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ペルソナ  作者: ウミネコ
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第二章『皇製薬会社の闇』第二十六話

 結維の慟哭。

 裁也は胸が締め付けられる思いをしながら、眼前の敵と戦っていた。

 魂を壊した筈のロゼが、何故未だ生命活動を実現出来ているのか不思議でならなかった。

 おそらく皇月夜の研究が関連しているのだろう。

 裁也は金と銀の眼を同時発動させ、ロゼの魂を再度見つめる。

「――ッ!?」

 息を呑んだ瞬間、ロゼが裁也を殴り飛ばす。

 胸を強打し、むせ返りながらも裁也はロゼの追撃を免れた。

 そして殺意と怒りを込め、ロゼを――否、今は逃げた皇零に刃を向ける。

 ロゼの心は伽藍堂――虚無だった。

 空っぽの心に在ったのは、黒く薄汚れたシミだった。

 ゼロへの忠誠と裁也への憎悪を垣間見て、裁也は改めて花蓮の顔をした皇零を抹殺する事を自身に誓う。

「――――――」

 焼けるような左肩の痛みと腹。

 早期に決着をつけなければ、裁也の命も危ない。

 裁也だけならばいい。だがここには如月結維もいる。

 その事を胸に刻み、裁也はロゼに向かって駆け出した。

「フシュッ!」

 突き出したロゼの拳を回避。

 そのまま体当りし、ロゼを突き飛ばす。

 ロゼは反転し床に着地。奇声を上げ、裁也に接近してくる。

「………………」

 分子刀を発動。

 腕を切断するも、人間を捨てたロゼは動じない。

 牙を剥いたロゼは、裁也の首筋に齧り付く。

「――ッ――うあああぁぁッッ!!」

 裁也に激痛が奔る。

 ロゼの牙は肉を食いちぎり、骨まで達しようとズブズブと深く食い込んできた。

 裁也はロゼに腕を回し、彼女を抱きしめた。

「……?」

「……これで、もう逃さない……」

「ッ!?」

 ロゼの本能が即座に逃走するよう命じるも、裁也の腕を外せない。

 ドン、と胸を穿つ衝撃が奔り、壁際にロゼは突き立てられた。磔にされた罪人のように。

「……本来、そこに刺さっているのはお前じゃないんだがな」

 ロゼは両手で剣を抜こうとする。

 だが、触れた刹那に両手が切断され、羽をもがれた虫同然に成り果てた。

 裁也はなおも逃げ出そうとするロゼを、見るに忍びなくなり、

「――せめて苦しまないように殺してやる」

 ロゼを両断した。

 彼女は真っ二つに切り裂かれ、瓦礫に埋もれていく。

 裁也は柄にもなく、彼女の魂が――空っぽの心が安らかに眠れるよう、神に祈った。

 

 結維がグズグズと泣いている。

 裁也は彼女に近付いて、頭に手を置いた。

「……ッヒ、た、裁也ぁ……、お姉ちゃんが、お姉ちゃんが、行っちゃったぁ……」

「……ああ」

「な、何で、私の前から、いなくなっちゃうんだろ……。私、何かしたのかなぁ……?」

「いや、君は何もしてない。ほんの少し……、ほんの少しだけ歯車がズレただけだ……」

 結維の頭を優しく撫でながら、裁也は彼女を抱きしめる。

「……っうあ、うあああぁぁぁぁっっ――!!」

 結維は裁也の胸に顔をうずめ、ひたすら泣いた。

 裁也は結維を慰めながら、金の眼を発動させた。

 そして、結維の肉体と精神のリンクを強制切断し、彼女を眠らせた。

「……今は眠るんだ。俺が、君を護る」

 眠っている結維を抱え、裁也は炎上する研究所から脱出を始めた。

次の話で第二章、終わります。

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