43.牛タン通り
43.牛タン通り
牛タン目当てに3階の牛タン通りにやって来た4人はどの店に入ろうかと迷っていた。そこで大橋がスマホを取り出し、人気店をチェックした。
「そこの『利休』ってお店が評判らしいですよ」
その店は中途半端な時間にもかかわらず、混み合っていた。
「混んでますね。時間間に合うかな?」
「どの店も混んでますよ」
「ちょっと厳しそうですね」
「電車に遅れちゃ話にならないですからね」
大橋と水無月の会話に齋藤が口を挟んだ。
「それなら二人は弁当でも買っていきなさい。私たちは是が非でも食べていきますから。乗り遅れたら次の電車で帰ればいいだけのこと。ねっ、閉伊さん」
斉藤がりきてっくすに話しかけた時には三人は弁当売場へ走っているところだった。
「急ぐにゃん!乗り遅れたら大変にゃん」
「なんと!」
こうなったら意地でも食べてやろうと齋藤はムキになった。探す時間がもったいないと、『利休』へ飛び込んだ。
律子は土産売り場で品定めをしている女性陣を仕切りにカメラに収めている。
「りったんはお土産買わないの?」
圭織が聞くと、律子は黙って頷いた。律子がカメラを向けた先にはいろは、めい、なつの三人がいた。
「なんだかパパラッチみたいね。いい写真は撮れそう?」
まゆも不思議そうに律子を見ていた。
めいはキーホルダーを見ている。
「ご当地キティちゃんって、けっこう種類があるのね。なんだか迷っちゃう」
「めいさん、こういうの好きなんですか?」
いろはが聞くと、めいがこう答えた。
「なんだかんだ言って、楽しかったわよね。この旅行。誘ってくれた幹事さんに何かお礼をしたくて」
「いいわね!私もノッたわ」
「えー!じゃあ、私も。私は大橋さんと水無月さんにも。めいさんは齋藤さんにも買ってあげたら?」
いろはとなつも楽しそうにキーホルダーに手を伸ばす。