26話 神城雄貴の朝練に驚愕するヤツ
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《柊彩音視点》
最初に彼を見たのは夕方のニュースでしたわ。
あの時に、私の心は奪われてしまったんですの。
スピードやパワーは間違いなくレベリング前の一般人のモノ。なのに、Bランク上位のワーウルフを序盤圧倒して見せた立ち回りには、正直戦慄を覚えたのですわ。
そして、窮地に陥りながらも、キリトちゃんの為に強敵に立ち向かう勇ましさ、キリトちゃんへの深い愛情、そして端正なお顔立ち…
ニュースを見終えた時にはすっかり恋に落ちており、私は絶対にこのお方の恋人に…いいて、妻になりたいと思って動き出したのですわ。
そんな彼のパーティーへの加入条件は朝の特訓について行ける事。
確か、ユーキ様のお師匠様……お名前はマルガオ会長だったかしら?
そのマルガオ氏曰く、ユーキ様は中学生の頃から毎日ハードな走り込みや、格闘技の練習を積んで来られたのだとか。
相手の攻撃を躱した直後に強い攻撃を打てるように、何度も何度も同じ動きを練習するとマルガオ氏は仰ってましたが、ピンと来ないのですわ。
こう言ってはなんですが、私は戦闘の天才ですのよ。
中学生レベルの練習について行けない訳が無いのですわ!
国内最年少Sランク探索者の私にとって、その程度の練習は造作もないと思っていた………時期もありましたが………
「ハァ…ハァ…ゼェ…ど、どうして…
わ、私より…ハッ、ハッ…は、速いんですの?」
「だらしないぞ、彩音!
今日はいつもの八割で走ってやってるんだ。周回遅れになったらその時点で脱落だからな!」
「ふふふ…貴女のユーキさんへの想いなんて、その程度という事ですね。
初日の私でも最初のランニングは付いて行けたというのに…」
クッ…雪乃に勝ち誇った態度を取られるのは腹が立ちますわ。
で、ですが…身体が気持ちに応えてくれないんですの…
弱気になってはダメですわ!所詮、彼等は私のレベルの三分の一以下。
ステータスもかなり開きがある筈………ステータス制限の魔導具を付けていても、確実に私の方が身体能力の数値は上!
絶対に、絶対に捲ってやりますわぁぁあ!!
◆◇◆◇◆
「目が覚めたか?」
「ハッ!こ、此処は!?」
「酸欠で倒れたから、医務室に運んだんだ」
私はどうやら気を失っていたようですわ…な、情け無い……最初のランニングで倒れるなんて……
「ショックだろう?
レベルもステータスも劣る俺達の軽めのランニングすら付いて来れなかったんだからな。
思い知ったか?
お前ら探索者は体捌きがど素人だという現実を。
お前は走り方からしてど素人丸出しだから、ステータスの低い俺達にすら容易に離される」
「は、走り方…ですの?」
「ああ。先ず、脚の運びがゴミ。
何事にも適したフォームという物がある。
どういう風にすれば、より効率的に身体を前に運ぶ事が出来るのか。より脚の回転数を上げる事が出来るのかを何も考えていない。
ただ、漫然と脚を動かしているだけ。
で、何より重要な事が、足でしっかりと地面を捉えていない。
力が強くても、その力が分散されるから推進力が下がる。
平坦に慣らされたJSAの訓練場でその有り様だ。地面がゴツゴツしたダンジョンでは余計に動きがスッとろくなる。
探索者活動は命が懸かっているというのに、一番基礎となる身体の動かし方に貴様らはまるで注意を払ってない。
俺達プロ格闘家(の練習を積み重ね捲っただけの素人)は、どうすれば理想的な動きが出来るかを常に考えながらトレーニングをしている。
理想的な動きが出来るまで、いや…理想的な動きが出来るようになっても尚、身体に動きを染み込ませるように何千何万と同じ練習を繰り返す。
分かったか?貴様らがステータスやスキルに胡座をかいているだけのど素人と呼ばれる理由が」
ユーキ様の話を聞き、私は言葉が出なくなりました…
それが例え、探索者をど素人呼ばわりしているのがユーキ様だけなのに、さも世間でそう言われているかのような言い方だとしても…
私はパーティーに加入する資格が無いのですわ…
落ち込んでいる私に、ユーキ様は優しく微笑んでくれました。
「まぁ、そう落ち込むな。
彩音は魔法使いだろ?今は体捌きが底辺でも仕方ない。
失神するまで食らいつこうとした根性を買って、特別に雪乃ちゃんのパーティーに入る事を認めよう」
「へ???
ゆ、雪乃さんのパーティー???」
「ああ。リーダーは雪乃ちゃんだからな」
その事実を聞き、嬉しい反面複雑な気分になりました。
ユーキ様と探索者活動が出来て嬉しいのですが、あの女の指示に従わなくてはいけないのが癪に障るのですわ。
「何か納得行かないみたいだが、雪乃ちゃん程リーダーに相応しい人は居ないぞ?
頭脳明晰で判断力もある。何より、戦闘を俯瞰で見る視野の広さが素晴らしい。
納得行かないなら、パーティー加入は無しで」
「あ、あわわわ!ま、待ってくださいまし!
ゆ、雪乃さんがリーダーで…ぐぬぬぬ…か、構わないのですわ!」
「ふふふ。貴女を顎で使ってあげますから、覚悟しておいて下さいね?
それと、私が大学の講義を終えたら、夕方から戦闘訓練ですよ。
夕方の訓練は文字通り半殺しにシゴきますから覚悟して下さいね?」
雪乃さんは物騒な事を言うと、表情を和らげて右手を差し出しました。
「私達のパーティー、『ガチ勢』へようこそ。彩音さん」
「パ……」
「パ?」
「パーティー名がクソダサいのですわぁぁあ!!」
私はパーティー名の余りのセンスの無さに、絶叫致しました。
そして、夕方からの戦闘訓練で、宣言通り半殺しにされたのですわ……




