衰退と繁栄
「あなたにはハッキリいって一つの道しか残されていません。消滅を選択するとしても、神様になって後任の指名や育成してから引退という形になりますねぇ。」
御使いは持っていた本を私の手に押し付けてきた。
「この本を見て何とかしてください。」
説明を投げ出したなこいつ。思いながらも渡された本を速読する。ふむ。だいたい解った。けど解せないことがいくつかある。
「さぁ、迷っている時間はないですよ!あなたの後ろにある扉からあなたの世界があります。」
後ろに振り向くと確かに扉があった。
「あっ!忘れてた!創造神様からは特典に何か一つ叶える事ができますよ!」
それを聞いて私はここぞとばかりに質問をした。
「ねぇ、何で衰退したの?いくら担当の神様がいないからって人間って高々100年で衰退するものなの?繁栄には神の許可とかいるものなの?」
「いいえ?繁栄にいちいち許可をとっていたら神が過労死しますよ~」
「ふむ。では何が一番の原因かわかっているの?」
「まぁ、前向きに担当してくれるってことでいいですか。一番の原因は転生者や転移者が原因です。」
初めて御使いの真顔を見たかもしれない。
「あのさ、転生者や転移者って何なの?そしてその存在ってポンポン出てくるものなの?」
「そう、ですねぇ。あなたは今まで視てきた人よりはマシかもしれません。なので特別に話しましょうか。」
御使いが指を鳴らすとテーブルとイスが出てきた。
紅茶でいいですかと此方の好みも聞かずにクッキーと紅茶を出した。
「座ってください。長くなりますよ。」
ヘニャリと笑った顔は疲労が滲み出ていた。