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25話 パーティーを結成したんですけど?(仮)

 


「そ、そうだな。

 美味しい話には裏が有るというのは良く言われるし、現れたタイミングも妙に良かった。

 会長、何を謀ってやがる?」


「謀るなんて悪意のある言い方だな。

 君達は国内で完全攻略されたダンジョンが最高で何ランクか知っているかね?」



 何だコイツは?質問に質問で返すのはバカだと教わらなかったのか?



「確かCランクだろ」


「そう。しかも、東京の板橋Cランクダンジョンと広島の呉ダンジョンの2箇所のみ。

 日本政府が民間のダンジョン参入を認可して、本格的にダンジョン探索に乗り出して8年が経つ。

 その間、完全攻略されて鎮静化したダンジョンはCランクダンジョン2箇所を含めた21箇所のみだ。

 全国には未だ未攻略のダンジョンが128箇所も有るんだよ」


「そうか。

 だが、それと俺達をSランクパーティーにさせたい理由がどう関係あるんだ?」



 話がまるで見えて来ないので、俺は少しイラッとしながら続きを促した。

 会長は俺に呆れたような目線を送ってやがる。



 小馬鹿にされたようでイラつくが、話の腰を折る訳にもいかないので俺はダンマリを決め込む。



「そこまで言って分からないのかね?

 鎮静化していないダンジョンの脅威は君が先日体感した通り。

 Bランクの立川ダンジョンでスタンピードが発生しかけた今、全国のどのダンジョンでスタンピードが発生してもおかしくない状況なんだよ。


 だが、ダンジョン踏破を目的とした国定依頼を出す事が出来るのはSランク以上のパーティーのみ。

 法律的にも倫理的にも、ソロのSランク探索者には国定依頼は出せないのは理解しているだろう?

 つまり、君達にダンジョン踏破の国定依頼を受けて貰いたい為に彩音を君達のパーティーに入れたいという訳さ」


「別に俺達みたいな新人なんかを無理矢理Sランクにしなくても、他に優秀なパーティーならゴロゴロいるだろう?」


「君は真面目にそう思ってるのかね?

 ハァ…言っとくが、君らのような逸材はこの日本どころか海外にも滅多に居ないよ。

 確かにステータス値だけで言えば、君らより高いレベルやステータスの探索者はゴロゴロいるだろう。


 だが、君らのような戦い方が出来る探索者など、日本には居ない。

 神城君はまるで相手の攻撃を予知しているとしか思えない程の見切りで、レベリング前のワーウルフ戦ですら相手の攻撃の直撃を許さなかった。

 雪乃君は本来牽制に使う程度のクナイで魔物の頭に風穴を開けるという離れ業をやってのける。


 しかも、2人とも抜群に位置どりや体捌きが良い。

 人間よりも遥かに俊敏な魔物相手に、常に自分達が優位なポジションを取り続けるなんて、普通は有り得ない事なんだよ」



 マジかよ…怖いぐらい俺達を持ち上げるじゃん。

 会長の話が長過ぎて、桐斗はむにゃむにゃと眠りに付いてしまったし…



「なぁ、一つ疑問なんだが、何で探索者は体術を突き詰めようとしないんだ?

 此間ダンジョンで全滅したヘクターのパーティーなんて、高いステータスに胡座をかいてるのか、体捌きや状況判断はど素人丸出しだったぞ」


「は!?『カマチョ&ザ・ファミリーストーン』をど素人だって!?」


「ああ。アイツらは格闘を舐め腐ってる。

 魔物の初動をまるで見ていないから、簡単に相手の得意な位置まで距離を詰められていた。

 普通は相手の初動が目に入った瞬間に反射的に体が動くようになるまで、只管に基礎練を行うのが当然だ。

 人間と違って魔物はフェイントやモーションを変えての攻撃をしないんだからな。


 俺らプロ格闘家からすると、相手のアクションに対してのリアクションが遅過ぎる。

 リアクションが遅いから後手に回る。格下相手ならステータスやスキルでゴリ押し出来るだろうが、あのパーティーは全員お粗末過ぎて、ペイパービューで見た時は呆れて言葉にならんかったぜ」


「ちょ、ちょ、ちょっと待とうか、神城君。

 彼らが不幸な結末になったのは、ダンジョンでイレギュラーが発生したからだ。

 Aランクパーティーの彼らでは、Sランク上位のマンティスマンを相手取るには分が悪過ぎる」


「だ・か・ら!それはアイツらがマンティスマンの見え見えな初動を見落として、ボサっと突っ立ってたからだろうって話!

 それに、あの魔物の形状から攻撃パターンなんて両手の鎌を横薙ぎに振るうか、斜め下に振り下ろすか、斜め上に振り上げるしか無いのは明白だろ!


 更に言うと、マンティスマンは加速する時の脚の溜めが大き過ぎ。攻撃前の両腕の位置、重心、脚位置、鎌の向きでどの攻撃をするのか丸分かり。近接攻撃以外無いから射程距離も丸分かり。

 幾らマンティスマンがステータスが高かろうが、魔物なんて体捌きが素人以下なんだから、Aランクのステータスが有れば余裕で討伐出来るわい!」



 俺がこの間のヘクター達の戦闘について持論を呈すると、会長はポカンと口を開けたまま固まってしまった。



「き、君は……

 いや、そこまで近接戦闘を突き詰めているからこそ、レベリング前にワーウルフを討伐するなんていう奇跡的な所業をやってのけたんだろうな…


 神城君、君はやはりSランクパーティーとして、国内の探索者を引っ張って行く存在になるべきだ」



 口を開いたと思ったら、このオッサンとんでもない事を言いやがる。

 何で新人が諸先輩方を引っ張らなければならんのだ!?

 そんな事をすれば、全国の探索者がストライキを起こすだろ。



 俺がオッサンの言葉に呆れていると、オッサンはそのまま話を続けた。



「そんな君と雪乃君にも足りないモノがある。

 それこそが、彩音を君達のパーティーに入れたい理由なんだ」


「ああ。俺達は圧倒的に経験不足だからな。

 15歳から探索者をして、僅か3年でSランクに駆け上がった天才の彩音を入れてカバーしようって魂胆だな?」


「全然違う。

 それに、僅か1ヶ月足らずでSランクになった君に天才とか言われても、馬鹿にされているとしか思えないだろう。


 君らに不足しているのは罠の探知と、広域殲滅能力だ。

 Bランク以上のダンジョンは、中層以降高は罠も多くなるし、ランクモンスターが群れを作って襲って来るようになる。

 一度に10体以上の魔物に襲われたら、幾ら君達でも後手に回らざるを得ないだろう」



 何を言い出すと思えばそんな事か。

 的外れも良い所だな。



「クックック…俺達が広域殲滅出来ないだと?

 まさか貴様、先日の生配信が俺達の全力だと思っているのか?」


「何ぃぃっ!?イレギュラー出現のケルベロスと戦ったのに、全力では無いと言うのか!?」


「当然だろう?

 生配信で自分の手の内を全て晒す阿呆が何処にいるのだ?

 あの時点で俺には広域殲滅型の攻撃が手の内に有った。

 そして、前回格上ボスを討伐したボーナスで、雪乃ちゃんにも広域殲滅の攻撃スキルが身に付いた。

 後は2人っきりで基礎練と並行して、スキルを突き詰める特訓をすれば、実戦で使える強力なカードになるだろう」


「ぐっ…ま、まさか2人の強さがそこまでとは……この柊剛造、一生の不覚っ!!」



 ククク…オッサンもようやく自分の愚かさを思い知ったようだ。


 だが、経験という面でも、Sランクパーティー特権という面でも、彩音を入れてSランクパーティーになった方が良さそうだ。

 それに、日本が危機的状況だと聞いて、国定依頼を受けられないAランクパーティーになるというのも良い事では無い。



「まぁ、ここまで言われてAランクパーティーから始めるのも違うと思うしな。

 良かろう。彩音が明日からの我々との朝練に必死で付いて来ると約束出来るなら、パーティーに加わる事を認めてやる」


「ほ、本当ですの!?

 ありがとうございますわ!!キリトちゃんを誘拐した甲斐がありましたわ!」


「ありがとう、神城君!本当にありがとう!」


「おい、彩音。今度桐斗を人質に取ったら、顔面の形が変わる程ボコボコにするからな。

 それと、喜ぶのは早い。俺達の地獄の朝練について来れなかったら加入は認めない。


 運動神経がかなり発達していて、レベル6スタートした雪乃ちゃんでも、最初はかなりしんどそうだったんだ。

 親父に甘やかされ放題の貴様に付いて来れるとは思えんな」


「確かに、最初はかなり地獄を見ましたね。

 高校生の時陸上部で中距離と長距離で都の上位だった私でも、最初の5日間はヤバかったです」


「そんな事ですの?言っておきますが、私のレベルは121ですわ。

 レベル6の新人と一緒にしないで欲しいのですわ」



 良し、言質は取った。

 この時代錯誤な令嬢言葉を使う自己中お嬢様が加入出来なくても、文句は言わせない。



 俺と雪乃ちゃんは顔を見合わせて、悪い笑みを浮かべるのだった。



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