26.いざ、二次会へ!
26.いざ、二次会へ!
目を覚ました齋藤は周囲の雰囲気に違和感を覚えた。見覚えのあるもの、ないものが入り混じって大騒ぎしている。
「はて?ここはまだ夢の中かしら?」
「あ、齋藤さん。目が覚めましたか。しかし、お猪口一杯でひっくり返るなんて見た目からは想像できませんでしたけど」
「私なんざ、その程度ですよ。ところで、午雲さん、これは一体どういうわけですかな」
午雲はこうなった経緯を齋藤に説明した。
「なるほど…。では、私はその井川とやらに見つかる前に退散しますかな。皆さんには気分が悪くて先に部屋で休むとでも伝えておいてください」
部屋へ戻る前に齋藤はトイレへ立ち寄った。鏡を眺めた途端に声を上げた。
「なんですか?これは!」
若女将の絵痲が日下部の元へやって来て、宴会の時間が終了することを告げた。
「あとは上のバーでお待ちしておりますわ。しおんも刹那も帰って来ていますから」
「しおん?刹那?」
日下部は首を捻った。が、ここで一旦、中締めをすることにした。酔いどれ軍団の方も一旦、部屋に戻って締めた後、二次会で合流することになった。
「みなさん、宴もたけなわではございますが、そろそろお時間となりましたのでここで中締めとさせていただきます。飲み足りない方、歌いたい方、最上階のバーで二次会のご用意が出来ていますので宜しかったらそちらの方へ。それでは中締めの音頭をりっきさんにお願いします」
りきてっくすは予想外の指名に照れながら立ち上がった。
「それではご指名ですので、皆さんお手を拝借…」
景気よく三本で締めると、一同は二次会目指して移動を始めた。水無月はこっそり部屋に戻ろうとしたのだけれど、不意に背後から浴衣の襟を掴まれた。
「話を聞かせて欲しい言いましたやろ」
まゆに引きずられ、強制的にエレベーターに乗せられた。
絵痲はバーの厨房で握り飯をこさえて漬物と味噌汁と一緒にカウンター席の刹那に差し出した。
「今、宴会がお開きになったので間もなく見えられますよ」
それを聞いたしおんはにっこり笑って頷いた。
「ありがとう」