17話 初めてのダンジョン生配信してますけど!? ②
「で、では、私もちょっと戦いたいと思います」
《雪乃ちゃんのターン来たw》
《ティッシュの準備完了》
《マジで可愛いんですが、惚れても良いですか?》
《一歩進む度に弾むパイオツwww》
【¥3,000,000:紳士村上: 芸術的なバストへのお布施です】
《お巡りさんコイツらです↑》
《雪乃ちゃん慎重にね!》
あの後も肉の匂いで誘き出したハウリンウルフを20体程狩った所で、魔物の動きに目が慣れたという雪乃ちゃんと交代する事にした。
コラボが決まってから毎日JSAの訓練場で一緒に特訓をしたんだが、雪乃ちゃんはかなり戦闘のセンスが良かった。
飲み込みが早いし、元々の運動神経が良かった上にレベリングでかなり優秀なスキルを得た事で、並みの探索者では話にならない程の戦闘力を身に付けている。
彼女を下衆な目で見ているコメ欄の変態どもめ、雪乃ちゃんの能力の高さを思い知るが良い。
そして、ナンシィ(仮)の装備品の凄さも瞼に焼き付けるのだ。
「ハウリンウルフが2体来ました!
じゃあ、行きます!」
雪乃ちゃんは訓練で教えた半身の構えから、最小のモーションでクナイを投げた。
女性が放ったとは思えない程の超スピードで飛んだクナイは、先頭の1体の狼の額に大穴を開けた。
雪乃ちゃんが更に続け様に2本目のクナイを投げると、2体目のウルフの頭部が爆散する。
《え?》
《は?》
《待て待て待て》
《何それ》
《2人とも人外で草》
《投げた時のオッパイの揺れで3杯イケました》
《強すぎやろwww》
こちらのコメント欄は戸惑っているヤツが多い。
恐らく雪乃ちゃんのチャンネルのコメ欄も同様だろう。
彼女が得たスキルはEX職業スキルの【ニンジャマスター】、UR戦闘スキルの【身体能力強化】、SR戦闘スキルの【投擲超強化】、UR戦闘スキルの【魔力増強】、UR戦闘スキルの【紫雷閃】の五種類。
敏捷性と器用のステータスが高い彼女にとって、投擲武器を強化するスキルや身体能力を強化するスキルはめちゃくちゃ相性が良いモノだった。
くノ一っぽい露出過多な戦闘着の上からマントを羽織る事で、露出を抑える効果+投擲の初動を悟らせないというダブル効果を狙った訳だ。
因みにくノ一っぽい装備品は其々に敏捷性と器用さを上げる効果が付与されており、マントには魔法耐性が付与されているらしい。
流石、ナンシィ(仮)は職人としてだけは素晴らしい。
因みに横で見ている俺からは、クナイを抜いて投げる一瞬だけ眩しい太ももさんがコンニチワするのだが、彼女の背後を飛んでいるドローンには映らないだろう。
「やった!やりました!
ユーキさん、私、訓練通りに出来ました!」
討伐を終えた雪乃ちゃんは興奮気味に抱きついて来た。
ほ、豊満な胸が何かヤバい…
くっ…鎮まれ俺のジュニアよ…
《イケメンニキがモッコリしてて草》
《巨乳美女に抱きつかれたら当然の反応》
《離れなさい乳娘!》
《キリトちゃんに言いつけるぞこの野郎!》
【¥1,000,000:『無限天領』YUNA: 初モッコリのご祝儀です❤️】
クソ!何だよYUNAさんの初モッコリご祝儀って!
ドローンの下に取り付けてあるスマホのコメ欄を見た雪乃ちゃんは慌てて俺から離れたが、最早後の祭りとばかりに下衆なコメントで溢れ返っている。
そして、俺のモッコリはまだ収まっていない…
俺のチャンネルだけで同接700万人越え…
マズい事になって参りましたよ?コレは明日のネットニュースが俺のモッコリ記事一色かも知れませんよ?
俺と雪乃ちゃんはスマホ画面から目を逸らし、深呼吸を繰り返すのだった。
◆◇◆◇◆
気を取り直した俺達は、一気に探索スピードを早めて下へ下へと降りて行く。
2階層から現れたオークジェネラルは馬鹿力と体表が少し硬いだけで、動きが遅くて初動が見え見えだった為、ハウリンウルフよりも楽に倒せた。
お互い無言だが、それは別に先程の事件で気まずいからでは無い。
初探索に集中しているだけである。
《胸を押し付けられただけで無言になるとか、反応が童貞中学生なんよなぁ》
《ほんそれw一児の父親とは思えんwww》
《寧ろそのギャップが堪らない》
《ユーキ様は無言でも尊い》
《何気に女性ファンも多いから、刺激しないように無言を貫いてるだけじゃね?》
色々と言われているが無視だ。
何しろ今到達した6階層からはカースドバイパーという毒蛇的な魔物が現れる。
蛇系の魔物は独特な柔軟性から、攻撃の角度やタイミングが少しだけ読み辛い。
と、早速毒蛇さんのお出ましだ。最初は確実に仕留めなくては…。
「雪乃ひゃ…
…雪乃ちゃん!
カースドバイパーだ!少し下がってくれ!」
《噛んだ》
《噛んだな》
《噛んでから言い直したw》
《効いてる効いてるぅぅう!》
《お前らw》
クソ!コメ欄マジでムカつくんですけど!
俺はイラ付きを何とか抑えて、毒蛇の前に出た。
とは言え、やる事はとても単純だ。
アイテムボックスから発光球という魔導具を取り出したら、起動させて地面に転がすだけ。
キシャァァァア!!
次の瞬間、カースドバイパーは発光球目掛けて攻撃を仕掛けた。
コイツは視覚よりも熱を感知して攻撃を仕掛ける習性を持っている。
発光中は50〜60度近くなる発光球を転がすと、俺では無く其方に襲い掛かるという寸法だ。
後は見当外れな場所を攻撃する毒蛇の頭に剣を突き立てるだけ。
「おし、サクッと片付いたな。
もっと梃子摺ると思ったんだが、意外と弱いのかもな」
《んな訳ねえw》
《カースドバイパーの頭蓋骨ってめちゃくちゃ硬いよな?
剣があんなにサクッと刺さるのは何故?》
《イケメンニキは常識が無いのがデフォ》
《ユーキさんの動き速すぎて、いつトドメを刺したかも分からんかった》
《あれはスピードと言うより、攻撃のモーションがとても小さいのよ。
やはり、彼は基本的な運動能力がずば抜けてるわね》
《解説ネキ現るw》
《解説ネキのオッパイは何カップですか?》
はい、無視無視。
プロっぽい女性が解説してくれるみたいだし、コメ欄は放置で良いや。
俺はそれから立て続けに3体のカースドバイパーを同じ手口でサクッと仕留め、ドロップアイテムの革や牙、魔石を回収する。
「ユーキさん、次のカースドバイパーは私が戦って良いですか?」
「うん。じゃあ、取り敢えず発光球を2つ渡しておこうか」
雪乃ちゃんは俺から発光球を2つ受け取ると、俺の魔力感知にしたがって一体の毒蛇に近付いて行く。
うん、腰を下として半身に構える姿勢を見ても、問題は無さそうだ。
安心した俺はふと腕時計に目を落とす。
探索をスタートして1時間半か…桐斗は今頃リビングのモニターで姉貴と一緒に生配信を見てるんだろうな。
姉貴はコメ欄を表示させる事は無いだろうから、俺の如何わしい感じも伝わってないかも…
「いやぁぁあ!ユーキさん、た、助けてぇぇえ!」
突如響いた雪乃ちゃんの声。
俺は慌てて声のする方を向くと…
…何ともけしからん感じに、毒蛇を身体に巻き付ける雪乃ちゃんの姿が…
な、何であんな事に?足元からご丁寧に胸の谷間を通ったのか、蛇の巻き付きが良い感じ…いや、けしからん感じに雪乃ちゃんの豊満なお胸を強調している…
《ニキのモッコリPart2キターーー!!》
《本日はユーキ様のモッコリ祭りw》
《ヤベ、箱ティッシュが切れた!コンビニ行ってくる》
《蛇に巻き付かれる雪乃ちゃん…ハァハァ》
【¥5,000,000:『無限天領』YUNA:ユーキ様のモッコリが尊いです❤️】
《カースドバイパーが空気読んで呪詛攻撃しないの草》
《蛇さん良い仕事してるなw》
《もう少しスカートを押し上げてくれたらバイパー君にスパチャ投げる》
《ユナ様のご祝儀が増えている件www》
《た、確かに神城君のモッコリは素晴らしいわね。
強靭な体幹を誇る彼ならではの芸術的なモッコリだわ》
《モッコリで稼ぐ男ユーキw》
《【悲報】解説ネキ、モッコリの解説始めました》
クソ!コイツら増長しまくってやがる!
けしからん蛇とコメ欄の連中に腹を立てた俺は、涙目で身体中に蛇を巻き付ける雪乃ちゃんの側に行き、カースドバイパーの頭を一瞬で握り潰した。
拘束が解けた雪乃ちゃんがふらふらと力無く倒れそうになったので、俺は慌てて彼女の身体を抱き止めた。
あ…この流れはマズい…
《うひょぉお!雪乃ちゃんを抱いたぁぁあ!》
《ニキ、マジで56す!》
《またモッコリしとるwww》
【¥10,000,000:『無限天領』YUNA:はうう…ハグからのモッコリが芸術的過ぎます❤️】
《何と言う役得www》
《俺も雪乃ちゃんを抱きしめてぇよぉ!》
《成る程、雪乃ちゃんを支える強靭な下半身。連動して隆起するモッコリ。
地面を踏み締める力を余す事なく股間に連動させているという訳ね》
《イケメンニキは4ね》
《ニキのモッコリの稼ぎがワイの年収を余裕で越えとる件www》
《【悲報】解説ネキ、モッコリの解説が止まらない》
アカン…もう社会的に死んだヤツだ…
雪乃ちゃんは赤面したまま何故か立ち上がろうとしないし、暴力的なお胸の感触がヤバくてモッコリが収まらんし…
生配信は本日をもって終了だな…
イラストを少し修正しました。
少しだけ尻とか足を細くした程度ですが。
修正に気付いた方は是非ブクマ登録をお願い致します!!