15.モテモテなのは財布の中身
15.モテモテなのは財布の中身
「たくさん歩いたから小腹が減ったにゃん」
「そうですな。そこのフードコートで何か軽くいただきましょう」
そんな二人の様子を見て日下部は頷いた。
「あの二人はいいコンビになると思っていたんだ」
「ふーん…。そんなことより、わたし、これがいい!」
律子は斉藤たちのことなどどうでもいいというように、スイーツのおねだりをした。2階のレストラン『源』のチョコバナナもっふるだ。
「うわあ!美味しそうね。私も食べたい」
まゆも指をくわえて日下部の顔を見る。
「いいわよ!ねっ、鉄人」
「じゃあ、私はもっふる&よくばりアイス」
「圭織さんまで…」
「え~?ダメなんですか?」
「ハハハハ…。いいですよ」
引き攣った作り笑いを浮かべる日下部だった。そこへ大橋と水無月が3人娘と一緒にやって来た。
「日下部さんモテモテですね」
大橋が冷やかす。
「モテているのは僕ではなくてこっちの方だよ」
そう言って日下部はポケットから財布を出す。
「なるほど!」
大橋と水無月が顔を見合わせて笑う。
「みんなも好きなものを頼んでいいわよ」
「本当ですか!日下部さんごちそうになります」
「ちょっと律子さん…」
「いいわよね!て・つ・じ・ん」
そう言って日下部にウインクする律子。
そのころ午雲と美子は隣接する平泉文化史館に訪れていた。
「あらっ?」
「河さん、どうかしましたか?」
「あの女の人、よく見かけるなあと思って」
上下白い服を着て白い帽子をかぶった女性が二人の方を見ていた。