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120話 2人の天才に嫉妬しますけど!?


挿絵(By みてみん)




《爆乳JKの谷間さんを拝めるとか、間違いなく神配信》

《カスミたんがセクシー過ぎて草》

《袴のサイドからコンニチハしてるパン紐だけで一週間はイケる》

【¥100,000:紳士村上:カスミちゃん、今度おぢさんとマカオ旅行に行こう。大丈夫、おぢさんは紳士だから絶対に安心できるよ】

《あの体勢がエロ過ぎるwww》

《ゴミ共うるせえ。デビューしたてのルーキーがAYUM@にプレッシャーを与えてるのが分からんのか》

《変わった構えだよね。居合い斬りとも違うような緊張感のある構え》

《イケイケなAYUM@が距離を詰められないとか異常》

《紳士村上は100回氏ね》



 轟とダニーの模擬戦後、ダニーが負けた悔しさの余りギャン泣きするというハプニングに見舞われたが、リーダーのマックスが窘めて何とか模擬戦が再開された。

 続いての模擬戦は、アユマットさん対カスミンである。


 大半をアホが占めるコメ欄の中でマトモな人もいるようで、カスミンが取った独特な構えが場に与えているプレッシャーを感じ取っている視聴者もいるようだ。



「あのクールビューティーは不思議な姿勢を取ってるな。

日本の剣術はああいう独特な構えをするモノなのか?」



 最早、俺の横で感想を呟く係に定着したマックスが

小声で問いかけて来た。



「居合抜きというスタイルの剣術に似ている気もするが、あそこまで上体を屈めないし…

俺にもよう分からんのよね」



 俺がマックスの問いにぼんやりした返ししか出来ないでいると、ドヤ顔をした藍口君が左隣に来て、ドヤ顔で語り出した。



「ふふふ。アレは世良さんが編み出した『世良流抜刀術』の基本フォームさ。

アユマットさんは先程から踏み込みずらそうにしているだろ?

初見の2人には分からないだろうから教えてあげると…「なる程!カスミンは体内魔力を極微量に周囲に放出する事で、アユマットさんの動き出しをいち早く感じ取ろうとしているのか!」

「クッ…チクショウ…」



 藍口君のドヤ顔解説にイラッと来た俺氏は、被せ気味にカスミンの行なっている高等テクを言い当てて見せた。

 藍口君は悔しく過ぎて涙目である。



「嘘だろう!?魔力を放出して一種のレーダーのような働きをさせるなんて、そんな……

そんな事をすれば魔力の消費が酷くて、マトモに戦えないだろう!」


「確かに魔力操作が未熟な者には不可能な芸当だ。

とても一朝一夕で出来る技術じゃない。

体内魔力の操作をかなり緻密に行えるように、睡眠時間以外は魔力操作の基礎トレーニングを絶えず行なっているんだろう」



 体内魔力操作を熟知しているマックスが驚くのも当然だろう。

 カスミンの使っている技術は俺でも習得に1ヶ月は必要だ。

 恐らく、カスミンはKOZIさんから体内魔力操作の基本を学んだ筈だから、習得して1ヶ月弱か……KOZIさんが彼女を天才だと言うのも頷け……



モワン……



「うぉっ!何か嫌な感じが!」



 カスミンの天才っぷりに感心していると、急に背後から嫌な空気を感じた俺氏。

 直ぐに背後を振り向いたが、そこには誰もいない。



シュッ…カコンッ!



「……!!」



 そんな俺氏のこめかみを目掛けてピンポン玉が飛んで来た。

 何とか手で弾いた俺は、奇襲を仕掛けた人物を見て唖然とした。



「チッ…あの時のお返しが出来なかった…」


「ミュ、ミュイ……お前、まさかカスミンの技を応用したのか!?」



 そう。俺に奇襲をしかけた相手はミュイだったのだ。

 


 コ、コイツ……カスミンの技を見ただけで、極微量の魔力を放出するだけじゃなく、俺の背後にワザと魔力を大目に集めやがった。

 そうして俺に背後へ注意を向けさせて、サイドからノーモーションのピンポン玉投げを行う……しかも、魔力で身体強化を行なって……



「……嫌だ……もう……この猫耳眼帯娘の天才っぷりに絶望しかない……」



 ミュイの破格な才能をまざまざと見せつけられた俺氏は、圧倒的敗北感に打ちのめされて盛大にいじけてみせた。

 クソ……ミュイのヤツ……腕を組んでドヤ顔を向けて来やがる……



「……!!何か様子が変わったぞ!!」


「ま、まさか…『世良流抜刀術奥義・(イカヅチ)神楽(かぐら)』を出すつもりか!?」



 マックスと藍口君の声によって落ち込みモードから現実に戻った俺は、慌ててカスミンの方を見た。


挿絵(By みてみん)


 確かに異質な雰囲気だ……

 口が開いて気の抜けたような表情のカスミンだが、集中力は極限まで研ぎ澄まされた感じがする……

 見ている方も一歩も動けなくなるような、必殺のムードが場に立ち込めている……



「クッ……」



 カスミンが放つプレッシャーに耐え切れず、アユマットさんが動いた。

 体内魔力で身体強化を行なって、サイドに回り込もうとした……が……カスミンは奥足の左足を軸に素早く向きを変える事で、アユマットさんを真正面で捉え続けたままだ……



「ハァ……ハァ……クソッ!」



 強烈なプレッシャーにさらされ続けて早くも体力を消耗したアユマットさんは、ステップインのフェイントを入れながら小刻みなステップワークを続けた……が、カスミンは一切フェイントに乗って来ない……



「凄いな、カスミンは。

ワイドスタンスとあからさまな後ろ重心で瞬発的な動きが出来ないように見えるけど、足位置や絶妙なバランスのズラしで即座に攻撃に移れるようにしている。

それに、美少女剣士モノのコスプレみたいな装束のモッサリ感とあの体勢で、アユマットさんからは攻撃の出所が見えない」


「流石、神城君。

格闘を見る目はピカイチだね。

でも、本当に凄いのはあの…「俺の解説のジャマすんな!だが、本当に凄いのは、少しずつアユマットさんとの距離を詰めているカスミンの歩法と重心移動だ!

対するアユマットさんは少し距離が詰まっている事に気付いていない!」



シュビッ!ゴキャッ!!



「く、くはぁっ………ぅ、ぅえええ……」


「『世良流抜刀術奥義・霆神楽』……でござる……」



カシャンッ!



 勝負は一瞬で決まった。

 腰を回転させつつの目にも止まらぬ抜刀から繰り出された閃光のような一閃は、アユマットさんの脇腹を深々と捉えた。

 模擬戦用に刃を潰した刀じゃなかったら、アユマットさんの上半身と下半身がお別れしていただろう。

 

 地を転がってゲロをぶち撒けるアユマットさんに、カスミンは必殺技名を呟いて納刀した。


 まぁ、中2っぽい技名はどうかと思うけど、末恐ろしいまでの才能である。



《カスミちゃんやべぇぇぇえ!》

《なんか『流浪のケンヂ』みたいな必殺技だったな…》

【¥30,000:阿部朋花:香澄サマが美し過ぎる❤️】

《JKに瞬殺されるAYUM@www》

《嫁にしたいJKナンバーワン》

《一撃必殺って浪漫よな…》

【¥3,000,000:南野コウ:香澄ちゃん!僕と結婚して下さい!】

《アレで探索者登録して1ヶ月とか異常》

《轟クンといい香澄サンといい、最近のの新人探索者は凄えな》



 ふむ、コメ欄のアホ共もカスミンの凄さを思い知ったようだ。

 さっきからミュイがニヤニヤしながら俺の周りをウロウロするのがムカつくが、今はそんな事はどうでも良いさ。

 カスミンもまた勇者・藍口君の相棒に相応しい才能を世界中に知らしめたのだから。

 

 ともあれ、その後の模擬戦もかなりハイレベルなバトルが繰り広げられ、特に美優先生がマックスをボコボコにした最後の模擬戦には、視聴者も大盛り上がり。

 『餓狼』、『大和魂』、『S.W.A』のそれぞれのチャンネル視聴者から惜しみない賛辞コメとスパチャが贈られた。


 今回の合宿のピークは3日目の為、一通り模擬戦が終わった所で合宿1日目のトレーニングと生配信を切り上げたのだった。



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