37話 初のパーティー生配信がPPVなんですけど? ②
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是非、お楽しみ下さい!
あれから10階層まで超速で進んだ俺たちは、勢いそのままに小ボス部屋に凸をかました。
そこに出現したグレートバットという大コウモリを、雪乃ちゃんは見事に単騎で討伐して見せた。
って言うか、瞬殺だった……
11階層から16階層迄はBランク中位のキルギオスという、ライオンを凶暴にした感じの魔獣の出現区域である。
コイツもやはり魔物なだけあって、身体能力はバカ高いが予備動作がめちゃくちゃデカい。
先ず、遠距離攻撃として火焔を口から放出するんだが、魔力の溜めが必要らしく、魔力感知のスキルを使わずとも火を吐く感丸出しである。
しかも、動きながら魔力を溜める事が出来ないらしく、20m程距離を置いた所に立ち止まって準備するものだから、只の試し撃ちの的と言っても過言ではない。
俺たちが最初に出くわした5体のキルギオスの内2体が、のんびりと立ち止まって口内に魔力を溜め始めた。
当然、それを見逃す程雪乃ちゃんは甘くないので、音速のクナイ投擲で遠隔火焔攻撃をしようとする2体のキルギオスを瞬殺してのける。
コメ欄は相変わらず《ヤバい》だの《雪乃ちゃんTUEEE》だのと喧しいが、視聴者も魔獣も雪乃ちゃんを舐め過ぎだ。
遠隔では勝ち目が無いと悟った残り3体のキルギオスが俺達との距離を詰めようと、一瞬後ろ脚に重心を移動する。
当然、俺も雪乃ちゃんもソレを見逃す程甘く無い。
奴らの駆け出しよりも一瞬速く飛び出し、前進移動によるカウンターを仕掛ける。
Bランク以下の獣系の魔物は不思議なモノで、距離を詰めたり飛び付き攻撃を仕掛ける際に目標の獲物との距離に大きなズレが生じると、動作の修正が出来ずに一瞬身体が硬直してしまう。
まぁ、コンマ3秒程の硬直なんだが。
予め俺たちとの距離を目算していたっぽいキルギオスは、案の定俺達の素早い動き出しに面くらい、二歩目の駆け出し直前に身体が硬直した。
俺は2体の頭部をミスリルの籠手によるグーパンで破砕して、雪乃ちゃんは残りの1体をURスキル【紫雷閃】で仕留めて見せる。
【紫雷閃】はナンシィ(仮)特製のミスリル合金製小太刀の刀身に紫色の雷を纏わせて斬り付ける技で、生配信映えする上に威力も凄まじい。
雪乃ちゃんに斬られた個体は縦真っ二つになった上に丸焦げ状態である。
とまぁ、そんな感じでキルギオスの出る階層を2人の息の合ったコンビネーションで屠りながら進んで行き、遂に運命の17階層に到達した。
未踏派ダンジョンでも解析用魔導具によって道中魔物と小ボスと中ボスの情報は公開されている。
此処から24階層までの道中魔物は、俺達と因縁深いワーウルフだ。
「視聴者諸君、これから現れる道中魔物はワーウルフだ。
前に左腕をぐちゃぐちゃにへし折られたリベンジをして来るぜ!
桐斗〜!あの時より強くなったパパを見ていてくれよ〜!」
《いや、アンタ既にワーウルフ倒しとるやんw》
《レベリング前にヤッただろ》
《リベンジになってねえw》
《ユーキ様にリベンジされるワーウルフザマァwww》
《リベンジはワーウルフがニキに対して使う言葉》
《ユーキ様素敵❤️》
《ワーウルフ君達にとって最早絶望しかない》
チッ!視聴者連中は分かって無いぜ!
あの時の俺は動き的に40点だったんだ。
ナンシィ(仮)が調整してくれた素晴らしい剣を持ち、オヤッさんの腕を痛め付けて迄猛練習したにも関わらずあの体たらく。
今回はあんな無様な感じでは無く、スマートに瞬殺して見せる!!
俺は決意を新たに、【広域魔力感知】で把握しておいたワーウルフが固まっているポイントへと加速する。
「約60メートル先に7体のワーウルフがいる!」
「では、私が先にリベンジさせて貰います!!」
あ…雪乃ちゃんが充分な加速から5連続でクナイを投げた……
アカン、5体とも頭を吹き飛ばされとる……
《まさかの雪乃ちゃんが瞬殺!!》
《マジで強えよな》
《ガチ勢リーダーの名は伊達じゃない》
《いつクナイ投げたのか分からんかった……》
《巨ニューで美少女で最強とか、最高かよ!!》
《“ユキノの美しさと強さは完璧だ!彼女こそ現実世界のワン◯ーウーマンだよ!”》
《こんな完璧な美女が毎晩ニキに弄ばれているんだよな……》
《ユキノちゃん最強説》
《先程リベンジに息巻いてたニキ涙目www》
これまでのレベルアップによって、雪乃ちゃんの敏捷性は最早俺を上回っている。
残り2体は俺が華麗に仕留めねば。
「雪乃ちゃん、残りは俺にリベンジさせてくれ!」
俺が更に加速しようとする雪乃ちゃんに声をかけると、雪乃ちゃんはコクリと可愛らしく頷いてスピードを緩めてくれた。
良し、此処からが俺の見せ場だ!
此処のワーウルフはスタンピード間近という事が関係してか、以前俺が対峙した個体よりも2割増しに強い。
俺は仲間が瞬殺されて動きを止めた1体のワーウルフの懐に飛び込むなり、地面を強く踏み締めた下半身の力と腰の捻りを連動させた渾身の左ボディアッパーを叩き込む。
ドゴォォォオン!!
爆発音と共にワーウルフの土手っ腹に大きな風穴が空いた。
5メートル程離れた所に居るもう一体は既に体勢を整えて、此方に突っ込もうとしている。
……面白い!この場で迎え撃ってやるぜ!
「さぁ来い、ワーウルフ!
『ガチ勢』荷物持ちの神城雄貴が相手になってやる!」
《中二病再発www》
《こんな強え荷物持ちが居てたまるか!!》
《ニキが荷物持ちだったとはw》
《イケメンニキはアイテムボックス持ちだから荷物持ちは強ち間違いでは無いが、違和感がハンパない》
《ワーウルフたん、ニキにリベンジだ!!》
《剣すら持ってねえwww》
コメ欄は相変わらずわちゃついてるので、無視だな。
そんな事を思っている内に、ワーウルフが射程距離まで詰めて来た。
既にヤツは右手の振り下ろしのモーションに入っているが……
レベリング前よりも更に初動がハッキリと知覚出来るし、既に俺はヤツの右手の外側へと反射的に動いてしまっている。
当然ヤツは盛大に空振り、自分の振り下ろしの勢いで前につんのめった。
危うく無意識に右ボディアッパーを見舞いそうになるが、何とか攻撃を踏み止まる。
イカンな……ステータスが爆上がりした為か、動体視力も反射速度も段違いに上がっているんだな。
うっかりワンパンで殺してしまわないよう気をつけよう。
俺は集中力を高めて、ワーウルフの動きを見る事に徹した。
ワーウルフが腕をスウィングする速度自体は遅くは無い。
でも、俺は容易に攻撃を避けられる。
予備動作や初動が見え見えという事も有るんだが、剥き出しの上半身の筋肉の状態からして、これから攻撃しますよ感が満載なのだ。
右手の攻撃前は右腕の筋肉がガッチガチの状態になる。
横薙ぎに腕を振るう時は上体を捻るし、振り下ろしの時はバレーのスパイクのように上体を逸らす。
振るう直前の掌や腕の角度を見れば、攻撃の軌道も丸分かり。
プロ格闘家のノーモーションの攻撃やコンパクトなスウィングというのは、日々の研鑽と反復練習の賜物である。
コイツら魔物は当然、そんな研鑽や練習はしない。
本能の赴くまま、全力で人間を攻撃するから全ての動作がとにかく雑。
某ボクシング世界王者の言葉に俺は感銘を受けた。
『プロボクサーは1年の364日は影で厳しいトレーニングを続けて、日の目を浴びるのはたった1日だけ』
この言葉は少しオーバーな表現だろうが、試合のたった数十分にベストパフォーマンスを発揮する為に、プロ格闘家は毎日影で厳しいトレーニングを行っているのだ。
生配信の視聴者のど素人共の多くは、訓練に多くの時間を費やす俺を馬鹿にする……
……だが……
「コレが毎日ハードなトレーニングを続ける、プロ格闘家のベストパフォーマンスじゃぁぁあっ!!」
ワーウルフが上体を左側に捻る。
即座に右へ踏み込む。
ヤツが左腕を振り抜くと同時に、右腕の籠手でヤツの左前腕に裏拳を叩きつける。
腕を弾かれたワーウルフは大きく左へと蹌踉けた。
力強くステップイン。
ヤツのガラ空きのボディに軽く左ボディアッパーを叩き込む。
数歩後退するワーウルフ。
上体を屈めて右手で腹を押さえている。
俺は一気に踏み込み、下がった頭部にノーモーションの右ストレートを振り抜いた。
ドパーーーン!!
《ギャァァア!!》
《ワーウルフ君の頭が破裂したァァァァ!!》
《子供に見せたらいけないヤツ》
《でも、イケメンニキの動き凄えよな》
《“ブッ飛んでる!素手でワーウルフ2体を瞬殺するなんて!!!”》
《ニキの動きが速すぎて何をやったのか分からない件》
《ユーキ様がイケメン過ぎる❤️》
クッ…少し張り切り過ぎたか?
ワーウルフ相手ならもう少し手加減をした方が良いかも知れん。
俺はテンションを一旦落ち着けて、その後は雪乃ちゃんと上手く役割分担をして道中ワーウルフを倒しながら先へ先へと進んで行った。
20階層の中ボスはレオパルドンという岩石で出来た獅子の様なボス魔物だったが、コイツは岩石の体のせいかワーウルフよりも動きが遅く、俺が余裕のワンパンで討伐。
そのままの勢いでワーウルフ地帯を抜けて25階層に到達。
この階層ではBランク上位のラミアが現れた。
この魔物は上半身が裸婦、下半身が蛇という何ともけしからん容姿のヤツで、幻惑魔法からの槍攻撃を得意とするらしい。
らしいというのは、映像が残っていない為だ。海外の探索者が討伐したらしいんだが、なにぶん上半身がトップレスなものだから色々と映したらマズいんだろう。
こうして実際にラミアと対峙して、映したらマズいという理由が理解出来る……
ギュギュギュミチィィィッ!!
「い、いでぇ!!」
俺がラミアと対峙していると、不意にケツに激痛が走った。
振り返ると、雪乃ちゃんが穏やかでは無い微笑みを浮かべていらっしゃるではないか。
「……ユーキさん……何を見惚れているんですか?」
「あ……う……ち、違うから!
俺が雪乃ちゃん以外に見惚れるワケナイヨネー」
「くっ…何でカタコトなんですか!
……
……あの女ァァ!!」
闇のオーラを纏わせた雪乃ちゃんは俺ですら察知出来ない程のノーモーションから超加速して、ラミアさんを小太刀で八つ裂きにした。
その後も怒りの雪乃ちゃんが先導する形で、道中のラミアさん達を一瞬で斬り捨てて行く……
《ユキノちゃん恐ろしい……》
《キャメラにラミアたんがチラッと映ると同時にバラバラになっとる……》
《“日本の女性は恐ろしいね。ステイツの女性は魔物の裸を見たくらいで怒らないよ”》
《だが、その嫉妬深さがイイ!!》
《”ラミアが幻惑魔法を使う間もなく瞬殺とか、普通にあり得ない光景なんだが……“》
コメ欄の面々も雪乃ちゃんの鬼神の如き戦闘に驚愕しているようだ……
ん?かなり大きな魔力反応が有るぞ?
28階層の道中で、俺の【広域魔力感知】に特異個体3体の反応があった。
進路的に29階層へのゲートの方向なので、戦闘は避けられないだろう。
「雪乃ちゃん、ちょっとスピードを緩めてくれ!
この先を300メートル程進んだ地点にラミアよりも強い魔力反応がある。
俺が先行しよう」
「分かりました!お願いします!」
そう言って雪乃ちゃんとポジションを入れ替わった俺は、警戒心マックスでダンジョン内を進んで行く。
直ぐに特異個体の反応が有った場所が見えて来たのだが、そこには何と3体のマンティスマンが道を塞ぐように立っていたのだった……。




