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74話 ダチのレベリングを手伝いに来たハズですけど!? 後編



「い、いやぁ、先程は生配信を中断してしまって申し訳なかったねぇ」



《藍口の鼻の下が伸びまくってて草》

《頬にキスマーク付けてるのはツッコミ待ちなのか?》

《女関係で浮かれてるの丸分かりなんだがwww》

《彼女いない暦=年齢の俺に喧嘩売ってやがる》

《タツキ様を(たぶら)かしたのはどこのビッチよ!》

《キスマークに気付いてて指摘しないイケメンニキが極悪過ぎるwww》

《唇もほんのり赤くね?》

《【悲報】藍口が生配信を中断して女とキスしまくっていた【リア充消滅祈願】》



 5階層の小ボス部屋前で中断していた生配信を再開すると、藍口君はめっちゃだらしないニヤケ面で視聴者に詫びを入れた。

 そんな藍口君の見た目の変化に敏感に反応するコメ欄の面々。



 あの後何が起きたのか、順を追って説明しよう。

 女同士の争いは結局ジャンケンをする事となり、『魅惑のブレスレット』をモノにしたのは美脚自慢のマミだった。

 マミは早速『魅惑のブレスレット』を嵌めて、意中の藍口君の前に立つと、藍口君はマミに思い切り見惚れてしまった。


 その事を察知したマミが露骨にキッスのおねだりをすると、彼女の魅力に(あらが)うことの出来ないのか、藍口君はあっさり彼女とベロチュウをかましてしまったのである。


 それに黙っていられなくなったのは、レオタードアーマーなる浪漫装備を装着していたリサだった。

 リサは抱き合って熱烈なキスをする藍口君を引き剥がそうとするも、藍口君は元々が可愛らしい上に魅力が2割増になったマミの唇から離れる事が出来ない。


 結局、リサは藍口君の左頬にキスマークを付ける事がせめてもの抵抗だったようだ。

 キスが終わった後、すっかり不貞腐れるリサには目もくれない藍口くんはマミとBOINを交換していた。

 で、俺らは彼女ら『玉の輿狙い』とそこで別れて、藍口君を背負って猛スピードで5階層まで降りて来たって訳だ。



 正直、俺は不満でしかない。

 俺はただダチのレベリングに付き添いで来ただけなのに、何でそのダチが美少女2人とキスしまくっている所を見せられなきゃならんのだ?



 女達とのイチャイチャを見せつけられた腹いせに、俺は敢えて藍口君のキスマークの事は触れずにいた。

 コメ欄は草が生えまくっているが、これくらいの仕返しは許されて然るべきだろう。



「藍口君、美少女とのベロチュウをして余韻に浸っている場合じゃないぞ!

コレから小ボスのワーウルフ戦なんだ!」


「わ、わ、わ!神城君、生中継で変な事を言わないで……」


「命が懸ってるのに弛んどるぞ!!

今からが本番なんだ!いつまでも女の事ばかり考えてないで、集中力を高めるんだ!」


「ぐ、ぐぬぬ……チ、チクショウ……」



《美少女とベロチュウとかダンジョンで何やってんだ!!》

《生配信の裏でそんな事をしていたなんて…》

《キスくらいで騒ぎ過ぎ。普通はBランダンジョンの小ボス討伐は日帰りなんて無理だから野営を挟む。野営の時にパーティーの女とヤるとかは普通なんだよね》

《タツキ様の唇を奪った女はどこのどいつですか!》

《リア充は爆散しろ!》

《経験者ヅラして長文コメするヤツウザい》

《探索者ってレベリング前より性欲が凄いんよ。雄や雌の本能が強くなるっつーの?なんで配信中断して女とヤるとかフツーだぞ》

《長文のヤツに同意。新人の頃は男だけとか女だけのパーティーの比率が高いけど、中堅から上になると男女混合パーティーが7割以上。理由は察しろ》



 先程の腹いせにベロチュウの件を言ったんだが、コメ欄に藍口君擁護派が出て来たゾ!?



 つーか、男女混合パーティーってそういう事やってんの!?

 でも、確かに『餓狼』は佐藤さんに対して、田沢さんと小田さんのボディタッチが多い気がする。この間の訓練コラボも合間合間で佐藤さんの尻を小田さんがサワサワしていたし、田沢さんも腰に手を回したりしていた……

 


 アレは魔のトライアングルが出来上がっている事を示しているのか!?



 猛烈に気になった俺は集中力を高めて入念に身体をほぐしている藍口君を尻目に、田沢さんにBOINをしてみた。



【神城雄貴:今ヒマ?】

『田沢春輝@餓狼:はい。大丈夫ですけど』

【神城雄貴:田沢さんって佐藤理未さんとエッチ系な事はするの?】

『田沢春輝@餓狼:神城さんも好きですねー^_^ 当然週2位のペースでしてますよ(^_−)−☆』

【神城雄貴:マジで?田沢さんって綾香ちゃんっていう彼女さんいるよね?佐藤さんも彼氏さんいるし】

『田沢春輝@餓狼:?いや、いますけど探索者ってそんなモンでしょう?』

【神城雄貴:マジか〜】

『田沢春輝@餓狼:え?自分だって清川さんと柊さんと3人でしてるでしょう?』

【神城雄貴:いや…マジで一切手を出してない。雪乃ちゃんともプラトニック】

『田沢春輝@餓狼:何かゴメンなさい…』

【神城雄貴:いや、俺の方こそゴメンなさい…】

 



 フー……マジかぁ……あの紳士的な田沢さんが、彼女に隠れて佐藤さんと致している事を当然だと言っていた……



 ……それが探索者だと……



 アユマットさんにもBOINしてみるか!?

 いや、彼はそういう事は絶対しないタイプ……だと思う……

 いや、絶対にするハズがない!彼からは硬派な漢の雰囲気が漂っている。

 わざわざBOINしなくても、敷島さんへの態度から硬派な事が丸分かりだ……





【神城雄貴:今ヒマですか?】

『AYUM@餓狼:ちょうど藍口君のチャンネルを見ていた所だが、どうしたんだい?ボス部屋前でトラブルでも?』

【神城雄貴:いえ、あの、アユマットさんって、佐藤さんとはエッチ系な事してます?】

『AYUM@餓狼:佐藤って理未の事か?理未とは昔2回くらいしかしてないが、敷島とはほぼ毎日してるよ』

【神城雄貴:え!?敷島さんと毎日!?】

『AYUM@餓狼:当然だろう?元はパーティーだったんだから。神城君も清川君や柊君と毎日してるだろう?』

【神城雄貴:いや、俺はガチでエッチしてません。雪乃ちゃんともプラトニックなので】

『AYUM@餓狼:そうか…何か申し訳ない…』

【神城雄貴:いえ、こちらこそ何か済みませんでした…】





 ……聞いてしまった……そして、聞かなきゃ良かった……



 てか、何で毎日してるのに、敷島さんに対してあんなに他所他所しいの!?

 


 俺は探索者のリアルな性事情に触れて激凹みした……




◆◇◆◇◆




「良し、初動に上手く反応してるよ!

その調子で集中!!」



《ヤベェwww》

《藍口がイケメンニキ並みにワーウルフと戦えているの草》

《コレは流石にヤラセだろ》

【¥10,000,000:『餓狼』AYUM@:藍口君、レベリング頑張って】

《攻撃は殆ど出来てないな》

《レベリングしてないヤツの動きじゃない》

《ニキといい藍口といいレベリング前にワーウルフの攻撃をスイスイと躱せる意味が分からん》

《タツキ様がイケメン過ぎる❤️》

《攻撃は殆どしていない件》

《ニキは確か盾でガードしていた気がするが藍口君は完全に躱していて草》



 藍口君にとって小ボスのワーウルフとの初対戦が幕を開けた。

 藍口君はこの数日間の猛練習通り、ワーウルフの初動に最適なリアクションをして華麗に躱している。

 

 コメ欄の人らが指摘する通り、俺の時は要所でブロッキングを多用した為左腕がボロボロになってしまったが、藍口君はブロッキングはせずにダッキングやステップワークを駆使して身体に触れさせずに対応している。



 攻撃は然程出来ていないが、コレも藍口君のファイトプラン通りである。

 視聴者は俺のレベリング時と比較して見ているようだが、俺と藍口君とでは異なる点が大きく分けて3つある。



 先ず装備が違う。

 俺が小盾と片手剣だったのに対し、藍口君は両手で持つロングソードがメイン武器である。

 藍口君にはブロッキングする用の盾が無いので、俺が行ったブロッキングして即リターンが出来ない。

 

 

 2点目は状況の違い。

 俺の時は背中を切り裂かれたCランク探索者や、レベリング前の雪乃ちゃん達が同じ場に居る状況で、ある程度攻撃を仕掛けなければターゲットが他に向かってしまう恐れがあった。

 その為、俺は左腕の感覚が麻痺しようが打ち始めのワーウルフの前腕に小盾を叩き付けて、バランスを僅かに崩したと同時にリターン攻撃を繰り返していた。


 しかし、今は別に俺にターゲットが向いても屁でも無いので、藍口君は時間をかけて(けん)に徹する事が出来る。

 そうする事で、事前のイメージと実物の誤差を擦り合わせる事が出来るし、初めて体感するダンジョンの床に足の感覚を慣らす事が出来る訳だ。



 で、3つ目は格上の相手との対戦経験が違う。

 藍口君はコレまで自分よりも格上だと感じた相手と対戦した事が殆ど無いらしい。

 アマボクを始めたばかりの小学生の頃に、上級生とスパーをしたほんの数回しか明らかな格上とはやってないようだ。


 しかし、俺はスパーでは無いが元ムエタイジュニアチャンプの姉貴と、物心ついた時から中一まで数え切れない程喧嘩をしていた。

 ガキの4歳差というのはかなり大きく、俺は毎日ボコボコにされていた。

 外では喧嘩する事は無かったが、姉弟喧嘩は2,000戦無勝だ。


 ただ、この格上相手と戦う経験はワーウルフ戦で大いに役立った。

 ワーウルフと対峙した時より、当時の姉貴と対峙していた時の方が遥かに怖かった為に冷静に立ち回れたのである。



 そんな訳で、今はまだ藍口君は仕掛けるべきタイミングでは無い。



 俺を相手に行った仮想ワーウルフスパーと実物ワーウルフとの誤差を微調整して、ダンジョンのゴツゴツした足場を掴み、格上との戦闘という特異なプレッシャーが齎す独特な緊張感や恐怖を拭い去る。



 それらを全てクリアしてから、初めて藍口君は仕掛ける訳だ。



 そして、それはものの5分程で完了した……



「シュッ!」



 ワーウルフの左腕での強引な横薙ぎの初動を見た瞬間、深くダッキングしつつのステップインを行った藍口君。

 鋭く息を吐きながら、ロングソードを左一文字に振るった。

 


 ボクシングで培った技術にコーズィさんから教わった剣術の基礎が融合した一撃は、ワーウルフの腹に中々の傷を負わせた……が……



 ドグワシッ!!



「うぐっ!」



 レベリング前の人間の攻撃にはどうしても限界がある。

 斬り付けた直後、僅かばかり動きが止まってしまった藍口君の左肩に、ワーウルフの右腕による一撃が当たってしまった。




 地面を転がる藍口君…




 肩当てごと左肩が潰れてしまっている……




シュッ…ズドォォッ!!グワキャァァア!!




「ワーウルフには前蹴りで壁まで吹っ飛んで貰った。

今の内にこのポーションを飲んで回復してくれ…


…まだ行けるな?」



《藍口はもう無理やろ!》

《「まだイケるな?」じゃねえwww》

《まだやらせようとするの草》

《どんなスパルタだよ!》

《ユーキ様の爽やかな笑顔が逆に怖い》

《まだやらせる…だと!?》

《藍口君が立ち上がったぞ!》

《藍口も藍口でまだイこうとするの草www》

《ダメだこの人達。人として何かが欠落してる》



「コメ欄のヤツら、舐めんな!

俺はこの程度の事で投げ出すような、ハンパな覚悟で神城君のステージに立った訳じゃねえんだ!!


あぁ、クソ!痛え!

あの犬野郎!千倍返しにしてやらぁっ!!」



 ククク…高級ポーションで回復した藍口君が、怒りを燃やしてワーウルフに突っ込んで行ったゾ!!


 そうなんよ。男のコはそうなんよ。やられてそのままで終わるとか無理なんよ。

 1発ぶたれたら10発返すまでやめないのが男のコなんよ。



「行けえっ!藍口君!!

ソイツをギッタギタにするまで、俺が何度でも回復してやる!!」



《バトルジャンキー過ぎて草www》

《どこの戦闘民族だよwww》

《回復しても痛みは消えないんだが…》

《まだブラックニキになってないハズなのに、ニキがこの上なくブラックに見える……》

《いや、でも藍口の攻撃が当たり出したぞ》

《ニキに腹を蹴られたせいでワーウルフの動きが遅くなってて草www》

《ぎゃぁぁあ!!》

《藍口がワーウルフの目を剣で(エグ)ったぁ!!》



 うん……少し蹴りの加減を間違えたかも知れん……



 怒りの藍口君の勢いは凄まじく、動きの衰えたワーウルフを斬り付けたり抉ったりした。

 それから2〜3分程でワーウルフは動かなくなり、藍口君は見事に一気にレベルが8になった……



 そして……



 藍口君はXX職業スキルの【勇者】をゲットしたのだった……



《第一章 完》




ブクマ登録や高評価を頂き、本当にありがとうございます!!

ここで一応第一章は終了です。


本当は幕間の話を書こうと思いましたが、明日の投稿に間に合わなさそうなので後日ぶっ込みます。


明日から第二章スタートの予定なので、引き続きお楽しみ頂けると幸いです。


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