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自称、巻き込まれ体質の事件譚  作者: 松本真希
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魔法とは

「エド君。君は、魔法とは、何だと思う。」


えらく抽象的な質問だ。案外答えるのが難しい。なんとか俺は答えをひねり出した。


「願いを、思いのまま叶えることができるものでしょうか。」


「大体、そのようなものだと思ってくれて構わないよ。だけど、今の魔法には叶えることのできない例外が二つある。どれも生に関わることだ。


一つ目は、死んだ者を生き返らせること。


二つ目は、永遠の命を得ること。


この二つだ。」


ジークは急に真面目な顔をして、話し続ける。


「今の魔法は、詠唱で定式化されているけれど、本来、魔法はもっと自由なものだったんだよ。


昔の人は”強い思い”を持つことで魔法を使っていた。”強い思い”だと分かりにくいな。


言い換えるなら、それは、何を、どのように、どこへ、魔法を使うのかを、思いで指定することだよ。


ここまでは良いかな。エド君。」


「はい。けれど、何故、今は詠唱が主流なんですか。昔の方が自由ですし、便利なのでは。」


「世の中には、上手く想像できる人と、そうでない人がいるよね。どこへの部分の思いが弱いと、魔法が暴発してどこに飛んでいくか分からないし危ないだろ。


それに、全てを思いだけで、魔法を使おうとすると、本当に使える人が少数になってしまって、人のメリットを最大限に生かすことができない。


僕たち、人は、熊みたいに大きな体があるわけでもないし、猪のように牙があるわけでもない。


人のメリット。それは、数だよ。

そこで登場するのが、詠唱さ。人のバラバラな思いを言葉に落とし込むことで、万人が同じように魔法を使えるようにできる。


何を、どのように、の部分を言葉に置き換えると、簡単なイメージだけで魔法が使えるようにななる。そして、どこに、に思いを集中できるから、魔法の制御が格段に向上して、使い物になるようになるのさ。


例えば、火炎を例にとってみようか。


『火よ。渦巻いて、』


と詠唱している間に、どこに魔法を当てるかイメージすることが出来るだろ。精度が上がるのと同時に、魔法を打つのにかかるのに時間を格段に短くすることができる。


これが、詠唱のすごいところだ。


それで、この詠唱の基礎を築いたのが、この世界で唯一、魔女と呼ばれる方だよ。一度くらい聞いたことがあるだろう。」


もちろん、聞いたことがある。


この世界では、人々から尊敬される対象で、子供用の童話にはよく主人公として登場する。


けれど、俺はどうしても、魔女といえば箒にまたがった悪の象徴のような姿を想像してしまう。


どうして、俺が童話の内容を知っているかといえば、毎晩寝る前に、童話を読み聞かされていたからだ。


童話とはいえ、いかんせん、子供用の物語だ。


グリム童話ばりの怖さもなく、勧・善・懲・悪のお決まりのパターンだ。どうしようもなくつまらない。


まあ、ちょうど良い睡眠導入剤の代わりだ。それでも、話しの内容を少しは覚えている。


「魔女は、今の魔法の全ての基礎を作ったのだけれど、唯一、今に伝わっていないものがある。


永遠の命を得る魔法だ。


この魔法に関しては、こんな話がある。」






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