ゲーム配信
【ミークラ】突撃するよー【配信者ハル】
*コメント*
:待機
:突撃?
:ミークラ待ってた
:このゲーム好き
:全世界で一番売れてるゲーム
:販売本数2億3800万本やぞ
:やばすぎw
:はやくきて♡
「こんはるー! 突撃!隣のクラフター系配信者のハルだよー」
*コメント*
:待ってた♡
:こんはる
:こんはるー
:配信するたび通り名が変わる系配信者のハルくん!?
:ハル様このゲームやったことあるの?
:突撃って?
:どっかのサーバー?
今日やるゲームは以前から度々リクエストされていたミークラフト、通称ミークラだ。世界的に有名なオープンワールドのサンドボックスゲームで、広大な世界を思うままに冒険したり、素材を集めて建物を作ったりと、無限にそして自由に遊べるのが特徴だ。
しかし、そこは有名ゲーム。
正直ソロプレイなら過去に飽きるくらいやってきた。
何十回と世界を創り、攻略しては破壊してきた。
それでもマルチプレイなら、そんな俺でもまた新鮮な気分で遊べるのがこのゲームがこれだけ売れてる理由の一つだろう。
「というわけで今日はね、とある事務所さんのやってるサーバーにお招き頂いてまーす」
*コメント*
:マジかよ!
:というわけ(全投げ)
:うおおおおおおおおおお
:コラボってこと?
:どこの鯖?
:事務所ってVとか?
:とうとうVtuberとも絡むのか
「おっ! 察しの通りVtuberさんの事務所だね。有難いことにいくつかの事務所からコラボの打診をもらっててさ、今回が良い機会だと思って……じゃあinして行こうか」
今回お邪魔するサーバーはVtuber事務所<虹ライブ>のメンバー達が作り上げたサーバーだ。
虹ライブ自体はV業界では3番手くらいの立ち位置で、運営年数としては古参だけど比較的に少数精鋭のスタイルでやっていることから知名度は大手にやや負けている。
*コメント*
:虹鯖じゃねえか!!!!
:また濃いとこ選ぶなあ
:Vわからん
:うわめっちゃ嬉しい
:虹ライブ箱推しの私得すぎる
:ちょwww
:草
:初期リスに全員集合してるのほんま虹ライブ
:密集してて草
:コレは密ですよ!
:ハルくん輪◯されそう…
Loadingが終わって、初期リスポーン地点に出るとそこには虹ライブに所属する全員がわらわらと群がっていた。
「いや怖いわ!」
今回は向こうのVtuber二人に案内してもらう話になっていたはずなんだが……とりあえず通話繋ぐか。
「おっ、繋がったかな?」
『こんこんこーん! 虹ライブ所属お狐様系Vtuberの天草リコだよー! コンッ!』
『こんぽこー、同じく虹ライブ所属の美少女化け狸系Vtuber、追桐コノハ…よろしく…』
*コメント*
:こん!
:こん!
:こんぽこ!
:でたわねエロガキ狐
:おイキリ狸さん!?
:よりにもよって変態レズカップルの二人かよw
:百合に挟まるハルくん……いいよね
:よくねえ!
:「「ハル様には勝てなかったよ…」」
:もうカオスw
「はい、こんこんこんぽこー、今日は二人に案内してもらう予定だったと思うんだけど……なんか多くない?」
『あたしはちゃんと注意したんだけどね、先輩達が偶然ミークラしたくなったんだってさ! 偶然なら仕方ないよね!』
『お呼ばれしてない雑魚ライバーの先輩方はそうやって指を咥えて見ているといい…ふふ…』
*コメント*
:草
:リコちゃん素直で草
:イキリ狸の煽り火力高すぎぃ!
:偶然ならシカタナイナー
:てめえ狸後でしばく
:先輩ライバーさん!?
:偶然ミークラを始めて偶然この配信にコメント…
:正体表したね
:偶然とはいったい
「お、おう…偶然なら仕方ないね、うん。じゃあ案内してもらっていいかな?」
『まっかせてー!』『ついてきて…』
それから二人に虹ライブサーバーを案内してもらう。
数年かけて作り上げたワールドというのは伊達ではなく、トロッコに乗って見て回るといくつもの本格的な駅があり、各駅で降りると立派なお城や小さな街、下品なオブジェに下品な電光掲示板、下品な看板の建てられた施設など個性豊かな建造物に溢れている。
……ちょっと下品なの多くない?
それはともかくとして俺自信は建築センスはあんまり自信がなくて、どちらかというと素材集めのための自動化装置を作るとかの効率プレイに偏ったソロプレイだったから、凝った建築物を見るのは素直にテンションが上がる。
『次の駅はあたしとコノハちゃんの家があるから楽しみにしててね!』
『二人の愛の巣…』
二人の自信に溢れた様子に期待が高まる。特にコノハちゃんの建築センスが高いのはここまでの案内やコメントでなんとなく察している。
『じゃーん! ここだよー!』
『自信作…むふふ…』
果たして現れたのは、ピンクを基調とした外観に、ゴテゴテした派手な飾り付け、一際大きなハートマークと中心にはHOTELの文字……
「──ラブホじゃねえかッッッ!!!」
この世界にもラブホは一応ある。もっぱら女性同士や風俗での利用がメイン客層のようではあるが。
*コメント*
:草
:ひでえw
:ラブホは草
:これが虹クオリティ
:このラブホ何回見ても吹く
:ラブホじゃねえか!
:言えたじゃねえか…
:これが本当の愛の巣…ってやかましいわ!
:ここにハル様を連れ込むつもり…?
『さあ、中に入ろっか! 3人でね!』
促すリコちゃんに少しだけ躊躇したが、今更かと思い直して中に入る。内装もしっかり作り込まれていてさすがの腕前だが……技術の無駄遣い感は否めない。
一通り見て回って外に出る。
『ハルくんにはこの一等地に家を建てる権利をあげる…』
「こんなとこに建てたら家の窓からラブホが見えるじゃねえか…ってかラブホ以外なんも無いけど本当にここ一等地?」
『ハルさんがここに家を建てたらみんな集まってきて結果的に一等地になるから問題なしだよ!』
「じゃあここじゃなくても一緒じゃん…」
なんというかこの子達ホント自由だな。
口先では否定しつつも別に本当に嫌なわけではないので建築のあたりを付け始める。
建築資材の類はあらかじめ色々用意してくれていたらしく豊富な材料があった。配信時間は限られてるから非常に助かる。
『私も手伝う』『あたしもー!』
二人も手伝ってくれるらしく、口頭でどんな建築にしたいかを話しながら作業していく。
というか二人どころではなく今更追いついてきた通話に参加していないVtuberのみなさんも手伝ってくれている。
…もはや偶然という建前は投げ捨てたようだ。
明らかに配信見ながら手伝ってくれてるよね。
そんな人海戦術もあってか、一時間足らずで建築は完了した。隣がラブホという近代建築だったため、それに合うようにモダンな外装で作っている。
何故か一番手こずったのは寝室で、最初に寝室を作ってベッドを配置したところでリコちゃんとコノハちゃんが俺のベッドを挟むように自分たちのベッドをそれぞれ配置したのだ。
それを見た他のVtuber達もそれぞれ自分たちのベッドを置き始め、部屋の広さが足りなくなり無理矢理拡張したのだ。
最終的には戦地の野戦病院かよってくらいベッドが立ち並ぶ異様な部屋になってしまった。
「まあ寝室はちょっとアレだけど無事完成してよかったよ」
『一等地にふさわしい出来になった…』
『いつでもラブホに行ける最高の立地だね!」
*コメント*
:ちょっとアレってレベルじゃないw
:野戦病院は草
:寝室が明らかに家から飛び出してるのよ
:最終的には違和感なくて凄い
:私も住みたい
:ゲームでもハル様と同居できるの羨ましい
:うーん、これはクソ立地
:隣に家あるならラブホ行く必要ない定期
:草
「じゃあ今日はこの辺で終わりかな。二人ともありがとね! また遊ぼうよ」
『次はあたしたちのリアル愛の巣で待ってるね!」
『三人でオフコラボ…ふふ…』
「う…うーん、まあ機会があればということで…じゃあ、おつはるー!」
*コメント*
:待って
:行かないで
:おつはるー
:終わらないで
:おい狸!次のコラボは先輩に譲れよ!?
:草
:はいパワハラw
:おつはる!
 




