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68話 世界ランカー(元)に絡まれたんですけど!? 後編


ブクマ登録と高評価を頂きまして、本当に本当にありがとうございます!!

皆さまのおかげで執筆が進んでおり、本日も2話投稿となりました!


本話は少し長いんですが、結構先の展開の布石になってるんで勘弁して下さい……




「な、何故だァァ!!

『漢気凸』はただのエンタメで、ガチの決闘じゃねえんだ!!

それとも、何か?

この俺様をオワコンだと思ってんのか!?

まだまだ俺様は世界ランカー相当の実力は有るんだゼ!!

舐めてんじゃねぇぞ、クソガキィッ!!」



 俺が即答で断った事で、KOZIさんがメチャクチャ憤慨している。

 だが、俺にも譲れないモノがある……




「舐めてんのはどっちだ!!


……ただのエンタメだと?

探索者を舐めんじゃねえぞ!!」




 俺はKOZIさんのキレに対してキレで返した。




「ここに集まったメンバーは皆んな命懸けで探索者をしてるんだ!

トレーニングだからと言って気を抜いてるヤツは1人もいない!!


皆んながそれぞれ鬼のトレーニングを積んで、命懸けのダンジョンアタックに万全の状態で臨もうと必死なんだ!!


それを何だ?エンタメ?ガチじゃない?

探索者に命を賭ける俺達を舐めてんのはテメェだろうが!!」




《コレはニキが正論》

《ニキ最高!》

《KOZIも5年前は『漢気凸』に同じ事を言ってたんだがなぁ……30過ぎるとこんなに落ちぶれるのな》

《“無礼な男がサムライに言い負かされたようだ“》

《KOZIは完全に漢を下げたな……》

《イケメンニキの言ってる事が100パー正しいわ》

《怒ってるユーキ様がイケメン過ぎる❤️》

《新旧世界ランカーの模擬戦は見てみたいけど、イケメンニキの言う通りなんよなぁ……》




 うん、コメ欄の皆んなも分かってくれているようで安心した。

 何しろ『餓狼』公式と藍口君のチャンネル生配信だから、俺が変な事を言って炎上すると『餓狼』と藍口君に迷惑がかかってしまうからな。



 ム!?コーズィさんが険しい顔で此方に近付いて来たぞ?

 コレは無理矢理乱闘に持ち込むつもりか!?




「申し訳なかったぁっ!!

俺とした事が小細工を弄してしまった!!」




 何と、コーズィさんは思い切り土下座をして詫びを入れて来た。


 なる程、ただの脳筋ではないようだ。




「俺はお前の戦闘スタイルを見て衝撃を受けた!

何とかその技術を体感したかったんだ!


だが、俺は……『暁月』の古株だ……ライバルクランである『餓狼』と懇意の神城と模擬戦をするには、不本意でもこうするしか……


俺が軽率すぎた!本当に申し訳なかった!!」

 

「コーズィさん……頭を上げて下さい。


俺ら『ガチ勢』は無所属だから、クランがどうとかは関係なく、高い志の探索者には協力を惜しみませんよ」


「か、神城……」


「お互いを高める為の真剣な模擬戦であれば、拒否なんてしません。

俺としても大先輩のコーズィさんから学びたいですし。


新人探索者の俺に是非一手教えて下さい!

お願い致します!!」




 コーズィさんの本意を聞いて、俺はコーズィさんという漢に尊敬の念を抱いて頭を下げた。



 幾ら強かろうがデビュー数ヶ月の新人に対して、ベテランがそこまでなり振り構わず教えを乞う事が出来るだろうか?

 しかも、長年トップランカーとして日本の探索者を牽引して来た大ベテランが。



 俺は立ち上がったKOZIさんと笑顔で握手をして、模擬戦の準備に取り掛かった。



《ヤベェ!新旧世界ランカーの一騎討ちとかムネアツ過ぎる!》

《コレは普通に金が取れるヤツじゃん!》

《ちょっ、待って!PPV代わりにスパチャ送るから!》

《地上波の報道番組が早くも飛び付いてて草www》

【30,000:戸田皐月:PPVの代わりです!ユーキ様頑張って下さい❤️】

《KOZIの漢気に感動したかも。KOZI頑張れ!》

【¥10,000:大内康志:PPV代わりにどうぞ】

【¥50,000:喜屋武珠二郎:金払う価値ある模擬戦配信だゼェ!】

【$200:Jake OSBORNE:“今話題のIKEMEN=NIKIと元世界ランカーのKOZIの試合はヤバい”】

《日本ランカーの俺には分かる。コレはイケメンニキが1分以内に圧勝する》

《急にスパチャが増えて草》

《剣を使っての模擬戦なら【剣聖】スキル持ちのKOZIじゃね?》

《『日本ランカーの俺』がスパチャ払ってないの草www》

《海外ニキがスパチャ投げとるwww》



 おお、かなりのスパチャが……そこまで注目されているとは、実は『漢気凸』ってオワコンでは無いんじゃないか?

 いや、そんな事よりも模擬戦に集中だ……



 対面するKOZIさんの集中力は既に研ぎ澄まされている。

 模擬戦用のロングソードを構えるその姿は、正に達人といった雰囲気が漂っている。

 舐めるだなんてとんでもない……ましてやオワコンなどでは決してない……



 8メートル四方の模擬戦用ステージの袖には、心配そうな面持ちの雪乃ちゃんがいる。

 最愛の婚約者の前でカッコ悪い所は見せられないな。



 今回の模擬戦は15分1ラウンドの2ラウンド制で行われる。

 怪我をしないように防御力はそのままで、他のステータスは魔導具で制限され、戦闘スキルや魔法も使用禁止となっている。


 因みに、模擬戦用武器を使用してのルールだが、俺は剣術よりも殴りが得意なのでオープンフィンガーグローブを着用している。



「では、両者尋常に……始め!!」



 審判のアユマットさんの号令と共に、俺は一気に加速して距離を詰めた……って言うか、拳で戦う以上踏み込んで行かないと勝負にならないんよね…


 一方のコーズィさんは正眼に構えたまま構えを崩さない。



ビュオンッ!!



「……!!」


「ウソ!?KOZIさんの一の太刀が躱された!?」



 危ねえ!KOZIさんの鋭過ぎる振り下ろしを何とかサイドステップで躱せたゼ……ただ、予備動作が殆ど無く剣が振られるから完全に見切れた訳じゃない。

 かなり大きく横に飛んだのでリターンが出来なかったゼ……



ダンッ!!



「ぬんっ!!」


「ウソぉぉおん!

KOZIさんから仕掛けた二の太刀も躱すとかあり得ないんだけど!?」



 時雨さんがさっきからうるさいが、彼の言葉通り俺は続け様に仕掛けて来た踏み込んでの刺突も体を捻りながら躱し……



ズドンッ!


ズシャアッ……



「マジかよ、いつ殴ったの!?

KOZIさん、立って!!」



《瞬殺で草》

《でも、KOZIもヤベェよ。ステータス抑えても剣閃が見えねえんだもん》

《Dランク探索者の俺氏、ステータス制限した2人の動きが見えなかった件……》

《ユーキ様が素敵過ぎて濡れた》

《KOZI有利とか言ってたヤツ息してる!?》

《イケメンニキって対人戦も強いのな。魔物相手には強くても対人戦が弱い探索者って結構いるのに》



「いっぽ……「まだだ!!KOZIさんが立ち上がる!神城君の拳の当たりが浅かったんだ!!」



 アユマットさんが試合終了を告げようとした所、待ったをかけた藍口君。

 流石に彼は超一流のボクサーだ。


 俺が躱し様にコーズィさんのテンプルに放った右のショートフックは当たりが浅かった……と言うか、衝撃を逃がされた。

 恐らくコーズィさんが反射的にスリッピングアウェイ(首を捻ってパンチを受け流す高等テクニック)をしたんだろう。



「ふふっ……初めて模擬戦で殴られたぞ。

超一流のパンチは首を捻っても効くなぁっ!」



 KOZIさんはそう言って立ち上がる。

 その顔はとても楽しそうだ。


 気持ちは良く理解出来る。未経験の技術に触れる事程、格闘家にとって楽しい事は無い。

 俺もまだまだコーズィさんの剣術を味わいたい……



 俺は再び構えを取ったコーズィさんへと足を踏み出した。



「KOZIさんの逆袈裟!右へサイドステップから左のロー!

そのまま左一文字に繋げた!

ウソ!?ダッキングで躱してボディジャブ!?

KOZIさんがバックステップで躱したぁっ!!」



《藍口さんが実況してて草》

《元金メダリストの実況とか豪華過ぎる》

【¥100,000:山田真:藍口さんの素晴らしい実況のお礼です】

《2人の動きが速くて追い付かんから実況助かります》

《1分以内にニキが瞬殺するとか言ってた日本ランカーは息しとる!?》

《やっぱKOZIは凄えわ。WSAのランキングて当てにならんよな。

どう見ても世界ランカーの中堅どころよりもKOZIの方が強いだろ》

《KOZI頑張れ!》

《剣相手に殆ど無傷のイケメンニキが人間を辞めてる件》



 藍口君はマジで凄えな。幾ら魔導具でステータスを抑えていても、Dランク探索者ですら目で追えない程のスピードでコーズィさんも俺も動いている。

 それをここまで見事に実況するなんて。



 そして、コーズィさんも凄え……剣を振るう際の予備動作が極最小限だし、俺の意識の隙を付くタイミングで仕掛けて来る……

 何とか躱せているのは距離を詰める足運びだったり、剣戟を繋ぐ際の動作が少しだけ見切り易い点と、此方の攻撃を躱す時の動作が大きいという部分、魔力で身体能力を上げる術を体得していない部分でギリギリ対応出来ているに過ぎない。



 コレでコーズィさんが躱して即リターンの鬼連や、魔力操作の鬼連をしたら、戦闘スキル無しルールの模擬戦は俺の負けだろう。

 


 その後もコーズィさんの剣をギリギリ躱し、コンパクトなリターンを当て続ける展開は続き……




「……な!?しまっ……」




グワシャァッ!!




「ば、馬鹿な……左ボディジャブと全く同じモーションで顔面への左フック……だと!?


か、神城君はそこまでボクシングを極めていたというのか……」



 藍口君の言葉通り、コーズィさん渾身の袈裟斬りを躱して彼の軸が僅かに右側に流れた所に、再三見せたボディジャブを餌にした左フックをコーズィさんの顔面に叩き込んだ。



 コーズィさんは後方に倒れて白眼を剥いている。



「勝者、神城雄貴!!」



《ヤベェって!歴史に残る名勝負だろ!》

《誰だよ、KOZIをオワコンとか言ったヤツ!?》

《“USの探索者は日本の探索者を見下して生配信を見ようとしないのが残念だ。今のバトルを見たら決して日本人のレベルが低くないと分かるのに”》

《KOZI最高!!》

《KOZIさん、オワコンとか言ってホントに済みませんでした!》

《盛大な掌返ししてて草》

《“USの探索者だけではなくUKの探索者も日本人を見下して生配信をチェックしてないよ。愚か過ぎて言葉にならない”》

《KOZIさんゴメンなさい!》

《いや、丸腰のイケメンニキ相手に剣を使って一撃も当てられないKOZIは雑魚だろ》



 勝ち名乗りを受けた俺はふと目に付いたコメ欄を見て、コーズィさんを腐すヤツがまだ居る事にイラっと来た。


 此処はコーズィさんの名誉を守らなくてはならない。


 キャメラの前に進み出た俺はTシャツの左肩部分を指差して声を荒げた。



「コレを見ろ!

コーズィさんの最後の一撃が掠めて袖がスッパリ行かれてるだろ!?

コレが真剣だったなら、俺の左肩は裂けてフィニッシュブローを打てなかった!


ステータス制限下でこんなに鋭い一撃を打てる探索者の何処が雑魚なんだ!?」



 俺の言葉によってコメ欄からコーズィさんを腐すコメントは見られなくなったのだった。




◆◇◆◇◆




 その後は普通のトレーニングに戻り、ポーションを飲んで意識を戻したコーズィさんも参加した。

 特に魔力測定器を変わった使い方をする事で体内魔力を体感するトレーニングはコーズィさんを始め、『餓狼』の皆さんにも視聴者の探索者達からも喜ばれた。


 逆に俺達『ガチ勢』や『餓狼』メンバーや藍口君はKOZIさんから剣術の基礎を教えて貰い、俺としても大変有意義な時間を過ごしたのだが……




「時雨、観念しておけよ。

賠償金として2,000億を請求してやるからな」


「ええ〜、勘弁してよ。

ホラ、KOZIさんが出演して事で同接もグッと伸びたじゃん?

海外の視聴者からもバンバンスパチャが来たしさぁ」




 トレーニング配信を終えた後、解散になったタイミングでアユマットさんと時雨(シグレ)さんが小競り合いを始めたのだ。

 それにしても、時雨さんは何かヘラヘラとしていて掴みどころのない人だな……




「はん、ふざけるな。

KOZIさんの生配信も俺達のおかげで同接が伸びただろ」


「あ、そうだ!

普段のダンジョンアタックではフードを被っているボクが、この美しい素顔を晒したんだよ!?

こんな超レアな配信は絶対にアーカイブで擦られるって!

ね?ね?お願いAYUM@ちゅわぁぁん!」


「ああ!もう分かったから近付くな気持ち悪い!

今回だけ大目に見てやる!だが、次は無いからな!」


「マジ!?もう、AYUM@ちゅわん大しゅきぃぃ!」


「ちょ、やめろ!抱き着こうとするな!」



 うん、ホント謎な人だわ……

 コーズィさんも後ろで苦笑いしてるし……

 こんな軽い感じで本当に日本五大クランのトップが務まるのかな?



「あ、そうだ、神城くぅん!」



 俺が2人のやり取りを見て若干引いていると、不意に時雨さんに呼びかけられた。

 


「何ですか?スカウトなら……!!」


「キミ、少し強いからってチョーシ乗ってたら、そのうちコロされちゃうよん?」



 俺が返事をした瞬間、時雨さんが俺の背後にも現れた……

 クッ……マジかコイツ……いや、まぁいいか……



「……訓練施設外で魔法を使ったのか?

コレは【氷結魔法】と【光魔法】スキルの応用だろ」


「ふぅん、随分アッサリと見破るんだねぇ?

あ、勘違いしないで、ボクはキミと対立しようなんて思ってないから。


……でもね、キミってば『蜷川コーポレーション』を潰しちゃったじゃん?

もしかしたら、市街地でも魔法を使う事に躊躇をしない連中に狙われるかも知れない」


「ご忠告どうも……

アンタこそ雪乃ちゃんに背後を取られてるけど大丈夫か?」



 俺はニヤケ面でアドバイスして来た時雨に、気配を殺して彼のうなじにクナイを突き付けている雪乃ちゃんの存在を教えた。



「うぁぁあ!

ゴメン、ゴメン!別に神城君に害意は無いから刺さないで!!


……フゥ……ヤバいね、キミ達。

とにかく、裏社会の連中は結構厄介だから気を付けてネ。

ボクも何か情報を掴んだらDMするからサ!

じゃあねぇ〜!」



 こうして、俺は『暁月』トップとのコネクションを持ったのだった……。



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