11話 何か色々と凄いんですけど?
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波乱の探索者登録から一夜が明けた。
今日は日曜日で魔石工場の仕事も休みなので、俺は朝早くから桐斗を連れて公園にやって来た。
昨日は色々と周りが忙しなかったので、早朝からレベリングで得た力を確かめる事にしたのだ。
「ステータスオープン!」
「きゃははは!ちゅてーたおーぷん!」
神城雄貴
レベル:11
HP:704
MP:1,830
物理防御力:671
魔法防御力:622
筋力:748
スタミナ:896
敏捷性:765
知力:810
器用さ:828
運:377
職業スキル:【魔闘戦鬼】(EX)
戦闘スキル:【広域魔力感知】(SR) 【モードセレクター】(UR) 【ジャイアント・キリング】(UR) 【身体能力超強化】(UR) 【???(レベル条件を満たしていない為、表示されません)】(EX)
汎用スキル:【アイテムボックス 特大】(UR)
うん……何度見ても異常だわ、コレ……うん……
俺はレベリングすると発現するようになるステータスウィンドウを見て愕然とした。
「パパァ、しょのえほんよんれぇ!」
俺に抱っこされて一緒にステータスウィンドウを目にした桐斗が絵本だと勘違いしたようだ。
「あ、ああ。コレは絵本じゃ無いんだけどね……
桐斗のパパはチートですよって書いてるんだ……」
「ちーと?ちーとってヘッタになりゅの?」
「いや……ヘクターよりも強くなりそうだね……
うん……」
「やったぁ!パパがヘッタになりゅ!」
何か軽いノリでヘクターよりも強くなるって宣言したけど、実際にこんな能力が身に付くと困惑しか無い。
一応昨日JSAの受付嬢から力を抑えるブレスレット型魔導具を渡されているので、日常生活で困難をきたす事は無いんだが…
因みに、一般的な探索者のレベル11のステータス値は平均で250前後と言われている。
ステータス値だけでも異常なのに、スキルもやば過ぎるんだよなぁ……
スキル名の後ろのEXやURはレア度の高さを示している。
そして、レア度はN、R、SR、UR、EXの5段階になっている。
俺はEXが2つ、URが4つ、SRが1つ……
一般的にレベリング直後は職業スキルが一つ、戦闘又は汎用スキルのどちらかが一つ。
つまり、初レベリング時のスキルは2つと言うのが一般的な訳だ……
探索者活動を行なって行く内に、ダンジョン内ドロップで得られるスキルスクロールを使って身に付けたり、レベルが上がった際に職業スキルの派生的な戦闘スキルが得られるという事らしい。
それでも、レベル11の探索者でスキルを7つも持っているヤツは居ないと、昨日受付嬢から説明を受けた。
そして……レベリング後の測定を受けた俺は……
……超異例のAランクデビューになってしまった……
他の探索者達はGランクデビューをして徐々に実績を重ねてランクを上げて行くのに、こんな事が許されるのかとJSA(日本探索者協会)の職員に確認したが、会長の柊というオッサンからの指示なので問題は無いという。
更には……
「はぅぅ…わ、私なんかがCランクデビューしても、本当に良いんでしょうか?
で、でも、ユーキさんとスタートラインが近ければ、色々とコラボとかしやすかったり……」
少し前に愛犬と散歩に来た雪乃ちゃんが赤面しながら何やら呟いているが、雪乃ちゃんまで特例のCランクデビューとなったんだよなぁ……
雪乃ちゃんも職業スキル、戦闘スキルを合わせて5つものスキルをゲットしたらしい。
しかも、ステータス値は運以外全て500を越えていたようで、職員の人も驚いていた。
因みに、雪乃ちゃんがレベル6になった原因は、俺がワーウルフに吹っ飛ばされた時、ヤツが俺に追撃しないように手持ちのレイピアを投げ付けたのが、ヤツの背中の傷口にジャストヒットした為、経験値が分配されたのではという事だった。
……て言うか、愛犬の散歩に来た筈の雪乃ちゃんが俺の隣に立って、引っ付かんばかりに身を寄せているんだが……
顔が赤い所から見ても、かなり体調が悪いみたいだ。
「雪乃ちゃん、大丈夫かい?
顔が赤いみたいだけど、風邪でも引いたんじゃないか?」
「ひゃ、ひゃうっ!
い、いえ!こ、コレは風邪じゃないですから!
そ、その、ユ、ユーキさんの事を考えていたからであって、そういう風邪とかウィルスとかじゃ断じて無いんです!」
どうやら、俺の思い過ごしだったらしい。
何故、俺の事を考えていたら顔が赤くなるのかは分からないが、雪乃ちゃんから余り良い印象を持たれて居ないのは何となく理解できる。
学生にとって4歳上は結構な歳の差に感じている筈。
子供好きな雪乃ちゃんは桐斗とのふれあいを大切にしているが、それにはバツイチのオッサンである俺に近付かねばならない。
出来れば俺とは必要以上に接触せずに、桐斗とワンちゃんとの時間を満喫したいのだろう。
「分かってるさ。
雪乃ちゃんは桐斗に会いに来てくれたんだろう?
ホラ、桐斗。雪乃お姉ちゃんとワンちゃんの散歩をしておいで」
「わぁい!ゆきのねぃたん、あんみちゅたんとおしゃんぽしゅる?」
「え、あ、う、うん!
じゃあ、一緒に……ユ、ユーキさんも、よ、良かったら一緒に……あんみつの散歩に付き合ってくれませんか?」
「え?俺なんかに気を遣わなくたって良いのに。
でも、雪乃ちゃんが嫌じゃないなら、俺もあんみつちゃんの散歩をしようかな」
俺は桐斗の為を思って嫌々ながらも俺まで誘ってくれる雪乃ちゃんの優しさに感動しつつも、桐斗と雪乃ちゃんと共に愛犬のあんみつちゃんの散歩を楽しんでいた……のだが……
◆◇◆◇◆
「あらぁぁ、神城さん!
ちょっと、ニュースで観たわよぉ!ウチの娘達もね、神城さんの事をイケメンだってキャアキャア言っちゃって!」
「ウチも旦那と一緒に神城さんのニュースを見てたんだから!
前々から私達、神城さんは絶対に成功するって話してたんだからぁ!」
「そうなのよぉ〜!いつも小澤さんの奥さんと、向井さんの奥さんと3人で、神城さんは若いのに桐斗ちゃんを一生懸命育てていて素敵だって話してたのよぉ〜!」
公園を1周回ってから広場であんこちゃんと桐斗を遊ばせていると、ご近所のおばちゃん達に囲まれてしまった……
雪乃ちゃんはおばちゃん達の圧に押されて、俺の背後に隠れてしまっている。
マズいな……おばちゃん達が邪魔で、桐斗とあんこちゃんの様子が見えずらい。
しかし、ご近所さんを無碍にも出来んし。
「おお!神城君!
いやぁ、ネットニュースを見たよぉ!
何でも、奇跡のJカップグラドル・牌乙愛美がTACK-TICKライブで、神城君の事を好きになったとか、マイチューブでコラボしたいとか言ってたらしいじゃないの?
今度、僕にも牌乙愛美紹介してよ〜!」
くっ、さ、更に新手の刺客が現れたぞ……
しかも、偶に桐斗と一緒に行く『cafe Je t'aime』のマスターじゃんか……
「あら、マスター。
神城さんはアタシ達と話してるんだから、横入りはダメよ!」
「そうよ!それに、マスター結婚してるでしょ!
グラドルを紹介して貰うとか馬鹿な事言うんじゃ無いの!」
「明美ちゃんに言いつけてやるわよ!」
「あ、いや、それは勘弁して下さいよ〜!
それに、紹介って言ってもソレ系とかのアレじゃ無いですから」
「嘘おっしゃい!
さっき神城さんに話していた時なんて、随分と鼻の下を伸ばしてたじゃないの!」
良し、マスターとおばちゃん達が言い合いをしている今がチャンスだ!
俺は下衆な言い合いをする4人の隙を見て、雪乃ちゃんの手を引いて桐斗達と合流して、無事に公園から脱出した。
それにしても、ご近所さんですらあそこまでグイグイくるのか……
俺は面倒ごとに巻き込まれなければ良いなと考えながら、桐斗と赤面する雪乃ちゃんとあんみつちゃんと一緒に帰路に付くのだった。