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51話 ど底辺のヤツらと神城雄貴に魅せられたヤツ ②


 

備土(ビツチ)瑠奈(るな)視点》



「おい、ルナァ。俺こーいうの弱えんだワ。

俺様の激シブな顔が生パイチンされるよーにセッテーしてくれや」



 コーキがアホっぽい声でアタシに指示して来やがる……。



 マジ何なのコイツ!?何様のつもり!?マジありえねえんだけど!!



 このアホはアタシの事をホンキで考えてるだのチョーシこいた事ぬかしておいて、一緒に探索者になれとか命令して来やがった。

 しかも、このAVJだかいう建物の近くに来てたからだ。

 探索者とかマジでクソ怠いから断りたかったけど、アタシにはコイツの指示に逆らえねえ理由がある。



 この間金が無さすぎて、コーキが大事にしてたっぽい18金のチェーンを金の買取専門店に持って行って売っ払ったのがバレちったんだよなぁ……。

 しかも、換金した50万を自分のクレカの支払いに当てたり、滞納してたスマホ代を払ったり、ホストのカケを払ったり、パチスロに突っ込んでスッたりして殆ど手元に残んなかったんよなぁ……。



 つー訳で、ヤツの命令に逆らえないアタシはどアホのコーキのドレーンだかをヤツのスマホとドーキさせて、ヤツのチャンネルで生パイチン出来るよーにセッテーした。

 ついでにアタシが貰ったドレーンを自分のチャンネルにドーキさせておく。


 初めにコーキに生パイチンさせておいて、トーサツが多いよーならアタシもこっそり生パイチンするっつーのが天才的チノーを持つアタシのスタイルだ。



 「おっ!生パイチン出来たか!?

んんっ………


ちぃっス!!!『帝王コーキチャンネル』生パイチンスタートだぜぇっ!!

今日はコレから初レベリングに行くゼ!!


皆んな、ジャンジャン見に来いや!!

アト、見てるヤツらはダチとかツレにバンバン声かけろ!!

このコーキ様がレアスキルがゲット出来る裏テクを教えてやんよ!!」



 コーキがバカデケエ声でドレーンに向かってべしゃりをかました。

 どーやら、ドレーンに取り付けたスマホの画面にトーサツ数とかコメントとかが表示されるらしー。



《ブサメン乙》

《今時オラついて配信するとかダセエんだがwww》

《勘違い系かよ》

《田舎モンのヤンキーが偉そうにクソみたいな事言ってるんだがwww》

《武器が鉄パイプなの草www》

《コーキは氏ね》

《はいハズレ〜》

《コイツの細眉だけで通報案件》



 早速コメントでダセエとかタシャモンのヤンキーとかゆわれてっし……

 つーか、トーサツ数が最初は12くらいイッたけど、速攻で5になってんじゃん。

 見てるヤツ5人しかいねーとか、マジでコーキは終わってるわ。



 アホのコーキはスマホの画面に気づいてないのか、まだアホみてーにチョーシこいた事言ってる……。

 まぁ、あんまアイツのパイチンに映りたくねーから、ドレーンのカメラが向いてない場所にいよっと。



◆◇◆◇◆



「悪い!ちぃとばかし、ルナとトイレ行って来るぜ!!」



 ダンジョンに着いて暫くすると、コーキが同行しているガイドみてえなアンちゃん3人にわざわざトイレに行くとかぬかしやがった。

 つーか、アタシ別にションの字とかしたくねーのに、勝手に巻き込むなっつーの!!



 内心マジギレしていると、コーキはアタシの手を掴んでダンジョンの奥のホーへと歩いて行く。

 ガイドみてえなヤツはこのダンジョンにはトイレがあるっつってたけど、その時教えてもらった場所と違う気がするんだけど。



「ちょっ、コーキ!

そっちは違くね?トイレって向こーじゃね?」


「バカだな、ルナはよぉ!

コレからレベリングだっつーのに、ガチでションベンたれに行くわけねーべよ。

向こーの階段から下降りて、3カイソーの小ボス部屋に行くんだっつの!」



《見た目通り頭悪くて草www》

《女とセクロスすると思ってティッシュ用意してたんだが……》

《ブサメンでアホとか救いようが無いんだよなぁ》

《一応JSAに連絡した方が良くね?》

《田舎ヤンキーが氏んだ所で無問題》

《小ボスっつっても初心者ダンジョンはラージスライムだし、余程非力な子供とから老人でもない限り大丈夫だろ》



 コーキのアホ丸出しの発言に視ちょー者も呆れてるっぽい。

 アタシもマジで呆れるしか無かった。

 バカには何言っても無駄だし、テキトーな所でバックれるしかねーな。



 アタシはどアホの説得を諦めて、とりまコーキに付いて行く事にした……つーか、腕を掴まれてっから付いて行くしかなかった。



「ちょー、マジで足痛えんだけど!

これ以上歩くのダリーし、アタシは引き返すから!」



 2カイソーを歩いてすぐに、アタシの足が限界になった。

 地面がゴツゴツしてっし、バックれるとかじゃなくマジで足痛え。



「はぁ!?ざけんじゃねーっつの!

つーか、何でダンジョン潜んのにそんな底が分厚いサンダル履いてんだよぉ!!」


「アホかよ!家出る時はアタシは探索者にトーロクしねえってなってただろーが!!

アタシにも探索者になれっつったの家出た後なのに、ふざけんなって!!」


「チッ!わぁったよ!

俺の鉄パイプも渡すから、ツエみてえにして歩けや」



 コーキはそう言って、朝コージゲンバからパクって来た鉄パイプを渡して来やがった。

 つーか、鉄パイプとか両ハシが丸こく曲がってっからツエみてーに使えねえんだけど!!


 

 ダメだ……コイツゲンチ人並みに頭悪い……マトモな話にもなんねーし、どっか分かれ道みてえな所があったらズラかるしかねーわ……



 そー思って鉄パイプとドローンを持ってコーキに付いて行った。

 そこでアタシは自分の間違いに気付いた。



 てか、分かれ道無くね?



 そのままタラタラと30分くらい歩いたところで3カイソーに降りる階段に着いちまったんだげど……

 このまま下に降りたら部屋の前に着くらしーし、部屋に入る前にコーキにバチっと言わねえと……



「おし!小ボス部屋に着いたぜ!

俺がゴグったジョーホーでは、ヘナチ◯のカミシロユーキが強くなったリユーってえのが、レベリング前に小ボスを倒したからっつー事らしーぜ!


つー事で、俺様がコレからヘナチ◯ユーキを越える所を生配信したるぜぇ!!」



《アホ過ぎて草しか生えねえwww》

《英雄のイケメンニキ様をヘナチ◯呼ばわりするとか、お前はガチで氏ね》

《んな事はユーキ様が活躍し始めた頃に色んな新人が検証済みだっつーの。やるだけ無駄》

《レベリングの時にラージスライムを倒す程度で強くなる訳ねえwww》

《クソコーキはワーウルフにやられろ》



 コーキを馬鹿にするコメントがちょこちょことスマホに上がっている。

 アタシもさっさとこのアホに見切りを付けるか……



「あのさぁ、アタシやっぱオメエと別れるわ。

オメエみてえな馬鹿とはもうマジ無理」


「ハァっ!?

そんなん許される訳ねえべよ!!



……チッ!マジめんどくせぇ……



わぁった、わぁった!!

オメエは初めてのダンジョン探索でイラついてんだろ?

オラ、とりま一服してリラックスしろって」



 は!?コイツ今、アタシの事めんどくせぇっつったよな!?

 マジでムカつくんだけど!!


 ヘラヘラとタバコの箱を渡して来るあたりもマジでありえねー!



「タバコを渡すとかご機嫌取りのつもりかよ!?

マジで話になんねー!!

ボス部屋だか何だか知らねーけど、1人で行け!

アタシは帰っから!!」


「あぁぁぁあっ!!

何でタバコ吸わねえかなぁっ!? 

マジ使えねえ女だなぁっ!!」



 アタシが階段の方へ戻ろうとすると、コーキの怒鳴り声が聞こえたと同時に凄え力で腕を掴まれた。


 突然の事に焦って腕を振り解こうとしたけど、そのまま腕を強くひっぱられたアタシは思い切り後方へとぶん投げられた。



 ヤベェ…踏ん張った時に左足を挫いちった……



 地面を転がったアタシは立ちあがろうとしたけど、足首が痛くて直ぐに立ち上がれない。



「じゃあな!使えねえクソアマ!!

このタバコは選別だ!!

ボススライムに殺されとけ!!」



 コーキの言葉で、アタシは自分がぶん投げられた場所がボスの部屋だと気付いた。



 マジかよ、このクソ野郎!!

 アタシを殺そうとするとか、ぜってぇに許せねー!!



 何とか立ち上がってボス部屋の入り口の方へと走ろうとしたけど、挫いた左足に力が入らなくて転んじまった。

 怒り狂いそうになりながら部屋の入り口の方を見ると、既に扉が閉まりかけていて、コーキの吐き気がするニヤケヅラが隙間からチラリと覗いていた。



「テメェ、コーキゴラァ!!

このオトシマエ、ぜってぇ付けさせてやっかんな!!

こっから出て、ぜってぇにブッ殺す!!」


「かっかっかっ!!ヤらせる事以外能無しのオメエに小ボスを倒すなんてムリだっつーの!

魔物相手に股でも開いてろっつーの!!

チャオ〜!!」



 ド腐れゴミ野郎が最後に一等ムカつく事をほざくと、ボス部屋のドアが完全に閉められてしまった。



 ヤバい……どーしよう……



 部屋の中央では変なモヨーがめっちゃ光ってやがる……。

 地面にはドレーンと鉄パイプが転がってる……。



 とりま、ケーサツに電話だ。



 アタシはスマホを手に取って、110に電話した。




ーーーーーーーーーー




藍口(あいぐち)竜樹(たつき)視点》



 変なチンピラとアバズレのせいで講義の時はイラついたけど、午後からは気を取り直して集中しよう。


 昼休憩を終えてJSA本部敷地内の東側に位置する初心者ダンジョン前に並んだ俺は、入念にストレッチをしながらレベリングの時を待っていた。



 後ろの方で先程講義中に盛ろうとしていたチンピラが生配信しているようだが、あんなゴミは無視だ。



 神城君は探索者登録して僅か4ヶ月弱で日本初のSSランク探索者となった。

 俺も必死にトレーニングして、早く彼に追い付きたい。

 そして、来年から始まるという噂のS1武道会(Aランク以上の探索者が模擬戦をして、近接戦闘世界一を決める武道大会)で、神城君にリベンジするのだ。



 俺は闘志を滾らせながらレベリングに挑んだのだが……



「クソッ!何でこんな目に遭うんだ!!」



 測定用魔導具で今回の登録者21名がスキル未所持である事を確認後、レベリングを開始したんだが、3人目がレベリングを終えた時に例のチンピラとアバズレがトイレに行くとか言い出しやがった。

 所が、ヤツらは30分経っても戻って来ない。


 そこで監督役のCランク探索者達がレベリングを一度中断して、俺達は一度地上に戻される事になったのだ。



 どうせヤツらの事だ。ダンジョンの何処かで盛ってやがるに決まってる。

 連中のセッ◯スが終わるまで待たされるとか、マジで有り得ねえんだが。



「おい!コレ、さっきトイレに行ったヤツらじゃねえか!?」

「お、マジじゃん!コレってボス部屋の前じゃね?」



 俺が中々レベリング出来ない事にイラついていると、近くにいた二人組がスマホの画面を見ながら気になる事を話しているのが耳に入った。

 俺は二人組に声をかけてスマホを見せて貰うと、そこにはあのアホどもがボス部屋の前で何やら言い合いをしている様が映っていた。


 女が最後に何かを言って男から離れようとした瞬間、男はボス部屋の扉を開いて女の腕を掴んだ。

 そして、事もあろうか女をボス部屋の中に放り込みやがった。



「このクソ野郎!なんて事をしやがる!!

クソが!マジで殺すぞボケ!!」


「ひ、ひぃぃ!」

「あ、藍口さん恐え……」



 し、しまった。俺は元五輪金メダリストである事を忘れ、思わず汚い言葉を口に出してしまった。

 だが、あのクズ野郎のやった事は殺人と変わらない。

 今や日本の英雄となった神城君が見ても激怒するだろう。



 映像を見て些か頭に血が上った俺はスマホを見せてくれた2人に軽く謝罪をして、初心者ダンジョンへと走った。

 だが、既に事態を把握している様子のJSA職員にダンジョン入り口で制止されてしまった。


 今、BランクとCランクの探索者5名が、ボス部屋のロックを解除する魔導具を持ってボス部屋へと向かったらしい。



「大丈夫です、藍口さん!

3階層の小ボス部屋に出るのはラージスライム。

『ガチ勢』のおかげでイレギュラーは発生しなくなってますし、ラージスライムならばレベリング前の女性でも逃げ回っていれば時間は救助迄の時間は稼げますから!」



 職員の説明は尤もだし、超希少なロック解除の魔導具なんて俺は持ってないから行った所でボス部屋に入れない。

 少しずつ冷静になった俺は、他の登録者達の方へと戻って救助が終わるのを待つ事にした。



 それから15分程経った時、魔導手錠をかけられて探索者2人に連れられたクソ野郎がダンジョン入り口から出て来やがった。



 幾ら拘束されて連行されるとは言え、俺は野郎に一言言ってやらなきゃ気が済まなかった。



「アンタ、マジでふざけてんなよ!

自分の恋人をボス部屋に置いて来るとか、普通にありえないだろ!!」


「ウ、ウルセェ!!

テメェみてえな青二歳に言われる筋合いはねえ!!」

 

「筋合いなら大いにある!

アンタのようなクズのせいで、こっちはレベリングも出来ずにあの女性が救助をされるのを待つしか無いんだ!!」



 クズ男の悪びれない様子に更に腹を立てた俺は、思わずヤツの胸倉を掴んで更なる怒声を浴びせてしまった。



「おいおい、待てよ!

藍口君、ちょっ、落ち着けって!」



 呆気に取られる探索者2人よりも先に俺を制止した男を見て、思わず俺は一瞬フリーズした。

 俺を止めたのは何と……



「神城……神城雄貴君……」


「おっ、俺の本名をちゃんと調べてくれたんだな。

久しぶり、藍口君。

先ずは落ち着いて、何でこんな慌ただしい感じになっているのか説明してくれないか?」



 いつかリベンジを果たしたいと思っていた神城君が来た事に我を忘れそうになったが、俺は一呼吸置いて事のあらましを神城君に説明したのだった。



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