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自称、巻き込まれ体質の事件譚  作者: 松本真希
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魔法と魔素

「今日はここまでかな。明日からは、早速実践といこうか。」


ジーク先生は俺の前に立って言った。


やっと終わった。俺は、「よいしょ。」と声をだして、椅子から立ちあっがた。


ジーク先生は授業が始まってから、永遠としゃべり続けた。二時間もの間ずっとだ。


部屋の端まで歩いていくと、そこで反転してまた反対側まで歩いていくのを永遠と繰り返していた。


話がすぐに脱線して、やっと戻ってきたかと思ったら、また脱線する。


俺は、よくそんなにも話すことがあるのだと感心しきりだった。


俺は、人前で話すのが昔から、あまり得意でない。三年近く引きこもっていったら、コミュ症の男が爆誕するのは自明だ。


パソコンと一日中睨めっこしていたら、人と話す機会おろか、話すネタだって、パソコン、ゲーム、以上の二つ。


貧弱なこと、この上ない。


この五年で少しは良くなったとはいえ、俺の本質のインドアとコミュ症は健在だ。


それに、唐突にいくどとなく現れる、睡魔をモグラ叩きの要領で押し込めなきゃいけなかった。


昼食の後の授業が眠くなる。世界が違ってもそれは変わらない。


「エド君が、眠そうにしていたのは知っているから、明日は、実践にしたんだよ。」


ばれていたか。まぁ、何度も頭をガクガクと揺らしたら、そりゃ誰でも分かるか。


「ちゃんと今日の話を覚えておいてね。魔法を使う上で重要なことだから。」


分かっているとも。


ジーク先生の濃密な弾幕のマシンガントークを要約するとこんな風になる。


この世界には魔素と呼ばれる目に見えない何かがウヨウヨ浮かんでいて、それを人が取り込むことで、魔法が使えるらしい。


その魔素は火山の噴火や地震といった自然が作る膨大なエネルギから生まれているらしい。


人は、魔素を作ることができないので、周りの空気や、食べ物から取り込む必要があるとされている。


魔素が多く含んでいるとされる食べ物の一つがキノコだ。そうあのキノコだ。俺が、トマト、にんじんの次に嫌いな、あの傘を被った得体の知れない物体だ。


絶対に、「キノコは森に生えているし、自然的な感じがするから、魔素たくさん持っていそうだねー。」という、単純極まりない理由でそう考えられているに違いない。


俺にとっては、困ることこの上ない。


魔素を幼い頃からたくさん食べると、体に蓄えることのできる量が増えるという素晴らしい考えのおかげで、毎食のように食卓にキノコが上る。ソテーにスープ等々。


俺が、嫌がって食べずに残していると、母親が目の笑っていない笑顔で「ちゃんと食べなさい。」と言ってくる。


あの笑顔が般若に見えるのはきっと俺だけではないはずだ。


人によって、魔素の蓄えられる量が違うように、魔素の変換効率が違ってくる。


そのために、上手く使える魔法のと、そうではないものがでてくる。


生活に必要な魔法は使う魔素の量は少なくて、ほぼ全ての人が使うことができる。


けれど、広範囲に火球を落としたりする攻撃用の魔法は、魔法師と呼ばれるようなごく限られた人しか使うことができない。


ちなみに、この世界には魔物と呼ばれる存在がいる。今日のジーク先生の話で知った。


動物や植物が上手に魔素を外に排出できなくなると、体内に魔素が凝縮した魔石と呼ばれるものができて魔物化する。


魔物化した動物は、元の姿に比べて、格段に大きく強くなって、魔法を放ってくる物もいて危険らしい。


では、なぜ、人が魔物とならないのかというのはまだ謎らしいのだが、仮説はある。


人は、意識的に魔法を使って、魔素を十分に排出しているから、魔物にならないというものだ。


じゃあ、人に近い、猿とかは、魔物になりにくいのかとジーク先生に聞いたら、そうでもないらしい。謎だ。


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