
「はあ、俺は何が悲しくて自分の脳を破壊しに行かなくちゃならんのだ……」
「だから何があるの今週の土曜日に!?」
颯よ。
今週の土曜日が、来海の彼氏候補との直接対決、パート2なのだ!!
しかも、最有力候補ときている。
俺はマジで、割と重い俺の来海への愛さえも凌駕した狂気の男といよいよ対面することになるかもしれない。
土下座したら、許してくれるかな……
何てったって、浮気したら彼女に婚姻届書かせたり軟禁したりする可能性のある男だ。
来海の話を出した途端、彼と話が通じなくなるかもしれない。
心してかかるのだ、俺。
和の心で、処されるのだけは回避するのだ!
殴られる覚悟はできている…!!
「颯……」
「うん?」
「もし俺がやられたら、骨は拾ってくれよ……」
「いや、だから何があるの来週の土曜日!?」
「俺の最後の日かもしれない……」
「はあ、あー、宮野さん絡みだと、本当暴走するよね碧は……」
はああああ、と颯に溜め息を吐かれた。
解せぬ。
はああ……。
この憂鬱を紛らわすには、何か楽しいことでも考えていなくちゃ、やってられない。
うーん。
ああ、そうそう。
実は、今日はとても楽しみなイベントがあるのだ!
俺は机に片肘を立てて、頬杖をついた。
「ところで、颯くんや」
「何だい」
「今日の午後、来海のクラスが調理実習なんだがーーーーーーどう思う?」
「……え?何?いきなり何の意見を求められてるの僕は」
俺は、非常に悩んでいた。
「ーーーーー幼馴染のクラスの調理実習に混じるのは、アウトだろうか?その……彼氏いるっぽいし。今学期はやめとくかぁ……。でもなあ……」
「っ、いや!?彼氏持ちとか関係ないからぁっ!?他クラスの授業に交じるのが、そもそも駄目ですから!!?無断欠席!!まじで何言ってんの!??」
「1学期は上手く行ったじゃないか!」
「いや後日バレて担任にしこたま叱られたのをもうお忘れかこの幼馴染狂はぁぁっーーーーーー!!!??」
颯が叫ぶのを俺は聞き流した。
うーん、
彼氏いるから、やっぱ駄目かなあ………。
調理実習に参加するのは、浮気ですか。
作者、何個か他にも連載書いてるんですけど、最近『塩系彼女の本音が〜』の方が日間ランキング高くてたまげた……!
夏目朝日は頑張ってるが、大倉碧も頑張ってくれぇ!
すみません。訳のわからない方はスルーしてもらって大丈夫です。本編と全く関係ありませぬので。
ということで、皆様高評価とブックマーク、リアクションでこの作品を応援していただけると幸いです。
頑張って執筆するぞ!




