サンタクロースの贈り物
今年の十二月は僕にとって最悪な月だった。
世の中はクリスマスムードで、どこのお店も陽気なクリスマスソングが流れて、恋人たちは指を絡ませてアクセサリーショップをのぞいたり、オモチャ屋さんでは、子供たちを連れた父母が、幸せそうに微笑んでいたり。
なのに、僕だけは不幸のどん底だった。なぜなら、来年、結婚を目の前にして恋人にフラれてしまった。おまけに今朝は車をぶつけてしまった。それもこれも、先月に会社が倒産したせいだ。
真面目にコツコツ働いてきたのに、まるで夢だったかのように会社は消えてしまった。僅かばかりの退職金と、次の仕事への斡旋はあったものの、どっちもそうはもたなかった。
僕は美しく心優しい彼女の言葉に、逆につらく当たってしまい、ある朝起きたら彼女は出て行ってしまった後だった。さようならの言葉もなく、ただ部屋の鍵だけを置いて。
それが先月の末の話。
僕は、このところ五日ほど毎日やけ酒をしている。まったくもって不甲斐ない自分と、理不尽な運命を恨んだ。友達の心配する声も、故郷の母親の慰める声も励ましてくれた妹の声も僕の心には届かなかった。
街のレストランで、昼から酒をあおり、酔いが回って通りを歩けば、みんなが白い目で僕を見てる。哀れんでみる老人たちも居た。でも、今の僕にはそんなことはどうでも良かった。いっそ、このまま夜の公園で眠ってしまって死んでしまってもいいとさえ思えた。
そして、やけ酒をして六日目の朝。僕の部屋に友達からメールが携帯電話に来た。
―――やぁ、タカヒロ。会社が倒産したって聞いたよ。大変だったね。ところで時間があったらちょっと手伝ってほしいことがあるんだけど、もしよかったら連絡ください。―――
それは高校時代から仲の良い小島からだった。ここ数年連絡も取ってなかったけど、誰かに僕の事を聞いたらしい。人の噂は広まるのが早いな、いやな話に限ってそうだ。
とはいえ、酒ばかり飲んでいて少々そんな毎日にも飽き飽きしていたのも事実だった。
僕は何日ぶりかわからないけど、熱いシャワーを浴びて歯を丁寧に磨き、ヒゲを剃った。それから比較的、汚れてない服を選んで着ると、街に出た。
身なりをきちんとしてみると、最悪だった日々だったけど、ちょっと気分がシャキっとした。
でも、行き交う人の中に、彼女と似た髪形をした女の子を見ると、目で追っている自分がいた。
僕は小さくため息をつくと、足早に小島との待ち合わせ場所へ急いだ。
小島の待つ喫茶店に入ると、そこには小島と一緒に白いひげの老人が居た。
「やぁ、久しぶりだね」と小島は屈託のない笑顔をした。
「やぁ。ひさしぶり。」と僕も笑った。そして小島の横でニコリともせず座っていた老人に目が行くと、小島は慌てて紹介した。
「この人は、サンタクロースさんです」
「え?」僕は悪い冗談だと思って怪訝な顔をした。
「・・・と思い込んでいる、老人なんだ」と小声で小島は僕に言った。
「どういうこと?」
事情を小島に詳しく聞くと、この老人は小島が働いている老人デイサービス施設の利用者だということだった。本名は小野茂樹という。サンタのサの字も名前に入ってなかった。一年前くらいまでは記憶力もしっかりとしていた。しかし、何がきっかけでそうなったのかはわからないけれども、徐々に自分のことをサンタクロースというようになり。ここ半年くらいは、グリーンランドだかフィンランドだかに行って、子供たちにプレゼントをする準備に行くと言い出し、度々、徘徊して警察のお世話になっていた。今日も実を言うと、小野さんが脱走して動物園のトナカイの柵の前に居たのを見つけたばかりのところだったそうだ。
「小野さん、このジュース飲んだら帰ろうね」小島は大きな声ではっきりと聴こえるように諭した。
「・・・・。」お爺さんはまったく反応なく、まるで虚空を見つめるように一点を見つめていた。
「なぁ、このお爺さんこれからどうするんだ?」
「うん、あんまり歩かせるのも、外は雪で滑るだろ?だからさ、迎えの車を今手配しているところなんだよ。ごめんな、こんなことで呼び出したわけじゃないんだよ。実は・・・」
と小島が言いかけたとき、お爺さんはすくっと立ち上がった。
「わしは行かなくてはならぬ!」初めて聞いたお爺さんの声は見かけによらず力強かった。
「小野さん、もうちょっとで迎えの・・・」
「わしは子供たちにプレゼントを!」と大きな声で言い放つと、急に走って店を出て行った。
「ああ・・・」僕はあっけに取られてぽかんと口を開けた。
「くっそ、また逃げられた!」小島は悔しそうに口を曲げた。
「あの爺さん、めっちゃ身軽だったけど・・・。」
「そうなんだよ、老人の割りにスポーツやってたらしいから体は動くんだよ。タカヒロ悪い、ちょっと手分けして探すの手伝ってくれるか?」
「ああ・・・、うん、もちろん」
僕と小島は、喫茶店を出ると西と東に分かれて大通公園を探した。僕はどんどん西のほうへ歩いた。ホワイトイルミネーションも恋人も家族連れも目にはならなかった。ただ、あのへんな老人の姿を探した。
「ヒゲがもじゃもじゃの老人、この当たりで見ませんでしたか?」
道行く何人かに聞いて見たけど、誰も見てないと言った。時々、小島と携帯電話で連携を取りながらお互いにどんどん離れた場所に進んで探していった。小島は警察にも連絡したと言った。
外は日が暮れてきて、だんだんと薄暗くなってきた。行き交う車もライトをつけて、歩く人たちの顔も暗くて少し見分けづらくなってきた。気温も下がってきたし、心配は増してきた。
「くそジジィ、どこに消えやがったんだ。うぅ、寒い」
とうとう公園の外れまで来てしまった。この先は資料館くらいしかない。引き返して違うエリアを探すほうがいいのか、そう思って立ち止まっていたら
「ママ、サンタさん居たね」と小さな女の子がはしゃぐ声が聞こえた。
「あのすいません・・・サンタさんって ヒゲもじゃもじゃの老人のことですか?」僕はその子の母親に聞いてみた。すると、そうですと母親は答えた。
僕はお礼を言うと、急いで目撃された場所に行った。走りながら、小島に電話をしたが出なかった。
資料館の裏手の庭のベンチに、小野さんは居た。
「小野さん・・・」僕は息を切らしながら、お爺さんの横に座った。
「ほほほう!待っておったぞ。君にもメリークリスマス!」小野さんはにっこり笑うと、ポケットからたくさんの飴を出して僕にくれた。
「爺さん、この飴どこで・・・」と言いながら、僕は飴のひとつを見てみた。そこにはデパートのロゴが印刷されていた。
お爺さんは白い息を吐きながらも、嬉しそうに空を見上げてニコニコしていた。
「何でそんなに嬉しそうなんだよ」僕は飴の一つを頬張った。
「君はクリスマスを知らないのかい?とっても素敵な日なんだよ」とお爺さんは子供に話を聞かせるような口調で僕に言った。「今年一年良い子にしてたかな?」
「うーん・・・」僕はちょっと唸った「わりといい子にしてたけど、でもさ恋人に酷いことをしてしまってね、それを後悔してる。」
「恋人にはまだ謝ってないのかい?」お爺さんはボケてるのか、まともなのか判らないくらいしっかりとした口調で言った。
「謝ってないよ、その前に朝起きたら出て行った後だったから」
「そうか・・・。」老人は再び回線が切れたみたいに沈黙した。
「ごめんごめん、変な話して」僕は立ち上がった「さぁ、帰ろう。みんな心配してるよ」
僕は小野さんを連れて、資料館を背中にして歩いた。外はすっかり夜になり、街のネオンやイルミネーションがとても綺麗だった。去年のクリスマスイブは、彼女と一緒に歩いてみたんだっけ。その前の年もそうだった。彼女は寒いから僕にぴったりをくっついて、目をキラキラさせてイルミネーションを見ていた。
「来年もまた一緒に観に来ようね」と僕は言った。
お爺さんは、歩きながらずっと、「赤鼻のトナカイ」と「サンタが町にやってくる」を繰り返しで歌っていた。その歌声は、不思議と耳に心地良かった。このお爺さんの人生は、そんなに悪い人生ではなかったような気がした。
「少年よ。大志を抱け!」とお爺さんは突然声を上げた。
そこには誰だか判らない銅像があった。ただ、それは明らかにクラーク博士ではなかった。
「そうだね。そうするよ」と僕は笑った。
歩きながら、小島に電話を何度かかけてみたものの、どういわけだか繋がらなかった。
「弱ったなぁ・・・」僕は頭を掻いた。
「どうした少年よ。困ったことでもあったのかい」お爺さんは言った。
「少年は、お爺さんの身元引受人と連絡が取れず困ってるんだよ」と僕は言った。
とりあえず、僕はおじいさんを連れてもと居た喫茶店に戻って暖を取った。
「寒かっただろ、お爺さん」僕は温かいココアとエビピラフをお爺さんのために注文した。
「これは美味しい!少年も食べなさい」とお爺さんは満足そうに食べた。
「お爺さん、気が付いてないかもだけど、僕はいい中年のおっさんだよ」
「・・・。」お爺さんはまた虚空を見つめるようなうつろな目で僕を見た。
「わかったわかった。少年で良いや」
お爺さんに食事を食べさせたものの、小島とは連絡が取れない。
「お爺さん、自分の家どこかわかる?」と試しに訊いてみた。
「ずっと北の北欧と呼ばれる場所にワシの家はある」と真顔で答えた。
「ふむ・・・。」
「さて、爺さんどうしようか」と僕は手をたたいた。
「どうするもこうするもあるか」とお爺さんは言った「少年よ、今日は何の日か知ってるかい?クリスマス・イブだ」
「うん、そうだったか。今日はイブか」
僕はすっかり日にちの感覚を失っていた。仕事を失い、恋人を失い、すっかり酔いどれていた間にクリスマス・イブになってたんだ。そういえば・・・。
「あ!」僕は思わず声を上げた。
「どうしたんだ少年、声を上げて」老人は僕の頭をなでた。
「お爺さん、僕すっかり忘れたんだけど。恋人と過ごそうと思ってホテル・グランドのラウンジを予約してたんだよ。」僕はため息をついた「まぁ、行く相手が居なくなったからいいんだけど。でもレストランで席を取っておいてくれてるし、キャンセルは前日までだから、どっちにしてもお金払いに行かなくちゃ」
「ここから近いのか?少年よ」
「うんうん、わりとね。」
相変わらず、小島と電話は繋がらなかったので諦めてお爺さんを連れて歩き出した。
「お爺さんケーキは好き?」
「むろん好きだ」
「それは良かった」
「少年よ、ワシからのお願いがある」
「ん?なんだい?」
「ワシはもうすぐ、家に連れ戻されるんだろ?」
「うん・・・。」
「せめて、その前に本当の本物のサンタらしいことがしたい」
「本物のサンタらしいこと・・・」
僕はお爺さんの切ない横顔を見ながら考えた。実在しないサンタにさせるために僕ができることはあるのか・・・。と、ふと街の通りを見るとサンタの衣装を着たカラオケの客引きが行過ぎる人たちに声をかけていた。
「わかったよ、爺さん。」
僕は妹の早苗に電話をした。
妹の家に着くと玄関を開けに来た五歳と三歳の甥っ子たちが声をあげた。
「うわー!サンタさんだ」
そこには予算の都合上ちょっと安っぽかったけど、サンタの衣装を着たお爺さんが立っていた。お爺さんは嬉しそうに子供たちの頭を撫ぜた。
「そうともワシはサンタクロースだ。子供たちよ良い子にしてたかな」
「うん!してた!」子供たちは口々に言った。
「本当か?」そこに僕がひょっこり顔を出した。
「あ、叔父ちゃん!」子供たちはさらに嬉しそうに声をあげた。
「いらっしゃい」妹がエプロン姿で現れた。
「よお、お邪魔するよ」と僕は笑った。
「あのね・・・。」と少し緊張気味に妹が言いかけたとき
「おねーちゃんサンタさんが来たよ!」と上の子が居間に向かって叫んだ。
すると、そこには彼女が現れた。
「美佳・・・。」
彼女はちょっとうつむいて困ったように微笑んだ。
「とにかく、お兄ちゃんもサンタさんも上がって」
妹の早苗は笑顔でお爺さんの肩に付いた雪をほろった。
妹の手料理を食べてケーキを食べると、お爺さんは隣の部屋で。子供たちと遊んでいた。
居間では、妹夫婦と美佳と僕がだんまりと座っていた。
「あのね、お兄ちゃん」早苗が言った「美佳さんだって、とっても辛かったのよ。お兄ちゃんが自分のせいでどんどん駄目にさせちゃうんじゃないかって。私から連絡したら、そんなことになってたからうちに来てもらったの」
「お義兄さんも、せっかくここまで来たって言うのにあんな事があったから辛かったでしょう。でも美佳さんはお義兄さんを支えたいって思ってるんです、その気持ちはわかってあげてください」
「・・・。美佳ごめん。」
「うん・・・。」美佳はちょっと瞳を潤ませて頷いた。
「さ、お義兄さん。今日は飲みましょう。」
妹の旦那の聡史がシャンパンを注ごうとした。とそのとき
「そろそろワシも帰るかな」お爺さんが小さな声でそう言いながら居間にやってきた。
隣の部屋を見ると遊びつかれた甥っ子たちがスヤスヤ眠っていた。
「お兄ちゃん本当にタクシー呼ばなくて大丈夫なの?」
「うん。このサンタさんは足腰が丈夫なんだ」
僕と美佳はお爺さんを真ん中に挟んで歩き出した。
「お嬢さん、この少年はとてもいい子だ。よろしく頼んだよ」とお爺さんは言った。
美佳は笑顔で頷いた。
と、そこへ小島からの電話が鳴った。
小島は携帯が充電が気が付いたら切れていたらしかった。僕は、お爺さんを無事見つけたことを伝えた。それから、もうちょっとだけお爺さんを借りていいかと、小島に頼んだ。
「それは構わないけど、小野さんとお前の間に何があったんだ?」と不思議そうに聞いた。
「あとで会った時に話すよ」と僕は電話を切った。
「お爺さん、もうちょっとだけ僕たちに付き合ってくれるかい?」
「ああ、・・・いいとも」お爺さんは意外そうに目を丸くて頷いた。
サンタの衣装を脱いで元の服に着替えた小野さんは、人の良さそうなただのお爺さんに戻っていた。
やがて僕達は大通公園のミュンヘン市に着いた。
ミュンヘン市ではクリスマスグッズやら、お菓子や食べ物が所狭しと並べられ、人で溢れていた。
お爺さんが喜ぶと思って、僕はお爺さんを屋台や舞台での演奏を見せて歩いた。しかし、お爺さんは少し寂しそうに首を横に振った。
「どうしたんだい?あんなにさっきまでサンタらしいことしたいって言ってたじゃないか」
「ワシは、サンタではない。ただのしょぼくれた爺さんだ」とお爺さんは寂しそうに言った。
「どうしたんだよ、急に」僕はびっくりしてお爺さんを見つめた。
「息子家族も孫も誰もワシを構ってくれなかった。なのに見ず知らずの若者がこんなにも暖かく接してくれたのが嬉しくもあり悲しいんじゃよ」
「お爺さん・・・」美佳は、泣き出したおじいさんにハンカチを差し出した。
僕はお爺さんの肩に手を置いた。
「お爺さん、いや小野さん。負けるなよ。僕だって仕事も無くしたし、一時は恋人だって失って、昨日までやけ酒してたけど、純心なあんたを見てがんばろうって、思えたんだよ。小野さんの家庭がどんな事情か知らないけど、負けないでくれよ。お互い頑張っていこうよ。あんた、サンタクロースなんだろ、僕の甥っ子に嘘つくような真似しないでくれよ」気が付くと僕まで泣いていた。
「おお、そうだった。ワシはサンタクロースだったな・・・。」お爺さんは涙を拭くと笑って見せた。
「今日はクリスマス・イヴだものね。楽しく過ごしましょう」美佳も涙をこらえて微笑んだ。
小島が迎えに来た時、小野さんはもうボケたフリはしていなかった。
「色々すまなかったな。楽しい時間をありがとう」と小野さんは言った。
「いったい何がどうしてどうなったんだ?」小島は驚いて目を丸くしていた。
「今日はクリスマス・イブだからさ、色んなことが起こるんだよ」と僕は笑った。
「少年よ、大志を抱け!」と小野さんはウィンクをした。
「ありがとう」僕は照れ笑いをした。
「ありがとうサンタさん、またお会いしましょうね」美佳も手を振った。
小野さんがデイサービスのワゴン車で行ってしまうと、僕はちょっと寂しい気持ちになった。それを察したのか美佳がそっと僕の手を握った。
「おうちに帰ろう」と美佳は笑った。
「うん」僕は頷いて歩き出そうとしたその時、携帯が鳴った。
小島からだった。
「どうしたんだ?」と僕は言った。
「うんうん、用件が二つ。一個は、うちの兄貴の会社でさ営業の人手が足りなくて、よかったら手伝ってもらえないかってことを今日話そうと思ってたんだよ。また日を改めて話そう。もう一個は、小野さんがちょっと話したいみたいだから代わるな。」
「もしもしワシだ」
「どうしたんだい?小野さん」
「これからホテルグランドに彼女と二人で行きなさい。ワシからのお礼だ。」
「え?」
「いいから行きなさい。小野茂樹に言われてきたと伝えるんだぞ。わかったね」
「ああ・・・」僕はどう答えたら言いか判らずいるうちに電話は切れた。
「どうしたの?」美佳は僕を見た。
「うん、小野さんがホテルグランドに行けってさ」
「え?」美佳もわけが判らない顔になった。
ホテルグランドに着いた僕達は、言われたままに
「小野茂樹さんに言われてきました」と伝えた。
すると受付係の品の良い男が、どこか内線電話をした。
「お待たせしました。こちらへどうぞ」とボーイが現れ、エレベーターに僕たちを乗せた。
「ねぇ・・・私たちどこに行くの?」美佳は不安そうに言った。
「うん・・・」
エレベーターはどんどん上の階に行き、最上階の一つ手前で止まった。
「こちらのお部屋でございます」とボーイに大きな扉の前に通された。
開けると、そこは僕が人生で見たことのないほど立派なスイートルームだった。
「え・・・・」僕と美佳はあっけに取られて言葉を失った。
「小野さんって・・・。まさかどっかの社長だったのか」
「いえ会長です。小野建設の」ボーイはにこやかに笑った。
「小野建設!」僕と美佳は声を上げて顔を見合わせた。
その夜はサンタクロースがお礼にくれた部屋で信じられないくらい贅沢で素敵な夜を過ごした。
そして、それから一年後、僕と美佳は結婚した。