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59話 変な2人とバチバチの時に魔物が乱入して来たんですけど!? ⑤



 名は体を表すという言葉がある。

 実態や真の姿が名前に表れているという意味の言葉だが、コイツは正にその言葉にピッタリだ。



 ナンシィ(仮)改め、東堂(トウドウ)(イワオ)



 俺はコイツ程、(イワオ)という名前がしっくり来るヤツを見た事がない。


 顔の輪郭からして巌だし、肩周りのゴリゴリした感じも巌。分厚く隆起した広背筋なんて巌以外あり得ない。



「てんめぇぇえ、オボロごらぁぁあ!

ダーリンの前で本名晒すとか、そのだらしねぇ駄肉を蛸糸でグルグル巻きにして煮汁に漬け込んで、煮豚にしたろかいぃぃっ!?」



 (イワオ)がその名に違わぬゴツゴツした顔面をクシャクシャにしながら、ゴツいバトルアックスをブンブンと振り回している。

 (オボロ)(イワオ)の出鱈目な殺気に押されるように、ジリジリと後退している。



「ぐっ……お前のステータスは1500程のハズ……そんなスピードとパワーで動けるワケが無い……」


「アタシは鍛治スキルと付与魔法スキルを持ってんだよぉぉお!!

この装備品はいつかテメェをブッ殺す為に、研究に研究を重ねて製作した最高傑作じゃああい!!」


「フ…フン……まだ窟田(クツダ)(ススム)の事を根に持ってるの?」


「テ、テメェ如きゴキブリのクソが、(ススム)サマの名前を口にするんじゃねぇぇええ!!」



《オイ、待て!窟田って『マッスル(あに)』の方だよな!?》

《あ、あのオカ◯が『マッスル・ラバーズ』の『マッスル弟』だと!?》

《マッスル兄は4年前にBランクの厚木町ダンジョンで死んだってニュースで見たが……オボロに殺されたのか?》

《『巌窟堂』の店主が『マッスル・ラバーズ』の『マッスル弟』だった事に驚きなんだが。あの頃と随分変わったよな》



 うむ、(イワオ)(オボロ)の会話の内容とコメ欄の内容で完全に補完出来た。

 どうやら、あの2人には何らかの因縁があるらしい。

 


(イワオ)(オボロ)の方はお前に任せた!

俺は(ハカナ)の方を引き受け…「巌って呼ぶんじゃねぇ!ブッ殺すぞ!!!」



 イワ…ナンシィ(仮)に食い気味にブチ切れられた……

 だが、奇しくも俺以外が読み仮名3文字を漢字一文字で表記する名前なので、読者が混乱してはいけない。

 朧と儚は何となく似通ったフォルムの漢字なので、せめてイワ…ナンシィ(仮)くらいは本人の望む呼び方で呼んでやるか。



ヒュンッ……



 うむ。余計な事を考えるなとばかりに、(ハカナ)が俺の首筋を狙って鉄扇での鋭い一閃を見舞って来たぞ。


 未だ中途半端にしか力を解放出来ずにいる俺は、儚の攻撃を何とかステップバックで躱したものの、鉄扇を盛大に空振って体勢が流れた彼女にカウンターを打ち込むのを躊躇(ためら)ってしまった。



「フフフ……この期に及んでまだ殺しに踏み切れないとは、何とも情け無いSSランク探索者ですね」


「うるせぇ!

例え相手が悪人でも、人を殺すような親父が桐斗の憧れになれる訳ねえだろうが!」


「殺しに手を染める度胸が無い事の言い訳に息子を使う方が、余程憧れになれないと思いますよ?」



 グッ……マジでムカつく女だぜ!

 


 思わずイラッと来て動きを止めた所に、儚の鉄扇が飛んで来る……

 さっきから手品みたいに次から次へと鉄扇を出しては投げて来て、投擲に注意すれば投げずに持ったまま距離を詰めて振るって来やがる。


 俺は躱した直後に反射的にカウンターを叩き込んでしまわないよう注意しなきゃならんのに……



ヒュンッ、シュパァッ、ズシュッ、ヒュオンッ!



 完全に守勢に回ってしまった俺に対して、儚は投擲から例の歩法で距離を詰め、手持ちの鉄扇での連撃に繋げた。

 流れるような連続攻撃の内一撃が左の脇腹を掠めてしまった。


 ステータス的には自分よりも格上且つ、知恵の回る人間が俺を殺す為に次々と攻撃を仕掛けて来る……しかも……



「どうしました?

随分と動きが悪くなってますが?」



 コイツ……俺の状態を分かってて言ってやがるな……



「フフフ……私の戦闘スキルは【リストレイン】。

攻撃を受ける度に私の魔力の干渉を受けて、手足の自由が利かなくなります。

 普通は3回も切り付ければ完全に動けなくなるのですが、流石は日本初のSSランク探索者ですね。

 10回以上切り付けてもまだ動き回れるなんて」



 やはり身体が重く感じるのは、ヤツの戦闘スキルの効果だったようだ。

 3回切り付けただけで相手を動けなくするとは、相当強力なスキルだな……





 ……だが……戦闘についてはドシロートという事か……





 俺はまだステータス制限を半分しか解除していない。

 そして、コイツはその事が分かってない様子で、ガンガン戦闘スキルを駆使して攻撃して来る。

 

 レベリングを終えた人間は身体のあらゆる能力が強化される。

 それは自然治癒力も同様で、動脈を斬られたり深傷を負わなければ傷口は時間が経つ毎に塞がっていく。

 最初に斬りつけられた左肩の傷も殆ど塞がっている。


 出血も同様。試合でカットした時に使うアドレナリン軟膏以上に探索者は止血が早い。

 常人よりもアドレナリンをドバドバ出しまくっているからなのかは謎だが、深く刃が入らなければ失血で動けなくなるとかも無さそうだ。


 警戒すべきは儚の戦闘スキルのみ。

 ヤツの動きから察するに、ヤツの戦闘スキルはネタバレしてくれた【リストレイン】と身体能力強化系とあの独特な歩法に関するスキルの3つだろう。

 もしあの歩法を武術の修練で身に付けたのなら、攻撃時の雑過ぎる体捌きの説明が付かない。

 それから、ヤツの瞬発力のバカ高い感じから身体能力強化は持っていると見て良いだろう。


 

 アクティブ系の戦闘スキルは職業スキルやパッシブ系のスキルと違って魔力消費が大きい。

 幾ら一万を越えるステータスを誇る儚でも、アクティブ系の【リストレイン】や変な歩法を使い続けて影響が出ない訳がない。

 今は劣勢を演じて、ここぞというタイミングでとっておきを……



「神城さん、アナタ……私の魔力切れを期待していませんか?」


「し、してない、してない!

全くそんな事は考えもしなかったぜ!」


「嘘が下手な方ですね。

では、耳寄りな情報を。

私も実は1回だけ変身が可能です…こんな感じで!」



 俺にありがたくない情報を開示した儚はそう言うと、一気に体内の魔力を爆発させた。

 儚の身体が一瞬光ったと思った時には、彼女の姿はすっかり変わっていた……。



 170センチ程だった身長は150センチ程に縮んだが、黒手袋が弾け飛ぶ程手がゴツく大きくなり、指先から鋭い爪が伸びている……

 そして、左側の額から1本の角が伸びている……

 


《ハカナたんが鬼っ()になっとるーー!!》

《少年漫画のテンプレ3キターーー!!》

《ハァハァ…鬼っ娘のハカナたんが可愛い件…》

《まさかのハカナたんにツノが生えるとか草》

《ツノ生えるのはオボロたんの第三形態じゃなくてハカナたんの第二形態だったのか》

【¥100,000:紳士村上:ハァハァ…鬼っ娘ちゃん、おぢさん紳士だから高級フレンチをご馳走しよう。本当に大丈夫だからBOINIDの交換ヨロ】

《見るからに強そうだがニキは大丈夫か!?》

《村上しつこいから消えろ》



 コメ欄にある通り、儚がまさかの鬼っ娘になってしまった…。

 しかも、魔力が先程迄の3倍くらいになっておる…。



 俺はこんなバケモノを殺さずに捕縛出来るのか!?



 突然の儚の変身を目の当たりにした俺は、思っクソ弱気になるのだった……。



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