12話 何か姉貴に呆れられたんですけど!?
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「あぁ、パパでてりゅよ!パパしゅごい!」
愛息子のキラキラした笑顔に癒される俺は、只今自宅のリビングのモニターでニュース番組を眺めていた。
はぁ、俺の事が取り上げられているだけで、こんなキラキラした笑顔を見せる桐斗…
食べちゃいたいくらいかわええ…
因みに、俺はただ今絶賛休職中である。
何でもスキル獲得前の俺がワーウルフを撃破した事が日本中に衝撃を与えたらしく、職場の魔石加工場には報道陣やら大手クランの勧誘やらが大挙しているらしい。
そんな訳で、工場長からは有給休暇を消化して良いから暫く仕事を休めと言われているのだ。
あの早朝散歩の時以来、俺はキャップを目深に被って外に出るようにしているから、実生活ではそれほど面倒な事にはなってない。
ご近所さんが偶に訪問して来るぐらいだが、居留守を使っていればすぐに帰るので問題は無い。
『いやぁ、レベリング前の人間にワーウルフを倒すという離れ業が可能とは驚きです。
トップクラン『餓狼』リーダーのAYUM@さんは、神城雄貴さんの戦闘を見ての感想はいかがですか?』
『いやぁ、神城君のこの戦闘は常人離れしているとしか言えません。
動きの速さや力強さは間違いなくスキルも魔力も宿していない人間のものですが、相手の初動を見切る速さは一流の格闘家も顔負けです。
ホラ、このワーウルフの横薙ぎ等は手を振り抜こうとすると同時に上体を屈める動作に入ってます。
で、躱し様に片手剣の一閃…剣術はそこまで熟達したモノでは有りませんが、予備動作は少なく、何より下半身で踏み固めた力をスムーズに上半身へ移行する体捌きは並ではない。
ウチのクランに所属している剣士で、この動画撮影時の神城君に勝てる者は全体の2割かな…レベリングされた今の彼には僕でも遅れを取るかも知れませんね』
う、うわぁ…このアユムアットさんとか言う人、めちゃくちゃ俺を褒めちぎるやん…
「ねーねー、パパ、このおにたん、パパをちゅよいっていってゆの?」
「あ、うん。そうだね。
パパの事を凄く褒めてくれてるんだ」
「わぁぁぁい!パパちゅよぉい!ヘッタよりちゅよぉい!!」
ああ…ウチの子は天使か?いや、寧ろ天使以外有り得ない。
可愛い笑顔ではしゃぐ我が子を思い切り抱きしめながら、俺は自分の戦闘を改めて見てみた。
うん…練習した7割も出来ていない…まだまだ特訓が必要だな…
『神城君!まだ所属するクランを決めていないなら、是非我が『餓狼』に入ってくれないか!?
我等『餓狼』は君に破格の契約金と待遇を用意しているぞ!』
あ、放送の最後にアユムアットさんが俺の引き抜きコメントをぶっ込んだ…こんな事って公共の電波でやって良いのか?
ニュースキャスターは『凄い事になりました』とか言って興奮するだけで、特に咎めたりしていない。
あ、そう言やぁテレビ夕陽系って『餓狼』のメインスポンサーっていう噂があったよな。
そんな事を思いつつ別のchに変えると、何とジムのオヤっさんがドヤ顔で俺の事を語っている所が映った。
『いやぁ、ユーキを育てたのは何を隠そうこの俺でな?
アイツはガキの頃から相手との距離感が抜群で、カウンターのセンスがピカイチだったんだぜ』
『所謂天才肌の格闘家だったんですね』
『馬鹿言っちゃいけねえ。あの動きは猛練習の賜物だぜ。
アイツはサンドバッグを叩く時でもしっかりフットワークを使って、ポジションどりを意識しながら打ち込んでたんだ。
躱してから超速でコンパクトなモーションで強打をリターンする練習を数え切れん程繰り返していたんだぜ。
天才なんて簡単な言葉で片付けたらユーキに失礼だ』
うむ、オヤっさんは良い事を言っているが、一々ドヤ顔をするのがイラっと来るな。
「雄貴ぃ〜。私、本当にこんなに頂いちゃって良いの〜?
何だか悪いわねぇ」
全く悪いと思って居ない様子の姉貴が風呂から上がって来た。
スマホで自分のネット口座の残高を確認しているんだろう。
今回、ダンジョン災害を発生直後に食い止めた事で、JSAから報奨金として7千万円が俺の口座に振り込まれた。
他にもワーウルフがドロップしたアイテムと、何故かダンジョン小ボスに位置付けられたワーウルフの初討伐ドロップの魔導具の買取価格5千万円も振り込まれたのだ。
一気にリッチになってましった俺は、日頃から桐斗の面倒を見てくれている礼として、姉貴の口座に5千万を振り込んだのである。
「別に良いって。
桐斗の世話をしてくれる礼と、皆川さんと結婚するご祝儀も合わせてって感じだからさ。
姉貴は俺と違ってしっかり者だし、皆川さんも誠実な人だと思うし、幸せになってくれよな」
「雄貴……うん、ありがと。
私は良い弟を持ったわ」
何だ?姉貴はいつに無く素直だな。
気持ち悪いが、偶にはこういう穏やかな雰囲気も良いだろう。
「所で雄貴、アンタはお隣の雪乃ちゃんの事どう思ってる訳?」
「な、何だよ急に?」
姉貴は先程までの柔らかな雰囲気から一変して、真顔で雪乃ちゃんの事を問いかけて来た。
何気に姉貴と雪乃ちゃんはちょくちょく連絡を取り合ってるらしいが、さては桐斗の事を押し付けられていると感じているのだろうか?
「良いから真面目に答えなさい!
まさか、本当に雪乃ちゃんの気持ちに気付いて無いとか言わないわよね!?」
「う…い、いや。それは本当に申し訳ないと思ってる…雪乃ちゃんも女子大生だし、友達と遊びたいだろうに結構な頻度で桐斗の相手をして貰って…」
「は!?アンタそれ真面目に言ってんの?
…
…
ハァ……雪乃ちゃんも苦労する訳だわ……」
な、何なんだよ!?
何故俺に呆れた様な目を向けるんだ!?
姉貴は偶に何を考えてんのか分からん時がある。
まさか、俺が反省して無いと思ってんのか?
俺だってちゃんと雪乃ちゃんには申し訳なく思っているさ。女子大生の時間はとても貴重だというのも想像が付くし。
暫く微妙な空気が流れる中、姉貴がまたも口を開いた。
「そう言えば、まだスマホの電源切ってるの?
色々と大事な連絡とかも来てるんじゃ無い?」
何だ、雪乃ちゃんの事を更にしつこく問い正されると思ったらそんな事かよ。
「ああ、別に良いんだよ。
知り合いと名乗る怪しいDMとか、胡散臭い会社社長とか、聞いた事もないクランからの勧誘とか、SNSやDLSのDM通知がエラい件数来てるんだ。
おちおち桐斗と俺の大活躍ニュースを楽しむ事も出来ないしな」
「ああ!ボクもてれびでてりゅ!
パパ、ボクらよ!」
「お!本当だ!いやぁ、桐斗の可愛さに日本中の皆んながメロメロみたいだなぁ!
たくさんの人が、桐斗を可愛い可愛い可愛いって言ってるぞぉぉ!」
「きゃははは!パパァ、くちぐったい!」
俺はスマホの事など気にせずに、可愛い桐斗の脇をツンツンして、我が子とのじゃれ合いを大いに満喫した。
この時の俺は、まだ何処かこの状況がピンと来ていなかった。
上手く言えないが、ニュースに出ている自分を他人事のように眺めていた。
大金が入ってラッキー♫DLSチャンネル登録者数が300万人越えててラッキー♫これなら魔石工場辞めて、配信一本で桐斗と裕福な暮らしを送れるゼ!!くらいの軽い気持ちでいたんだ。
スタートを切った俺の探索者ライフ……まさか最初のダンジョン生配信で更に凄い事になるとは、この時の俺は思いもしなかった。
いつもお読み頂きありがとうございます!
主人公が中々ダンジョンに行かない展開となってますが、序盤は雄貴の日常パートが多めになってます。
徐々に探索者っぽくなって行くので、引き続きお楽しみ下さい!
あと、挿絵にも本当に多くのアクセスを頂きありがとうございます!!
一話目に追加したメアリーさんの挿絵も既に100越えのアクセスを頂きました。
挿絵はチラホラと描いて上げて行くので、良かったら其方もお楽しみに。




