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56話 変な2人とバチバチの時に魔物が乱入して来たんですけど!? ②


挿絵(By みてみん)


ブクマ登録と高評価を頂きまして、本当にありがとうございます!!

明日は結構忙しくて上げる暇が無いので、この時間に投稿となりました。

あと数話…多分10話以内で第一章は終わり……の予定です。




 タテイシ・ラミレスにアホコーキの追跡許可を取った俺は、偶々JSA東京本部がある芝浦近くでPV撮影をしていたという彩音に桐斗達の事を託した。



「さて、『ガチ勢チャンネル』を楽しみにしていた諸君、いきなりの緊急事態だ!

これから、黒い噂が絶えない『蜷川コーポレーション』と関係しているっぽい、“オボロ”とかいうヤツを捕縛しようと思う。


題して、『国際テロリストっぽいヤツを捕まえてみた』だぜ!」



《はいはい今日もゲリラ中継ね》

《毎回何の告知もなく生中継するの草》

《雄貴様愛してます❤️》

《軽いノリでテロリスト捕まえるとか草しか生えねえwww》

《2ゲットなら私が雄貴様の嫁》

【¥100,000:青木三郎:所沢を救ってくれてありがとうございました!!】

《まぁ、今回は告知しようないから仕方ないんじゃね?》

《テロリスト逮捕とか浪漫しかない》

《ルナビッチ生配信にイケメンニキが現れてビックリした》



 コーキの移動速度が遅いのでのんびり出来る俺は、【アイテムボックス】からドローンを取り出して生中継を始めた。

 『ガチ勢チャンネル』視聴者も又、24時間張り付いてるんじゃないかと思われる程のガチ勢が多い。

 生中継を始めたばかりなのに同接が10万を越えているな……。



「青木さん、高額スパチャありがとう!!

では、早速『エピノロロジウム』入りタバコを“オボロ”というヤツから購入した、コジマ・コーキを追いかけるぜ!」



 俺はコメ欄を軽く確認してから、力制限の魔導具の効果を少し緩めてコーキの飛んで行った方へと駆け出した。

 道中は既にタテイシ・ラミレスが手配したドローンが配備されていて、ルート上の車は路肩に寄ってくれている。


 俺はコーキのポッケのブツから放たれている禍々しい魔力を追って、レインボーブリッジを猛ダッシュする。



 今は亡き親父殿がネット視聴していた警察モノの映画でレインボーブリッジが封鎖出来ないという件が有ったが、普通にレインボーブリッジは封鎖出来ている……

 まぁ、国際テロリストの疑いがあるヤツを捕まえに行くのは相当緊急度合いが高いからだろうな……



 俺はそんな事を考えながら、上空のコーキの姿を追って有明の方へと爆走した。



 余り近付き過ぎるのも良くないので少しペースダウンしながら走っていると、コーキのポケットの中身から吹き出している魔力反応は有明アリーナダンジョン付近で止まっている事に気付いた。


 有明アリーナは今もイベントやライブ等に使われている為、敷地内に出現したDランクダンジョンは防壁で囲まれている。

 基本、探索者以外出入りする事が無い場所なので、テロリストがターゲットと接触を図るには都合の良い場所と言えよう。


 俺は有明アリーナの敷地に入ると、再び力制限の魔導具の効果を強めてダンジョンの方へと忍び足で進んだ。



《何か、ダンジョンの辺り暗くね?》

《心霊スポットみたいな嫌な感じがする》

《夕暮れ前なのに防壁周辺だけ不自然に暗い》

《コレはテロ事件発生の予感》

【¥3,000,000:『無双三連星』:兄貴、テロリスト逮捕頑張って下さい!】

《不気味過ぎる……》

《ヤバくね?JSAから公安部に連絡を入れたっぽいし、公安の到着を待った方が良くね?》



 コメ欄からの指摘通り、ダンジョン周辺だけ影が落ちているのかと思う程暗くなっている。

 最早あの一帯は怪しさしか無い。


 本当は『無双三連星』にお礼を言いたい所だが、あの怪しさ満点の闇の中に俺の声が届いたらバックれられそうだ。

 俺は気配を殺しながら仄暗い防壁内へと足を踏み入れた。



「アンタ、筋金入りのバカなの?

神城雄貴には近付くなってアレ程言ったよね?」


「だ、だがよぉ、別に近付きたくて近付いたワケじゃねーっつの?

探索者トーロクに行ったら、何つーか……偶然出会した的な?…俺から話しかけたワケじゃねー的な?」


「マジで頭悪い……


死ぬ?


100回くらい死ぬ?


神城雄貴は探索者よね?アンタが探索者になったら、偶然出会す可能性も上がるよね?てか、『エピノロロジウム』を盛った女が神城の元嫁とか舐めてんの?マジで殺すよ?」



 防壁からダンジョンへと繋がるゲート付近で、女とコーキの話し声が聞こえて来た。

 ここは連中の会話を聞いてから踏み込んだ方がいいだろう。


 俺はゲートの影に隠れながら耳を澄ました。



「で、でもヨォ、俺だってヤムえねーっつーの?

“オボロ”に『エピノロロジウム』入りタバコの金払わねーと、ルナは俺のゆー事聞かなくなるしヨォ…」


「金ならルナだかを洗脳して、銀行強盗でも何でもさせりゃ良いよね?


てか、そもそもアンタにあのタバコ売ったのは、アンタが世の中に凄え不満を持ってたからなのね?

アンタ、あの時ウチに言ったよね?職場の同僚に袋叩きにされて地面に転がって情け無く泣きながら、周りの奴らを全員ブッ殺すってさぁ。だから、アンタの言いなりになる兵隊を作って周りの連中を皆殺しにしろっつって、あのタバコを売ったワケ。それを、巨乳の人妻を性奴隷にする為に使っただぁ?ハァ?テメェ、完全にウチを舐めてるよね?


……ふーっ……


まぁ良いわ……避難用の魔導具が動作したって事は、公安とかヤバいのがアンタの逮捕に動いたって事でしょ?

匿ってあげるから付いて来な」



 何か早口で捲し立てていた“オボロ”と思わしき女が、ため息を一つ入れるなりコーキを匿うとか言い出した。

 そろそろカッコよく踏み込むか。



「おい、姉ちゃん。ちょっと待ちな。

この俺がたった今、お前らを国際テロリスト認定した。

大人しくお縄に付け」


「……!!!


……チッ!このクズが!!神城雄貴に尾けられてたならさっさと言いなさいよ……


……ンンッ!……


はじめまして、神城雄貴。

ウチは(オボロ)

残念だけど、レベル80そこそこのアンタにはウチを捕まえる事は出来ないわ。

大人しくそこを退きなさい?」



 コーキに怒声を浴びせた(オボロ)は一つ咳払いを入れると、俺の方に向き直ってニヤニヤしながら挑発的な言葉を吐いた。


挿絵(By みてみん)


 それにしても、この朧という女……女の子?……年齢もよう分からんが、めちゃくちゃ怪しい雰囲気を醸してやがる……

 夏なのに黒いフードを頭から被ってやがるし、右目は金のプレートっぽい何かに覆われているし、髪は銀色で瞳が赤い……



 ……いや、それよりも……



「いや、トー裏キッズが着てる感じのパーカーだな!」



 俺は思わず突っ込んでしまった……だって、そうだろう?

 フードにトライバル的な模様が入ってたり、十字架が逆さまになっていたり、何となく一時期社会問題になったトー裏キッズが着ていそうなパーカーみたいじゃんか。



「……?

何言ってんのか分かんないケド、さっさと退けないと結構ガチ目に殺しちゃうわよ?」


「は?お前みないなチビっ子が?

俺を殺す?

冗談だとしても笑えないんだが?」



 俺は敢えて朧という女を煽ってみた。


 ヤツの纏う空気は異質だ……


 言うほど余裕がある訳では無いので、冷静さを少しでも奪おうと煽って見せた訳だ。


 俺の言葉を聞いた朧はニヤケ面を引き攣らせると同時に、一気に此方に詰めて来た。


 動き出しはまぁまぁ速い……女とは思えない踏み込みスピードだ……だが……



スドォッ!!……ドズシャァァァアッ!!



《うわ!ニキがサイバーっ娘を蹴った!!》

《は!?女の子が地面を転がっとる!?》

《お巡りさん、ニキが美少女に暴力を振るいました!!》

《中二娘ザマァwww》

《み、見えなかった……》

《イケメンニキは以外と女にも容赦しないんだな》



 コメ欄のヤツらは無視で良いだろう。

 つーか、朧はかなりステータス高いだろうに、やっぱ動きがドシロートなんよ。

 簡単に前蹴りを合わせられちゃうんよ。



「チッ!……何で格闘技の練習しないかなぁ!?

朧ぉ!お前、せっかくステータス高いのに、殴る時のフォームがドシロートのソレなんよ!


何で右ストレートの時に、胸開いて上体から突っ込むんだよ!?

ちゃんとストレートを打てない癖に、肉弾戦を挑むとかバカなのか!?」



《テロリストに格闘技のレクチャーするの草》

《敵の攻撃にダメ出ししとるwww》

【¥2,000,000:牌乙愛美:一生のお願いですから抱いて下さい❤️】

《さっさと捕まえろ》

《俺からするとイケメンニキもバカなんだよなぁ…》

《ユーキ様が素敵過ぎる❤️》

《ここから暫くはニキによる鬼練の時間になります》

《雄貴様がカッコ良過ぎて心臓エグれるんですけど❤️❤️❤️》

《愛美様が高額スパチャと共に雌ブタコメしとる……もう終わった……世界の爆乳美少女は皆んなイケメンニキに抱かれるんだ……》



 うん。コメ欄のドシロートは無視だな。

 あと、牌乙愛美さんとやらはDMで何故か裸の画像送って来るし、ジャーマネの皆川さんに頼んでブロック設定してもらおう。



「ク……図に乗ってんなよ、クソガキィィィィイ!!」



 地面に転がる朧に警戒しながらも色々と考えていると、朧が急に叫び出した。



 彼女の体内の魔力もメチャクチャ膨れ上がっているし、やはり勝負はここからという事らしいな……



 叫んだ朧は飛び起きるなり、腰を落として力を溜めている感じだ。

 


ゴキャッ…ゴキャゴキャ……ゴキャッ!



 関節が外れるような音が周囲に響き、朧の身体が少しずつ膨らんで行く……



「ハァッ…ハァッ…

久し振りにこの姿になったわ……

コレでウチのステータス値は運以外2,000を越えた……


この姿を披露したのは、アメリカのSSランク探索者・グッモーニン・アンダーソン以来2人目よ。

誇るが良いわ」



 呼吸を乱しつつ上から目線で気になる事を告げて来た朧の体格は筋骨隆々となっていて、身長も140センチ弱だったのが、170センチ近くに急成長していた。

 パーカーが今にも弾け飛びそうな程パンパンだし、黒いオトナ下着が完全にグッモーニンしている。


 俺は驚きを顔に出さないよう、努めて平静を装い言葉を返す。



「ほう。世界ランク18位のアンダーソンか。

1年前に行方不明だとニュースで報じられていたが、アンダーソンはお前が?」


「ええ。ウチが八つ裂きにしてやったわ。

言っても、この姿のウチに5分と保たなかったけどね」



《ちょ、ちょっと待て!その朧とかいうヤツ、『おはようアンダーソン』を殺したのか!?》

《ヤベェだろ!身体もデカくなってるし》

《ステータス2,000とか、何でそんなヤツが探索者登録されてねえんだ!?》

《ニキ、ソイツはヤバい!早く逃げろ!》

《身体がゴツくなって身長も高くなっとる…バケモンや…》

《雄貴様逃げて!!》



 コメ欄がザワ付く中、朧が動いた……



 次の瞬間、ヤツの右拳が俺の左頬を深く捉えたのだった……。

 


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