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110話 今度こそあの人とご対面しましたケド!? 後編


挿絵(By みてみん)




「い、今だって……す、好きです……美優先生の事を忘れた事も有りません……


でも、美優先生以外の女性と結婚して、雪乃ちゃんを愛してしまっている俺に、美優先生とやり直すとか、そんな事を言う資格なんて無いんです……」



 決意を固めた俺は美優先生に今の正直な気持ちを打ち明けた。

 正直、美優先生の事は瑠奈と付き合っていた時も、雪乃ちゃんとお付き合いしてからも頭から離れる事は無かった。


 でも、探索者登録時の『MIYU』としてのDLSチャンネルが2年ほど前に突如消失して、ネットでも『MIYU』の名前を見る事が無くなった。

 その時に俺は無理矢理美優先生は探索者を引退して誰か良い人と結婚したのだと思った……いや、正確には自分の心を納得させる為に無理矢理そう結論付けたんだ。



「……何故だ?

何故そんな風に考えるんだ?

弟クンは今は世界の上位ランカーで、史上誰も成し得なかった被害者ゼロでのAランクダンジョン完全攻略を成したんだぞ?

妻は5人まで持つ事が出来るのだ。


ほら、見ろ!この私を久し振りに抱きたくはならんのか?」



 美優先生はそう言うと、着ていたロングコートの前ジップを開けて一気に脱ぎ捨てた。



 や、ヤベェ……下乳が見えちゃってる……



 コートの中の美優先生の格好はヤバ過ぎた。

 下乳が完全に露出した超ショート丈のライダースジャケットに、下は少しでも動けばおパンツが見えそうな超ミニスカート……



 こ、こんなの、桐斗の教育に悪過ぎるだろうが!



 俺は真っ先に桐斗の目を覆うべく後ろを振り返ったのだが、桐斗、雪乃ちゃん、彩音、姉夫婦、清川夫妻、そしてミュイの姿が見当たらない。



「ユーキ、ユキノ達は機転を効かせて桐斗と部屋を出たわ。

事情は分からないけど私達も部屋から出るから、その攻めた服装の美人さんと腹を割って話をして」



 同時翻訳魔導具で日本語を喋るようになったメアリーが、そっと俺に耳打ちをした。



 何だか雪乃ちゃん達に気を使わせてしまって、本当に申し訳ない気持ちで一杯だ……

 


「あ、あの、美優先生?

そりゃあ今でも好きだし、美人でスタイル抜群の先生を抱きたく無い訳は無いよ。


つーか、ズリィよ……何で美優先生はあの頃より更に可愛く……抜群に綺麗になってるんだよ……


そんなの、抱きたくならない訳無いじゃんか……」


「ふふふ、それはお互い様だろう?

弟クンもあの頃より更に男前になっていて、私のお股がとんでもない事になっているくらいだ。


さぁ、お互い気持ちが一緒ならば問題は無い!

今すぐ私を押し倒してくれ!」


「あ、いや……その……

……でも……俺はバツイチだし、雪乃ちゃんという大事な人がいて、気持ちの整理が付かないっつーのか、何つーのか……」


「ええい!男のくせにハッキリしない奴め!

私は今すぐにでも弟クンにしてもらいたくて仕方が無いというのに……


もう良い!そこの貴様!

貴様は確かマックスとかいう暫定王者だろう?

前に私にいやらしい顔で近付いて来たヤツだな!?コッチへ来い!」



 俺が話を先に先にと進めようとする美優先生を何とか嗜めようとまごついていると、先生は痺れを切らしたように会議室から出て行こうとするマックスを呼び止めた。

 名指しでエロい男呼ばわりされたマックスは困惑した表情で美優先生の前へとやって来た。



「い、いや、YOSSY、ユーキの前であの件は言わないで貰いたいんだが……」


「ハッキリしない弟クンの事など気に留める必要は無い!

もう流石に我慢の限界だ!

貴様、今すぐ私を抱け!」



 こ、この人急に何言ってんの!?

 何だよ、それ!?つい今さっき俺に抱かれたいとか言ってた癖に!!



「ま、待てよ、先生!そんな当て付けみたいな…うぉっ!」



 俺が美優先生の肩に手を置いた瞬間、完全に動揺した俺に対して美優先生が凄まじくキレのある足払いをして来た。


 盛大に尻餅を付く俺氏。

 完全にプロ格闘家失格の大失態である。



「フッ、いつも生配信で偉そうな事を言っている男とは思えない無様な姿だな。

ウジウジして無様な弟クンなど、そこで私が他の男に抱かれる様を指を咥えて見ているがいい。


さぁ、マックスよ。このレザージャケットが窮屈過ぎて仕方がない。

脱がしてくれないか?」


「クソ!ふざけんな美優!

他の男とやるとか絶対に許さねえからな!!」



 俺はマックスの顎を妖艶に撫でながら彼を誘惑する先生を思わず怒鳴り付けた。

 先生は目は笑わせないタイプの微笑を浮かべて、俺を露骨に見下している。



挿絵(By みてみん)



「ほう?弟クンは私とは親密になれぬのだろう?

雪乃ちゃんが大事だとか何とか吐かして私を抱こうとしなかったではないか。


私は9年間誰とも致さずに一人で自分を慰め続けて、これ以上我慢する事など無理だ!

こうなったらマックスの肉便器として…んっ……ふぅんっ……❤️」



 美優先生を他の男に渡したく無い俺は、思わず彼女を抱きしめて思い切りキスをぶちかましてしまった……



 済まない……雪乃ちゃん……俺……先生ともヤッてしまうよ……絶対に雪乃ちゃんを第一夫人にするから、どうか許してくれ……



 俺は情熱的に舌を絡ませてくる美優先生を、そのまま会議室に押し倒した。



「ヒュー、お熱い事で。

俺の役目は終わったみたいなんで出て行くぜ。

どうぞごゆっくり」



 マックスはそう言うと会議室を出て行った。


 2人きりになった所で、俺は美優先生の裸同然のコスチュームを毟り取ったのだった……



◆◇◆◇◆



「ちょっと、いい加減にしなさいよ!!

キリたんを待たせている癖に、どれだけ盛れば気が済むのよ!!」



 美優先生と致してどれくらい経ったのか、俺はドアをドンドンと叩きながら大声で叫ぶ姉貴の声で目が覚めた。



 ヤ、ヤバい!!あれから何時間経ったんだ!?



 俺は慌てて全裸で床にグッタリする美優先生を起こして服を着させた。

 俺も速攻で服を着て、2人の身嗜みが整った所でドアを開けた。



バチーーーン!!



「ふざけんじゃ無いわよ!!

アンタ、父親としての自覚は有るの!?

キリたんがお腹空かせて待ってるのに2時間以上も美優先生と盛るとか、舐めてるとしか思えないわ!」



 ドアを開けるなり、姉貴のクソ重い掌底が俺の頬に炸裂した……

 続いて怒声も浴びせられたが、姉貴の言う事が100%正しいので俺は素直に反省した。



「ゴ、ゴメン……

いや、そんなにずっと盛ってたんじゃないんだ……そ、その……モノの20分位で……お、俺も美優先生も……し、失神しちまったんだ……」


「は、はぁぁあ!?

何よソレ!?意味分かんないんだけど!!」



 そう。美優先生のカラダは気持ちイイなんてモノでは無く、余りの快感に脳が痺れるような感覚に陥った為、情け無い事に最初の一回で俺も美優先生も失神してしまったのだ。



「か、神城、済まない……

そ、その、高位探索者同士が…その…えっちな事をすると、尋常では無い快楽がだな……その……わ、私とした事が……始まって10分もせずに今の今まで失神してしまったのだ….」


「み、美優先生……た、探索者同士のエッチってそんなに凄いのね……

雪乃ちゃんも一晩で3回失神したって言ってたけど、アレってそういう事……」



 俺が姉貴に頭を下げていると、美優先生が顔を真っ赤にしながらフォローしてくれた。

 先生の説明を聞いた姉貴が気になる情報を口にしたが、今はそれどころでは無い。


 その後、顔を真っ赤にする姉貴と先生を宥めて、俺は皆んなが待つ3階のラミレス部屋へと向かったのだった。



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