17.パニック寸前
17.パニック寸前
「早くバスを出すにゃん」
りきてっくすに促され、運転手の弥欷助はバスを出した。
「おい、誰かこの中にあの人から恨まれているヤツが居るんじゃないか?」
そう言った、りきてっくすにみんなの視線が集まった。
「違う!僕じゃないにゃん」
「偶然ですよ。たまたま行き先が同じだっただけなんじゃないんですか?」
日下部はみんなを安心させようとそう言った。なつも頷いた。
「そうですよね。私もさっき、めいさんに言われたんだけど、そう思います」
「あの…」
ガイドの瑠璃が蒼ざめた顔で口を開いた。
「実は先ほど、あの方に宿泊先を聞かれたんですよ。それでつい…」
「教えちゃったんですか?」
大橋が大声を出したので瑠璃は俯いて黙り込んでしまった。
「大丈夫ですよ。黒川さんは悪くないですから、気にしないでください」
日下部は瑠璃を慰めるように言った。
「あっ!タクシーに乗った…」
窓からその女性を見ていた、いろはが呟く。
「なんか、ついて来るみたいだよ」
「いやー!」
女性陣が悲鳴を上げる。その瞬間、彼女が乗ったタクシーはわき道に逸れていった。
「なんだったんですかね…」
「さあ?でも、これで一安心じゃないですか?」
大橋と水無月がみんなを安心させるように言った。
バスが宿泊先となるホテルへ到着した。
若女将が一同を出迎えてくれた。
「ようこそ皆さん、お待ちしておりました。若女将の高千穂絵痲でございます」
一同はロビーに通され、幹事の日下部が若女将と共にフロントへ向かった。
「なかなかいいホテルじゃないですか」
大橋がロビーから見える景色を眺めながら言った。
「部屋割りはどうなってるんだろう?男女別ですよね…」
「当り前でしょう!」
ボケたつもりの水無月に容赦なくロケットパンチが飛んできた。