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大魔導士と呼ばれた侯爵令嬢 世界が汚いので掃除していただけなんですけど… 【書籍2巻&コミックス1巻発売中!】   作者: K1you
1年生編

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閑話 お友達 中

本編で王都観光をすると、モヤモヤさん話で先に進まなかったので、今回もオーレリアに頑張ってもらいます。

 スカーレット様との交際許可もおりましたし、朝食の後は午後の準備をしないといけません。


 そうだ、スカーレット様を案内する場所を、お母様にも考えてもらいましょう。私には無理でも、きっとスカーレット様に喜んでいただける案内計画を作ってくれる筈です。

 私が本当に案内できる場所へ連れて行って、スカーレット様に呆れられてしまっては、情報収集が早速暗礁に乗り上げてしまいますから。


 実は、1つだけお父様に話せなかった事があります。

 スカーレット様を囲んだ不届きな騎士達を懲らしめた時、私は致命的な失敗を犯しました。立ち向かう騎士だけを警戒して、倒れた騎士から目を離してしまった事。そのせいで、魔法を使う騎士を完全に見落としました。

 主に暗殺対策として、貴族は防御魔法を込めたお守りを携帯しています。正面から向かってくるなら返り討ちにすればいいだけですが、遠方から銃で狙われると、私も対処できないでしょうから。勿論、回数制限等もありますから、万能にはなり得ませんが。

 そういう訳なので、あの時火球魔法を受けてしまっても、大事にはならなかったとは思います。

 だからと言って、私の未熟が許される訳じゃありません。本当に、私は情けないです。


 けれど、あの魔法は消えてしまいました。


 発動に失敗して、途中まで形成した魔法が消える事はありますが、発動した後の魔法が消えたという話は知りません。

 全く訳の分からない状況でしたが、私は魔法を使った騎士の無力化を優先しました。その時、車の中で筆の様なものを構えるスカーレット様を、確かに捉えました。

 状況からすると、スカーレット様が何かしたのだろうと思っています。


 でも、お父様には伝えられませんでした。

 スカーレット様は無属性だと仰っていましたが、無属性だから魔法を無くせる、なんて理屈はお伽話にも出てきません。

 魔法を消す魔法。

 強化魔法習得の件以上に荒唐無稽過ぎます。

 話したところで相手にされないのが普通ですし、万が一、スカーレット様がそんな奇跡を引き起こせるなら、不確かなまま情報を拡散してはいけないと思ったのです。


 あくまでも可能性の話ですが、そんな魔法が存在していたなら―――銃でも車の激突でも傷つかない車内に籠って憲兵隊を待っていたところに、身勝手な正義感を振りかざした私が乱入し、自滅しかけたところを、スカーレット様に救われた、という事になります。

 私、スカーレット様にお礼を言っていただくような事を、何一つしていません。

 情けなさ過ぎて泣きそうです。




 午後、スカーレット様と合流した私は、まず王城へ向かう大通りへ彼女を案内しました。

 川と海に囲まれた水の都の象徴、魔法装置によって作られた“空中球池”は外せません。直径10メートルを超える巨大水球の中には色鮮やかな鯉が泳ぎ、その先に王城が透けて見える様子に、スカーレット様も圧倒されていました。


 その後は空中球池の東側、学院の寮とは反対方向にある公園を、散歩ついでに移動します。その南方向には軍関係の施設が多くあり、その入り口付近の見張り塔へ登れるよう、お父様のコネで手配しました。

 私も初めてでしたが、南にそびえる王城や魔塔、東側に広がる貴族街、その反対側は住宅街で、さらに先には海まで見渡せます。

 軍施設なので内部には入れてもらえず、階段で移動したので、ちょっとしたトレーニングになりました。


 お母様には、この後、北にある文化施設群で観劇や音楽鑑賞を勧められたのですが、もう少し北へ移動して、遊覧船に乗りました。スカーレット様は劇や音楽もお好きでしょうけれど、隣で私が寝てしまったら呆れられてしまいます。

 私が王都に詳しい、なんて噓がばれてしまうかもしれません。

 王都の南北に掛かるいくつもの橋の下側には、有名画家の作品を陶板で再現したものが飾られていて、船の美術館と呼ばれています。こちらなら、眠くなる前に身体を動かせますから、私も楽しく鑑賞できます。


 誘った後で不安になった観光案内でしたが、お母様のおかげもあって、何とかこなせそう―――なんて思った矢先、船から降りたスカーレット様が、お腹が空いたと仰いました。

 もう少し早く言ってくだされば、船で軽食を頼めたのですけど?

 いえ、泣き言は口にできません。

 しかし、私はこの辺りでいい店を知りません。貴族向けの喫茶店ならいくつか視界に入りますが、見た目が豪華で甘くあれば良いといった店が多いので、知らない店に入るのは気が乗りません。

 困った私が選択したのは、結局、商店街にある私のお気に入りの菓子店でした。

 昨日、スカーレット様とお会いした近くです。実は、昨日立ち寄る予定でした。買い食いのつもりだったなんて、スカーレット様には言えませんでしたけど。

 シロップ煮の苺に、練乳をかけて食べるスコーン、素朴ですけど、小さい頃から好きなんです。

 もっと洒落たお菓子がお似合いなのに、おいしいですねと、笑ってくださったスカーレット様は、お優しいです。

 でも、こんな筈じゃなかったんです。どうして私はいつもこうなんでしょう。




 翌日は2人で入学の手続きに行きました。

 入学式まではもう10日ほどありますが、これで学院の設備は使えるようになります。既に図書館や訓練場を使っている者もいるみたいです。

 手続きの後、時間が余ったので、私達も訓練場を借りて、早速強化魔法の指導をしていただきました。

 強化の伝わりが弱いところを、的確に指摘してくださるので、少しですけど私の強化割合が上がりました。

 4年、停滞していた事が、たった1日の訓練で。

 本当に驚きました。


「オーレリア様は複数の魔法を使い分ける事に慣れているせいで、魔法を一定に保つ技術は苦手みたいですね」


 って、私より私の魔法に詳しくありませんか?

続きに難航しているので、ここで一旦切らせていただきます。

能力不足で申し訳ありません。


本日中に残りを投稿できるよう頑張りますので、続きも宜しくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] チンピラ子爵(げふん)に絡まれた時の殺陣のような立ち回りから自分に厳しいタイプなのだろうなとは思ってましたが、意外にも自己評価の低いお方ですね。傲慢で人を見下す態度が見え見えな人の8倍は好感…
[気になる点] その時、車の中で筆の様なものを構えるスカーレット様を、確かに捉えました。とありますが、この車マジックミラーになってるので見えないのではないかと思いました
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