73話 ダチのレベリングを手伝いに来たハズですけど!? 中編
「良し、ではクジに当選した君達と共に隠し部屋に行くとしよう。
それでは他の人らは参加賞としてここから好きなアイテムを一つ持って行ってくれ」
「え!?こ、コレってダンジョンドロップのレアアイテムっすよね!?
良いんすか!?」
くじ引きで見事当選したのは、俺らの前にいた4人組の女性パーティーだった。
俺としてもビキニアーマーの女性には目の保養をさせて貰ったし、地元の女性パーティーが更にステップアップ出来るのは喜ばしい事だ。
ただ、青銀宝箱目当てに大阪から来ている人達もいるので、手ぶらで帰らせるのも不憫に思った俺は、これまでのダンジョン探索でドロップしたアイテムの中で、ダブり等でJSAに売却しなかったモノを【アイテムボックス】から取り出して地に並べた。
どれも売れば数百万はするモノばかりである。
ウチは俺も雪乃ちゃんも運の数値が高いせいで、結構な頻度でレアドロップが発生していた。
此処に並んでいるモノはその一部でしか無いので、特に渡しても差し支えない。
遠慮がちに俺に問いかけて来たのは、地元パーティーを優先する事に真っ先に不満を言って来た八王子のパーティーである。
「まぁ、君らの不満は分からないでも無いし、わざわざ遠方から来てる人らもいるから、コレでこの場を納めてくれると助かる。
あと、彼女達のパーティーがスクロールを得る事は他言無用で頼む」
「そ、そんなのお安いご用ですよ!
で、では、遠慮なく選ばせて頂きます!
イケメンニキの小粋な計らいに感謝感激っす!!」
八王子の彼を筆頭に、ハズレ組や他の拠点のパーティーがレアドロップ品に群がった……
うん、やはり女性探索者はイイ……露出度が高くて、パンチラや胸チラしまくっている……
俺は藍口君と共に女性探索者のチラリズムを堪能して、皆が選び終えた所でクジに当選した『玉の輿狙い』という女性4人組パーティーと共に隠し部屋へと向かった。
「ユーキ様ぁ、ハーミットオークとか、ホントに大丈夫なんですかぁ?
ウチらは生配信の同接目当てで来ただけだから、スクロールは半分諦めてたんですけどぉ」
道中で、ビキニアーマーを来たユリエちゃんが、俺に身体を寄せながら問いかけて来た。
むむっ……なるホド……爆乳のコがビキニアーマー越しのお胸が肘に当たると、こういう感じがするのか……コレは貴重な経験だゾ……
俺は硬いモノが肘に当たる時に感じるハードな感触と、そのハードなモノが微細な動きでソフトに沈みつつも、弾力でハードなモノが押し戻されるという、得難い感触を経験した。
おっと、いかんぞ!雪乃ちゃんの目が届かないからと言って、あまり他の女性に密着されるのは宜しくない。
「まぁ、俺にはとっておきが有るから、距離を誤認しようが問題無いんよね。
後は威力を上手く調整しなきゃならんけど、訓練でコツは掴んだから大船に乗ったつもりでいてくれ」
「きゃあっ、ユーキ様ったら頼もし過ぎるぅ!」
「ユリエ!アンタ、藍口君狙いっつってたよね?アタシのユーキ様から離れなさいよ!」
ビキニアーマー・ユリエとは一応ソーシャルなディスタンスを開けたのだが、また引っ付かれてしまった……
そこに、藍口君お気にのパンチラ・アキが乱入して来て、一気に居心地の良くない空間となっている……
ココは、常識人で下心をひた隠しにする藍口君に助けを求めよう!
判断の早い俺は後方の藍口君へと振り替えり……
「タツキ様ぁ、マミの脚はどうですかぁ?」
「あ、うん、と、とても綺麗だと思っ……!!」
「ちょっと、ワザとスカート捲るのやめなさいよ!
藍口クン、汚いモノを見せられて困ってるじゃない!」
「はぁ?アンタのケツの方がよっぽど汚いでしょ?
何そのレオタードみたいなダサい装備?汚いケツを見せつけて楽しい?」
「あ"あ"?同接数稼ぎの為にレオタードアーマーを着ろっつったのオメーだろ?
何自分だけ清純ぶってんの?先週末、ファンの大学生喰ったの知ってんだかんな!
このヤ◯マン女!!」
「っ!テメエ、言ったな?
マミだってテメエのヤリ◯ンネタを死ぬ程持ってんだかんな!!
3日前の保土ヶ谷ダンジョンの打ち上げで、声かけて来た『ゴリゴリマッチョメン』の2人と3ピ…」
バチーーン!!
「あ…」
「オメー、ソレ言ったら手ェ出すっつったよな!?
コロされても文句言わせねえ…」
ドスッ!!
「あ…」
「テメエが先にケンカ売ったんだろーが!
マミの可愛い顔に平手張るとか、テメエコロすかんな!」
「うぅ、は、腹パン入れるとか、マジでありえねー!
どっちか死ぬまでやったらぁ!!」
「あ…」
……と思ったが、藍口君の方は恐ろしい程の修羅場と化している……
藍口君も先程から「あ…」しか言ってないし、マミちゃんとリサちゃんのど素人パンチを間に入って止める事すら出来ていない……
今まで俺は女性だけのパーティーって、もっと和気藹々としていて明るく楽しい感じだと思っていた。
たかが男が2人場にいるだけで、こんな事になるとは……
女性パーティーへの幻想が崩れた俺は、その後は道中で突発的に起こる小競り合いに極力ノータッチで隠し部屋へと向かった。
◆◇◆◇◆
「【サーチ&デストロイ】!!」
チュドドドンッ!!
何とか揉め事に巻き込まれる事なく隠し部屋に辿り着いた俺は、部屋に入るなり複合スキルの【サーチ&デストロイ】を使った。
俺が展開した3つの光の球は宙を舞い、一見誰も居ない場所に威力を抑えた魔力砲を放つ。
このスキルは【広域魔力感知】と【モードセレクター】の複合スキルで、魔物が放つ魔力と瘴気を自動感知して自動攻撃を行うブッ壊れなヤツである。
コレさえ有れば幻惑魔法を広範囲展開されていようが、対象の魔物を感知して討伐出来るって訳。
着弾時に魔力砲が放った光が収まると、地面には3体の首無し骸が転がっており、ソレはやがて黒い霧へと変わっていった。
ハーミットオークの骸があった場所には、3つの魔石とマジックアイテムが2つ転がっている。
さて、このアイテムは禁製品では無く、『魅惑のブレスレット』と『ハンニバルリング』という中々の逸品だ。
これらも彼女らに譲った方が良いだろ……
「きゃぁああ!!ヤバい!!スクロールが3本も入ってる!!」
「ヤバくない?ヤバくない?コレ、URスクロールじゃん!!」
「え、ちょっと私にも見せて!」
「コレって一本は売ってもイイかもね!」
うん……彼女らはスクロールに夢中らしい。
ドロップアイテムは彼女らが落ち着いてからで良いだろう。
「ヤバっ!URスキルは【身体能力超強化】だよ!
コレって絶対ユリエちゃんが使うべきだね!」
「え?ウチなんかが使って良いの?」
「当然じゃん!ユリエは『玉の輿狙い』のメインアタッカーなんだもん!」
「マミもユリエちゃんに使って欲しいなぁ!」
「みんな……ありがとう……」
ほう。さっきまであれ程バチバチだった彼女らが、いい感じにスクロールの配分を話し合っておる。
やっぱ、信頼できる仲間たちって事なんだなぁ……
「神城君はやっぱ凄いね。
ああ…一時はどうなる事かと思ったけど、仲直りしたみたいで良かったよ」
俺が女性達の仲良さげな雰囲気を遠目で眺めていると、お疲れ顔の藍口君がやって来て語りかけて来た。
隠し部屋に来る直前まで彼女らはずっと口喧嘩してたからなぁ。
スクロール選びはその後も揉める事無く、SRスキルの【攻撃魔法強化】は黒魔法使いのマミが使う事となり、3本目のSRスクロールの【槍撃強化】はJSAのネットオークションに出品する事で落ち着いたようだ。
さて、あの様子だとドロップアイテムの分配で揉める事は無いだろう。
ちゃっちゃと終わらせて、藍口君のレベリングと行こうか……
「ちょっと、ブレスレットは絶対マミのモノだからね!」
「いや、アンタはスクロール使ったんだから、ソレはアタシが貰うって!!」
「アキちゃんは『ハンニバルリング』貰ったでしょう?普通に私が貰います!」
「ざけんなって!一番魅力的なウチが魅力を上げるべきだっつの!」
「はぁ?舐めんな駄肉女!アンタが一番魅力無えわ!男性人気ナンバーワンはアタシだろって!」
「アキちゃんがナンバーワンは絶対に無い!マミが一番可愛いんだから、マミが着けるの!」
「ペチャパイは黙ってなさい!モデル体型の私が魅力ナンバーワンでしょ!」
……と思っていた時期もあったんだが、今度は『魅惑のブレスレット』を巡って女性達が揉めに揉めとる……
『魅惑のブレスレット』の効果は異性に対しての自信の魅力が20%上がるというモノで、戦闘に全く意味を為さないハズレアイテムである。
にも関わらず、彼女らは血相を変えて奪い合っている。
結局、騒動が治るのに1時間を要したのだった……。




