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6話 探索者登録に来たんですけど!? ①


ブクマ登録と高評価を頂きありがとうございます!

執筆の励みになります!

面白いとか続きが気になると思った方は是非ブクマ登録をお願い致します!


 

 俺が桐斗の為に探索者になる決意を固めて2ヶ月が経った。

『巌窟堂』で仕入れた武器や装備品類はどれも素晴らしいの一語に尽きた。

 あのオカマやろ…ナンシィ(仮)の鍛治師としての腕は超一流で、地下で見せた俺の動きから片手剣の重心のバランスを微調整してくれたり、ブーツのソールを微調整してくれた。



 その点は感謝しているが、俺の帰りしなに気持ち悪く尻を触って来やがったので、顔面の形が変わる程ボコしておいたぜ…。



 さて、あれからも毎朝走り込みを続け、仕事が休みの日はジムワークをこなし続けた事で、随分と仕上がって来た実感がある。 


 そして明日、遂に探索者登録に行くんだが……



「うぁぁぁあん!ママぁぁぁあ!ママぁぁあ!!

 ママにあいたい〜!」



 可愛い桐斗が母親恋しさに夜泣きをしてしまったのだ。

 桐斗の母親…元嫁の瑠奈は1年半前に男を作って、離婚届を残して家を出て行ってしまった。

 大人の勝手な都合で離婚してしまい、母親に甘えたい盛りの桐斗には申し訳ないとしか言えない。



「桐斗、ゴメンな…父さんが不甲斐ないばっかりに、お前に寂しい思いをさせて…

 後3回寝たらママに会えるから、もう少し我慢してくれないか?」


「びぇぇえええ!!いやら!いやぁぁあ!!ママぁあああ!!」



 俺は泣き叫ぶ我が子を抱きしめる事しか出来ない無力さに打ちのめされる。



 クソ!馬鹿か、俺は!?

 俺の気持ちやプライドなんてどうだって良いだろう!?

 桐斗には今、母親が必要なんだ!!



 俺はスマホを手に取り、ダメ元で元嫁・瑠奈に電話をかける。

 意外な事に5回コール音が鳴った所で、瑠奈が出てくれた。



『ちょっと!夜は電話しないでって言ったでしょ!!

 約束すら守れない訳!?』



 久しぶりの第一声は怒声だった…ダメだ…ここで俺まで感情的になってはいけない。



「それは本当に済まないと思ってる。

 だが、桐斗がママに会いたくて泣いてるんだ。少しの時間で良いから、ウチに来れないか?」


『……桐斗にはゴメンだけど、無理よ。

 知ってるでしょ?コーキは夜の外出を認めないの!

 3日後に会いに行く約束は守るから。

 大体、アンタ父親なんだから、自分で何とかしてよ!

 もう切るから!!』


「あっ、ちょっ……」



 ツー…ツー…



 ダメか…桐斗は泣き過ぎて声が掠れてしまっている…

 途方に暮れるしか出来ないなんて、本当に自分が情け無い…


 俺が又も自己嫌悪に陥っていると、玄関の鍵を開ける音が聞こえて来た。

 もしかして、瑠奈が来てくれたのだろうか!?



「キリたんこんばんは〜!

 梢お姉ちゃんが会いに来たよ〜!」


「ぶぇぇえ……っく…こずえねえたん…」



 やって来たのは姉貴だった。

 だが、桐斗は姉貴にえらく懐いている。何時もはウザい姉貴だが、今はめちゃくちゃ有り難い。



「あらあら、キリたんたら泣いてたのかな?

 ほら、お姉ちゃんが絵本を読んであげるから、もう泣かないの」


「ぅぅぅ…」



 姉貴は俺の腕の中で涙を流している桐斗に微笑んで、優しく抱き上げた。

 桐斗は漸く泣き止んで、甘えるように姉貴の胸に顔を引っ付ける。

 後は姉貴に任せておけば、桐斗を寝かし付けてくれるだろう。

 俺は桐斗を抱いて寝室に向かう姉貴に感謝しながら、力無くソファに腰を下ろすのだった。



 ◆◇◆◇◆



「ふう、やっと寝たわ。

 てか雄貴!アンタ、いい加減いい人を見つけなさいよ!

 私だってもう直ぐ結婚するんだし、こんなに頻繁にキリたんの様子を見に来れないんだから!」



 30分後、姉貴はリビングに戻って来るなり俺に耳の痛い事を言って来た。



「う…わ、分かってる…

 だが、何つーか…桐斗にとってママは瑠奈しかいない訳で…」


「あの元嫁は母親にはなれないダメ女でしょ!?

 天使なキリたんを置いて男と逃げるようなビッチなんて…」


「やめてくれ!!!


 ……



 済まない………姉貴には感謝してるけど、あんな瑠奈でも可愛い桐斗を産んでくれたんだ。

 余り悪く言いたくない…」



 俺は思わず声を荒げてしまった…。


 瑠奈を悪者にするのは簡単だ。

 だが、桐斗にとってはただ1人の母親なんだ…彼女を悪く言うと桐斗が不憫でならない。



「そ、そうだね。ゴメン。

 でも、復縁なんて出来ないんだし、このまま独り身でいるよりは次の相手を見つけないと。

 男手一つで3歳の子供を育てて行くのは厳しいんじゃないの?

 現に、今だって私が来なかったら、キリたんは夜中まで泣き続けてたんじゃない?」


「た、確かに…

 でも、バツイチの俺なんかと結婚してくれる女性なんて居ないだろ?

 仮に居たとしても、桐斗を可愛がってくれるか分からんし」


「ハァ…前の嫁に捨てられてから、すっかり卑屈になったものね。

 アンタ顔だけは良いから、普通に寄って来る女は幾らでもいるでしょ?


 あ!お隣の雪乃ちゃんなんか良いんじゃない?

 キリたんの事も凄く可愛がってくれてるみたいだし」



 雪乃ちゃんとは、前に朝のランニングに付き合ってくれたお隣のお嬢さんだ。

 確かに彼女はとても可愛いし、性格も素晴らしい。何気にお胸もとても発達してらっしゃる。

 だがなぁ…



「ちょっと待ってくれ。

 雪乃ちゃんは現役JDだぞ?俺とは4つも歳が離れている。

 俺の事なんて異性として見てくれないさ」


「ハァ…アンタマジで言ってる?

 ラノベの無自覚系主人公じゃないんだから…

 まぁいいわ、それより明日探索者登録の日でしょ?

 キリたんの面倒見る約束だったし、今日はここに泊まって行くわ」



 何かジト目を向けられて呆れられたが、バツイチ性欲モンスターの俺と清楚な美少女JDの雪乃ちゃんとでは上手く行く訳がない。

 何しろ俺と来たら独り身の時は全く悶々としないのに、彼女が出来ると毎晩3回はするからな。

 瑠奈とは妊娠を期に一切レスになったんだが、ソレが離婚の原因なんだろうか…

 桐斗が可愛過ぎて、性欲が二の次になったから他の男に走ったのかも…


 まぁそんな事はさておき、姉貴には寝室で桐斗と寝て貰い、俺は空いている客間で寝る事にした。

 さて、いよいよ探索者登録か……確か登録書類の記入、探索者活動に関する座学講習、生配信用の魔導ドローンの受け取り、昼休憩を挟んで最後に初心者ダンジョンでレベリングを行なって終了の筈。

 父親として未熟な分、ある程度力のある探索者になって桐斗を喜ばせたい。

 そんな事を思いながら俺は眠りについた。



 ◆◇◆◇◆



「あ、ゆきのねえたん!」


「あ、キィたんおはよ〜!」



 探索者登録当日。

 日本探索者協会(JSA)東京本部の受付前エントランスに桐斗と姉貴と共に到着すると、そこにはまさかの雪乃ちゃんが居た。

 軽防具とレイピアを装備している所から、彼女も探索者登録に来たようだ。凄い偶然もあるものだな。



「おはよう、雪乃ちゃん。

 まさか雪乃ちゃんも探索者登録に来てるなんて凄い偶然だなぁ」


「ユ、ユーキさん…お、おはようございます!

 その…べ、別に偶然とかじゃ…前にユーキさんが今日探索者になるって言ってたし…

 何か配信もするみたいだし…コ、コラボとか出来たら良いなぁって…あ!いや、全然アレなんです!そういうんじゃなくて!

 わ、私も前から探索者に興味があったんです!」



 な、何か普通に挨拶しただけなのに、雪乃ちゃんがめちゃくちゃアワアワしている。

 顔も真っ赤だし、俺のような冴えないバツイチと知り合いと思われるのが余程恥ずかしいのだろう。



「ハァ…童貞中学生並みに鈍感なのよねぇ…」


 ゲシッ!


 い、いでえ!何故か分からんが、姉貴がケツに膝蹴りをして来やがった!

 元ムエタイジュニア王者の膝はめちゃくちゃ鋭い。

 今日はレベリングの為にダンジョンにも潜るのに、思わぬダメージを食らってしまった。


 ともあれ、申請書に記入を終えた俺は一旦桐斗と姉貴と分かれて、座学講習のある2階会議室へと向かった。

 俺と雪乃ちゃんの他に男3人グループと、女の子2人組がいる。

 広い会議室にたった7人しかいないので、それぞれ方々に散らばって座っている。

 俺は基礎的な座学はしっかり聞いて置きたいので、中央の一番前の席に座った。



「ユ、ユーキさん…あ、あの…と、隣に座っても良いですか?」



 顔を真っ赤にした雪乃ちゃんが、おずおずと声をかけて来た。

 そんな断りを入れなくても、好きな場所に座れば良いのに。相変わらず真面目で礼儀正しい美少女だ。

 俺も大学生だったら、思わず勘違いしていただろう。


 そんな感じで俺の探索者登録が始まったのだった。



最後に、挿絵の方にも多くのアクセスを頂きありがとうございます!

何故か昨日は登場人物紹介の神城雄貴挿絵に200人以上の方にアクセス頂き、50人以上の方に清川雪乃の挿絵にアクセス頂きました!


流石、主人公とメインヒロインだなと感じた次第です。

ただ、作品の方にはアクセスされなかったのが悲しいですが……


何気にナンシィ(仮)ちゃんの挿絵がアクセス数第3位で、桐斗よりも多くの人の注目を集めたようです笑


高評価を頂いた嬉しさから今晩19時にもう1話投稿します!


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