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合コン③

来たる、来海の彼氏候補との直接対決パート1。

場所は、駅前のファストフード店だった。

彼は他校生らしく、うちと違って紺の学ランを着用しているとのことだった。

それらしい人物を見つけて、肩を2回叩く。


「昨日はどうも。連絡返してくれて助かったよ」

「おお……これはなかなかに……」

「俺の顔、何かついてる?」

まじまじと俺の顔を見てくるので、何だ何だと思う碧くんである。

合コンを主催するなんてどんなパーティー・ピープルかと思ったが、目の前の男はどちらかというと真面目そうだった。まあ、雰囲気が陽だ。


俺はドリンクをテーブルに置いて、彼の隣に座る。

「初めまして、大倉碧です」

「どーもー。佐渡大地です。よろしくな」

自己紹介をする。


フランクに話そうな、みたいなタイプだったんで、俺も口調を砕く。

「連絡した通り、今日は合コンの時の様子を聞きに来た。頼める?」

「おー、初めてだわー。好きな子が合コン参加してたから話聞かせろって。行動力すごいね、めっちゃ好きやん」

「おう。正直好きを超越してる。一般論じゃ語れない」

「ほー、ほー。あつい!オレそういうの好きなんよな。他人の恋愛見るの…まあ、おかげで自分は彼女出来ないんだけど……何でかな……」

「はあ、俺は猛烈に抗議したい!!そもそも何でこの合コンは行われたんだ佐渡くんよ」

「あ、拾ってくれない感じね。オッケー」


俺の圧に押されて、佐渡は件の合コンが行われた理由を話し始める。

「主催者って言っても、始めたのはオレじゃなくて。山上っていう男が、そっちの学校の女子の1人と取引して。何でも、お互いの好きな人を連れてこさせろ的な。山上はそっちの学校の……すごい美少女だったな…名前は」

「ああ、なるほどね。そこで来海ちゃんが出てくるのねー」

「来海ちゃん…?ああ、確か下の名前そうだったな。宮野さんね」

「…っ、え!え〜!俺、佐渡くんとは仲良くなれそう!山上はガチで許さないけど!」


これこれ〜。安易に下の名前呼んじゃわない真面目感よ。俺も仲良くなってから名前呼ぶ派だから。

来海を下の名前で呼ばなかったことに、佐渡くんの好感度ぶち上がりよ。


「……ああ、分かった、分かってしまったわ……ほほーん。宮野さん狙いかー、すごいとこ狙うね」

「だろー?来海ちゃんは、最高だぜ」

うちの幼馴染が褒められて、まるで俺が褒められた気分になる。

誇らしい。


「うーん、ちょっと話通じなそうでおもろい。…あ、話続けるな。それでその山上に頼まれて。他のメンバーはオレが集めることになったのよ。オレは発案者じゃなくて、幹事ってところかな」

「ほうほう」


やっと件の合コンが行われたバックグラウンドが見えた。

山上のせいである。

諸悪の根源は山上である。


ずず、とストローで佐渡が吸うと、氷が下に落ちた。

「宮野さんねー、何か合コンの話聞かされてなかったみたいで居心地悪そうにしてたの覚えてる。でも引き止められて。序盤から帰るのも悪いと思ったみたいで居てくれたんだけど、途中で理由つけて帰っちゃった」

「おお…?そうなのか」


何か想像してたのと違うな?

俺はてっきりその合コンで長年の俺との愛を覆すほどの男に、運命的出会いをしちゃったのかと、思ってたんだが……。

すうー、……あれ……?


「ちなみに山上は?」

「見事に玉砕してたわー、宮野さん微笑んでるのに、めちゃくちゃ気のない感じが伝わってて、流石の山上も諦めてたね」

「……ほう、はあ」


俺もずず…とドリンクに口をつける。ストローを咥えたまま、頭をフル回転させた。


あれー……。

何でだー…?

絶対合コンだと思ったのに、振り出し……!?


いや、違う。


来海狙いで合コンを発案したのは山上だが、当日に来海を狙っていた男子が山上だけだなんて誰も言ってない。

あのレベルの美少女が居て、ロックオンされないわけがない!


「なあ佐渡ぉ……、その場に来海狙いは何人居たんだよー…」

「あー、聞きたい?聞きたくないと思って省略したけど」

「……その中に俺の人生を左右するかもしれない奴が多分いるんだよ!吐けー!」

「ほいほい。…まあ、5分の3かな。オレと、そのもう1人の発案者の女子が狙ってた男以外かな。あ、ちな、そこはカップルになりました」

「くそ、羨ましいな!おめでとう!」


過半数か。まあまあ妥当だ。

来海の魅力なら全員狙ってたかと思ったが、レベルが高すぎて狙えないパターンもあるのか。

高嶺の花だもんな、来海ちゃんは。


その時、佐渡が「あ」と思い出したように口を開いた。

本当に、今思い出したという顔。

俺を気まずそうにちらちら見る。

「………」

「な、何だ……!怖い、何を思い出しちゃったんだ佐渡!聞くのが怖い!でも聞かないと俺の計画が頓挫してしまう…!」

「………あのさー」

「な、何だ…?」


そして、佐渡は、ちょっとおもしろそうに笑った。


な……!


気まずそうにさっきしてたのは、どこ行ったんだよ。

こいつぅ…、もしやこれが本性…?

他人の恋愛見るの楽しいって、もしかして成就する瞬間じゃなくて、修羅場が好き…?


「そういえば…宮野さんが帰った後、すぐに追いかけてた男がいたわー。2人で何か話してるぽかったで、アオイーよ」

「な、な……!」


そいつだぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!!?





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