1話 ライブ
※国王目線です。
国王様、歌姫:マナ・ルナ様が参られました。
「わかった、入るように言ってくれ」
そう答えた途端、謁見の間の扉が開かれた――――
――――扉の前まで来ていたようだ。
「なに? シア。明日大きなライブがあるから忙しんだけど」
どうやら、相当機嫌が悪いらしい
ライブ前はいつもの事なので国王は気にした様子はない――――しかし、
「国王様に対して、無礼にも程があるぞ! 歌姫」
近衛兵はそうでもないらしい。
「ノット、構わん」
「しかし国王様、それでは周りに示しがつきません」
「ほんとに大丈夫だ。マナとは親友だ、それは公認されている。今更だ、そんなこと。お前も知ってるだろう? それと、二人きりにしてくれ」
「前者は理解しました。しかし、後者は呑めません。今朝のようなことがあっては困りますので」
「今朝のこと?」
マナは不思議そうに尋ねた。
「今朝な、二人組の暗殺者に襲われてな。撃退には成功したんだがな、片方が恐れられている暗殺者のうちの一人"血涙"だったんだ。それぬえ、兵達がピリピリしているんだ」
「なるほど。近衛兵、えっとノットだっけ・・・? 下がっても大丈夫だとおもうよ?」
「歌姫様。そういう訳には行きません。二人はこの国で最も重要なお方々。もしもの事があっては国は成り行きません」
「ノットよ、ほんとに大丈夫だ。マナに結界を張ってもらう故な」
そういうと同時にマナに目配せで張ってと頼んでくる。
マナはそれに応え、すぐさまに結界を展開する。
「そういうことでしたら、退室させていただきます。もしもの時はお呼びください」
そう言うと近衛兵もといノットはお辞儀をし下がっていく。
「で、早く要件を言って、ほんとに時間無いから。
早く作業に戻りたいの」
このやり取りのうちに、マナの不機嫌度はさらに上昇した。――――ほんとに時間が無いのだろう。
「明日のライブな、私も見に行きたい。チケットを貰えないか? もちろんタダてくれとは言わん。金は払う」
マナはまたかと溜息をつく退室させた理由らは、私がマナのファンであることは、二人の間の秘密になっていたためだ。
「だめか・・・・・?」
「分かったよ。タダであげるよ。しかし今回でほんとに最後だからね。ちゃんと偽装魔法を使って来るんだよ」
「ありがとう、恩に着るよ」
私は国王にも関わらずガッツポーズをしつつ、そう言った。少しこの言葉に疑問を持ったが、怖くて聞けなかった。
「で、本当の要件はなに? まさか、ほんとにそれだけ?」
マナは呆れあきれた様子でそう聞いた。
「そ、そうだが・・・・・」
私はマナから目をそらす。
「・・・・・・・・・・分かったよ。これで帰るね」
「あ、そうだ。暗殺には気をつけて、たとえ歌姫といえど暗殺されんとは限らん」
「ん、帰るね」
そう言うとマナは早々と帰って言った。
ほんとに忙しいらしい・・・・・。
「ノットよ、もう大丈夫だ、入って良いぞ」
そう言ってシアは近衛兵であるノットを呼び戻すと、急いで仕事を終わらせて眠りについた。
――――――日が変わりライブ当日――――――
ライブ会場に着いた私(偽装済)は熱気にのまれ、思わず息を飲んだ。人の数もそうだが、一人一人の本気度がすごいのだ。
チケットは売り切れ、買えなかった者は急用で行けなくなった人から買おうと、声をかけ続けていたためだ。たった今、チケットは4万エンで落札された。(※通常価格5000エン)
また、多くの報道陣も駆け付け、ファンへの取材で大賑わいだ。
中には、歌姫親衛隊を名乗るものまでいた(※歌姫公認である。)
私わ熱気に飲まれつつも、買い物を終わらせると、早々と指定席についた。
なんと、マナはvip室のチケットをくれていたようだ、ありがたい。
「皆さん、今日は来てくれてありがとー!!
もしかしたら、今日ものひともいるのかなー?」
そんな掛け声とともに始まったライブは、今までの熱気が嘘かというほどに盛り上がった。松岡〇造並の熱気である。
そんなライブであるが、始まってしまったらあっという間であり、ライブの時間の二時間という時間はあっという間に終わってしまった。
ライブがおわったマナは、何故か覚悟を決めたような顔をしていた。私はこの時気づくべきであった。
歌姫が、マナがなにかしようとしていることに。
――――――ライブの余韻が冷めぬ翌日歌姫は姿を消した------
書いてはいるものの、難しいですね。