短編「キムチ鍋」
外気温1℃
天気は雪のち曇り
帰宅して即座にお米を三合炊く
無洗米でいい、だって寒いし
寒くてやる気が出ない。汚い部屋の布団に潜って暖まる
面倒で寒い今日の夕飯は、キムチ鍋
食材をぶち込めば終わり。煮る間は横になっていればいい
鍋の元は市販でいい。適当に選んだスープの元に、趣味で買ってた白だしを少しいれる
白菜。気が短いから煮立つ前に根の方から切れて入れる
少し沸騰させる。
豚バラ。細かいヤツを大パック。
もう切ったりしなくていい。ただ鍋にぶち込む
肉の色が変わる程度煮ている間に、木綿豆腐を切っておく。
エノキ。キノコは鍋の相棒だ
ネギを切って入れる
ニラも切って入れる
後は煮込む。その間汚い部屋でベッドの上で包まり待つ。
吹きこぼれちゃった
でもアヂアヂになるまで煮込んだ。
炊き立てご飯とよそった鍋。
味が濃いめのキムチ鍋はこのコンビ。
口に火傷しそうなアヂアヂの熱量が、旨みと広がる
血が通わない震える身体に、このアヂアヂが広がっていく
冬は総じてクソだが、
この鍋のアヂアヂが快感なのはこの季節だけ
くたっとして味の染みた白菜、薄いのに存在感のある豚バラ、プチプチした食感のエノキ、熱く味の染みた豆腐、青臭さがアクセントのネギとニラ
これが、アッヂアヂの熱と、辛味と旨味で混ぜ合わせて口に放り込む
寒くて神経が痛む最悪の季節、冬
そんな冬が、
「ま、悪くはねぇな」
そう、思える料理
キムチ鍋
冬にやってくる、お手頃な救世主
***