検査結果を受け取りに
検査から三日が経った。
ショータくんとはあれからたびたびメッセージの交換をしているが、結構仲良くなれていると思う。
というのも彼女のアーカイブを見ていたら、世界的に大ヒットした国産狩りゲーシリーズを熱心にやっている配信が結構あったのだが、何を隠そう俺もまぁ熱心なガチ勢だった。
自慢じゃないが会社に勤めながらもシリーズ累計で数千時間はやり込んでおり、なんなら公式のTA大会で全国入賞経験すらある。
近いうちに是非コラボで一狩り行こうぜなどと大いに沸いたのであった。
さて、検査から3日ということでそろそろ検査結果が届かないかなと思っていたのだが、どういうわけか再び男性管理局の桜木さんから呼び出しがかかった。
正確には呼び出しというか、送迎されたのだが。
◇◇◇
案内されて会議室に入る。
今日は桜木さんだけでなく、もう一人いるようだ。
「高梨さん、今日は急な呼び出しでごめんなさい。さっそく紹介しますが彼女は私の部下で、今後あなたに関する件で私の補佐をやってもらうことになった滝沢です」
桜木さんは軽く頭を下げると、続けてもう一人を紹介してくれた。
部下の滝沢さん、たしかに桜木さんより少し若いように見えるが正直他人の年齢を推測するのはかなり苦手なのでぶっちゃけ分からん。
たぶん20代半ばくらい…?茶髪のショートボブで、桜木さんのキッチリした感じとは正反対の元気な印象を受けるニコニコ顔だった。
「ご紹介に預かりました滝沢可奈でーす! これからよろしくねー、ハルくん! …ってアイタァ!」
いきなり桜木さんに頭をしばかれていた。
大丈夫かこの人…?
「えぇ、こちらこそよろしくお願いします」
一応笑顔で挨拶を返しておく。
「ごめんなさいね、滝沢はちょっと…いや、かなり馴れ馴れしいというか、頭がアレな感じに見えると思いますが、仕事自体はしっかりやりますので」
桜木さんから管理職の悲哀のようなものを感じたので曖昧に笑って頷いておいた。
「では、さっそく今日の本題なのですが…」
話によるとどうやら俺の検査結果がとんでもないことになっているらしい。
うん…まぁ知ってた。
と、言うのもこの貞操逆転世界に気づいた時に既に色々調べている。当然男性に関するアレコレも。
だから実はそれなりに撮れ高の勝算があっての開封配信宣言だったわけだが、話は思っていた以上に大きかった。
「Sランクですか…」
既存のランク分類では最高がAランクとされていた。
だが今回の結果がその基準を大きく上回っていたことで、Aランクと同じ義務と権利を与える程度の扱いでは、日本にとっても大きな損失になるとの判断で関係各所の合意が取れ、Sランクが新設されたとのことだ。
「はい。今回新設されたSランクの義務と権利はこちらになります」
渡された書類を流し見る。
まず義務について
・最低10人との結婚
…いや多すぎない?
確かAランクが5人との結婚だったよね?というか今はAランクが一人もいなくてBランクが実質最高だったよね?その人たちが3人との結婚が義務だったと思うんだけど…
ちなみに詳しく聞いてみると、これには明確な期限があるわけではないが、年に一回の管理局からの監査で進展が見られないと判断された場合、強制的にお見合いのセッティングとかされるらしい。
・月当たり20mlの精子提供
これはAランクの月6mlの3倍強といったところだが、先日の検査時の量で既に超えているわけだし、まぁなんとかなるだろう。
このムキムキの身体になって以来そっちの方もかなり強くなってるし。
次に権利について
・月当たり金200万円の支給
月に一回シコって出すだけで年収2400万円(非課税)は強すぎるだろ。
…まぁたぶん俺の精子自体を金に変えてそれ以上に回収できるんだろうけど。
・専任護衛官および護衛部隊の派遣
これは分からない話では無い。国にとっての男性というのは重要な財産でもあり、その中でもまさしく別格のSランクと判定されたのだ。護衛を付けて守れるならば安いものなのだろう。
いくつか内容について質問と回答を繰り返して概ね理解できた。
ちなみに今日検査結果の封筒は持って帰れるらしい。本来は郵送みたいだけど、まぁ来たついでだしね。
じゃあこれで…と言いたかったが、まだ話があるようだ。
「今日はこれから、専任護衛官との顔合わせも予定しています。滝沢、呼んできてくれる?」
どうやらまだ帰れないらしい。
まさかの日間一位になりました。
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