49.また会う日まで
49.また会う日まで
車窓の景色が次第に都会味を帯びてきた。列車は間もなく東京へ到着する。
「もうすぐですね。そろそろ降りる準備をして下さいね」
「日下部ちゃん、心配性だな。みんな子供じゃないんだから」
周りの乗客たちが徐々にデッキへ移動して行く。面々もそれぞれに荷物をまとめる。
「着いたら、すぐに乗り換えて帰宅される方もいらっしゃいますから。ホームでそのまま解散ということになります。皆さん、気をつけてお帰り下さい」
「おう!日下部ちゃん、今回も幹事お疲れさま」
「りっきさんも色々盛り上げてくれてありがとうございました」
「私はすぐに東海道新幹線です。また、機会があればご一緒させて下さい」
「齋藤さん、こちらこそよろしくお願いします」
「日下部さん、楽しかったです。また誘って下さいね」
「めいさん。気をつけてお帰り下さいね」
「日下部さん、次回の旅行ではいい方で目立ちたいですね」
「水無月さん、ドンマイです」
「そのうち秋葉原でメシしましょうね」
「大橋さん、その時はぜひご連絡お願いします。出来れば事前に」
「日下部さん、来月は私誕生日ですからね」
「いろはさん、ちゃんとカレンダーに印をつけてありますから」
「日下部さん、お疲れ様でした。今回も色々と勉強になりましたよ」
「午雲さん、こちらこそ、あまりお構い出来なくてすみませんでした」
「日下部さん、新しいお友達に出会えてよかったです。幹事さんは大変でしょうけど」
「圭織さん、そう言っていただけるとありがたいです。ま、好きでやってることですから」
「鉄人、またね」
律子はそう言って、日下部に手に何かを握らせた。
「これは…。ありがとうございます。前のと一緒に大事にします」
それは鳴子温泉のキャラクターのキーホルダーだった。もちろん律子とお揃いだ。
ホームに降りると、みんな散り散りに家路へ向かって去って行った。
「美子さんは一泊されるんですよね」
「はい。日下部さん、この後お時間あったら食事でもご一緒しませんか?」
「そうですね。時間はたっぷりありますから」
「やった!」
まゆとなつがガッツポーズ。美子も二人を見てにっこり笑う。
「あれ、まゆさん、なつさんも?」
「はい!」