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15話 男の素の部分が滲み出てるんですけど!?


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登録&評価が増えると執筆ペースが加速するタイプの人間なので、何卒宜しくお願いします!


 


「あらぁぁん、雄貴サマいらっしゃあい!

 もう、ニュースで見たわよぉ!?探索者登録で話題を集めるなんて、流石アタシのダァリンだわぁ」


 来た…来てしまった…『巌窟堂』に……。

 初っ端からカマやろ…ナンシィ(仮)が喧しいし近い……。

 いや、俺は奴との間の距離は一定を保っている。ヤツの顔がデカ過ぎて遠近感が狂ってしまったのだろう。


「誰がダーリンだよ、馬鹿野郎!

 今日はもうワンランク上の片手剣と、此方の雪乃ちゃんの装備品を見繕って貰いたくて来たんだ」


「あ、あの…き、清川雪乃です…

 よ、よろしくお願い…」


「何だこのメスガキぃ!?

 アタシのダァリンに手ェ出すとか、ざけんじゃねえど!!

 その目ん玉抉り抜いて股座にぶら下げて、キン◯マみたいにしたろかい!!」


「ひ、ひぃぃい!!」


 雪乃ちゃんを見た途端、急に素の男の部分を全面に出したナンシィ(仮)。

 俺は素早く2人の間に割って入り、ナンシィ(仮)の無駄に広いデコに軽くデコピンを喰らわせて落ち着かせた。


 全く、コイツは鍛治師としての腕や装備品の見立ては一流なのに、こういう所が残念過ぎる。


 ともあれ、落ち着いたナンシィ(仮)は時折雪乃ちゃんに鋭いメンチを切りつつも、地下にある特別室へと案内してくれた。


「あ、あの…私の職業スキルは…」


「黙ってろやゴラァ!!

 オメエの装備品はオメエの動きを見て、ベストなモノを選ぶっつってんだ!!

 ゴミみてえな情報はいらね、おぶぇえっ!!」


 地下の特別室に入った後、軽くストレッチをする雪乃ちゃんが遠慮がちに自分のスキルをナンシィ(仮)に伝えようとすると、またしてもコイツは男の部分を出して雪乃ちゃんを威嚇したんだが…


挿絵(By みてみん)


 雪乃ちゃんは一息に加速してナンシィ(仮)の懐に飛び込むなり、腰の入った腹パンを見舞った。



 うむ、最近雪乃ちゃんと一緒に鬼練をしていたが、やはり彼女は格闘のセンスがある。

 僅か3日の鬼練で緩急を付けた踏み込みをモノにするとは。



「私、これでもちゃんとしたお客ですよ?

 アナタの態度は接客とは到底呼べません。そんな威圧的な態度を続けるなら、私は他のお店で装備品を購入します!」



雪乃ちゃんが露骨に苛立っていらっしゃる……。


だが、相手は2m超えの怪物……大丈夫だろうか?……




「……




……良い……




 アナタ素晴らしいわ!元Sランク探索者のアタシの意識の隙を狙った動き出しをするなんて…

 アナタ、雪乃ちゃんって言ったわよね?」


「あ、え、は、はい」



 腹パンをされた途端、急に距離が近くなったナンシィ(仮)に雪乃ちゃんが押されている。

 多分ナンシィ(仮)は一定以上の実力を持つ客にしか興味を持たないのだろう。



「今の気配を遮断しつつの動き方を見るに、雪乃ちゃんは暗殺者系の職業スキルと見たわ。

 メイン武器は何を考えているの?」


「あ、はい。戦闘スキルで投擲系の上位スキルが有るので、ナイフをメインにしようかと思ってます。

 後は、魔物に接近された時用に短剣も…」


「うんうん!良いわぁ!

 アタシの乙女レーダーがギンギンに来てるわよぉ!

 雪乃ちゃん、ちょっとコッチに来て採寸を取らせて頂戴!

 貴女にピッタリな装備品を仕立ててあげちゃう!」



 テンション爆上がりのナンシィ(仮)は、特別室内のフィッティングルームへと雪乃ちゃんを連れて行く。

 採寸は魔導具で行うし、ナンシィ(仮)はオカ…いや、乙女らしいから、雪乃ちゃんにけしからん事はしないだろう。



 俺は雪乃ちゃんの採寸が終わるまで、試し斬り用の的を相手に距離を詰めて斬り付けるフォームを繰り返すのだった。



 ◆◇◆◇◆



「ゆ、雄貴サマ……何なのその動き……

 濡れちゃう!何処がとは言えないけど、アタシの乙女のハートが濡れ濡れよぉん!!」



 採寸を終えて戻って来たナンシィは、俺の動きを見るなり腰をクネクネさせながら気持ち悪い事を言いやがった。



「そういうキモい事さえ言わなけりゃ、お前は一流なんだがなぁ。


 つーか、この前ワーウルフと戦って思ったんだが、この剣だとBランク以上の魔物を斬るのに心許ない。

 バランスはこの剣と同じ感じで、2ランク上の素材で作った剣は無いだろうか?

 予算は2,000万で頼む」


「そうねえ…2,000万円ならオーダーメイドにするのはどうかしら?

 雄貴サマの今の魔力の動きや筋力から、ミスリル合金製の片手剣をオススメするわ」



 い、いきなりミスリルかよ…。

 ミスリルはCランク以上のダンジョンで稀にしかドロップしない希少鉱物だ。

 人間性は最低だが、鍛治師としては超一流のナンシィにミスリルを使った剣を打って貰えるなら、2,000万は寧ろ安いと言える。



「2,000万円だったら、剣とセットでミスリル合金の籠手も付けるわよ?

 雄貴サマだったら、小盾よりもガントレットの方が魔物の攻撃を弾き安いんじゃないかしら?」


「マ、マジかよ?

 ミスリル合金の籠手も付けてくれて2,000万なんてお買い得過ぎるじゃんか!」


「うふふふ…それで雄貴サマのお尻をサワサワ出来るのなら…」


「ざけんな!!何だよ、お前の事見直して損したじゃねえか!!

 そんな交換条件が付くならお断りだっつーの!」


「あぁん、冗談よ、冗談!」



 ハァ……コイツと喋っているとマジで疲れる……

 一流の鍛治師だけに、無碍に出来ない所がタチが悪いよなぁ。



「ったく…

 あ、そうだ。

 革鎧の胸部に目立つようにこのロゴを印字してくれないか?」


 すんでの所で大事な要件を思い出した俺は、メインスポンサー『長嶺魔石加工株式会社』のロゴを大きくプリントした紙をナンシィ(仮)に手渡した。


「あらぁ、流石雄貴サマ。

 早くもスポンサーがついたなんて素晴らしいわぁん……『長嶺魔石加工株式会社』?

 聞いた事のない会社ねぇ」


「まだメジャーでは無いが、その内日本中に『長嶺魔石加工株式会社』の名が轟くさ。

 次のダンジョンアタックに間に合わせたいから急ぎで頼む」


「はぁい❤️

 雄貴サマの剣と手甲と合わせて2日で仕上げるわぁ。

 じゃ、後は雪乃ちゃんの装備品を決めなきゃよね」


 そう言うと、ヤツは部屋の隅の方で的に向かって恐ろしいスピードでナイフを投げる雪乃ちゃんの方へと歩いて行く。

 ナンシィ(仮)は雪乃ちゃんの動きをチェックしてから、装備品の方向性を彼女に伝えた。

 様子を見るに、雪乃ちゃんもナンシィ(仮)の事を一流の職人だと感じているのだろう。

 明るい表情でナンシィ(仮)に注文をつけている。

 俺は2人の邪魔をしないよう、離れた所で片手剣の素振りに没頭した。



 結局俺の装備も雪乃ちゃんの装備もオーダーメイドという事になった。

 其々の装備品は出来上がったら自宅に配送してくれるというので、俺達は代金を先払いして帰路に付くのだった。



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