3話目怨念の大群(前編)
~太刀風達の鎮守府~
「・・・今日も海が綺麗だな。」
厳格な顔をした提督が窓を見てそう言った・・・彼は太刀風。自由への翼の貢献、その他大量の功績を上げ司令官となった・・・
「・・・天龍・・・」
「ん?」
「・・・いや、何でもない。呼んでみただけだ。」
「何だそれ・・・」
「・・・ん?何だあれ?」
「・・・ん?」
「あれだ。海の沖・・・」
「・・・?真っ黒だな・・・前も後ろも」
「・・・皆を広間に」
「分かった。」
そう言い天龍は扉を開けて指令室から出ていった。
「・・・嫌な予感がするな。」
そう言い銃と軍刀を取り出した。
「・・・さて・・・どうなるか・・・」
そう言い太刀風は広間に向かった。
~広間~
「・・・」
広間に皆が集まった。長門が質問した。
「・・・何があった?私は部屋で寝ていたのに天龍に部屋の壁に穴を開けられ無理矢理叩き起こされて機嫌が悪いんだが・・・」
「怨念と思わしき者が進撃してきているのを確認した。そして前衛基地との連絡が途絶えている。」
「・・・数は?」
「不明だ。だが、海が真っ黒に見えるほどの数だ。かなりの数が予想できる。」
周囲がざわついた。当たり前だ。そんなに大量に目撃されている・・・それがすべてこちらに向かっているのだから。そして木曾が言った。
「・・・どうすんだよそんな数・・・」
「・・・この数だと難しいよな・・・だがやるしかない」
「どうやって!」
「・・・アレクサンドロス大王の歴史は知っているか?」
「・・・あ?何だよ急に・・・」
「・・・アレクサンドロス大王はダレイオス三世と戦ったときアレクサンドロス大王の軍は8万人ダレイオス三世の軍は12万人・・・四万人の差があった。だがアレクサンドロス大王はそれを覆して勝利した。何でだと思う?」
「・・・分からん。」
「これは俺の考えだが大将であるアレクサンドロス大王に部下は絶大な信頼をおいていたからだと思う・・・アレクサンドロス大王はダレイオス三世との戦いの前、ミトリダテスと言う人物と戦ったんだが、アレクサンドロス大王はミトリダテスを投げ槍で倒した。それからアレクサンドロス大王の部下は皆アレクサンドロス大王に絶大な信頼を置いた。皆が俺に信頼を置いているかどうかは分からない。だが少なくとも俺は皆を信頼している。皆に背中を任せられると、そう思っている。」
「・・・おいそれってまさか・・・」
「天龍」
「ん?」
「皆の指揮は任せた。」
「はぁ!?」
「皆。俺の事をどれだけ信用しているかは分からない。だけど今だけでいい。俺に背中を預けてくれ。」
そう言い太刀風は頭を下げた。皆は
「そんなことしなくても私(俺)達は太刀風を信頼している。」
と答えた。