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ペルソナ  作者: ウミネコ
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第二章『皇製薬会社の闇』第十二話

「やあやあ! 性懲りもなくまた来てくれたんだねっ! 僕は嬉しいよ!」

 満面の笑みで裁也達を出迎えた一を、結維は辟易した。

「さあさあ! こんな所で立ち話もなんだから入って入って! 裁也! お茶を淹れてくれたまえ!」

 ハイハイ、と裁也は事務所の奥へと引っ込む。

 結維は椅子に座り、一と対面した。

「それで今日はどうしのかなっ? また僕を叱りにきたのかい?」

「そんなことしないわよ。先日はごめんなさい」

 一礼する結維に、一は「ホッ」と笑う。

「いやあ、そんな風にされると僕も照れちゃうね! かしこまらないでよ! ここは君の家だと思っていいから!」

 儀礼的に挨拶をしただけなのに、一は何だか照れてるようだった。

 結維は一の過剰な反応に若干困惑し、顔を引きつらせないよう、最大限の努力をした。

「一。如月さんを困らせるな」

「あっ、裁也! 遅いぞ!」

 裁也がコーヒーカップを三つ置いていく。

 コーヒー独特の芳醇な香りが辺りに漂った。

「時間通りだ。別に遅くない」

「むぅ……、まあいいか! ……美味いコーヒーだねっ、コレ!」

 裁也が淹れたコーヒーを一瞬にして飲み干す一。火傷をしないのだろうかと結維は心配した。

「――それで、今日は二人してどうしたんだい? 付き合う報告かな?」

「そんなわけないでしょっ!」

 即座にツッコミ、結維は今日ここを訪れた理由を簡潔に説明する。

「――だから、貴方の力を借りにきたの! 分かった!?」

「あ、う……うん、分かったよ……」

 烈火のごとく、結維にまくし立てられた一は、怯えつつも頷いた。

 そして裁也を一瞥すると、彼も首肯し、一の前にUSBメモリーを差し出した。

「……これは?」

「内容は分からない。ミカドが襲われてた場所に落ちてたものだ。これを〝エンペラー〟ってヤツに預けたい」

 裁也が言うと、一は苦虫を噛み潰した顔になる。

 そして両腕を組み「むぅ……」と唸った。

「? どうした? 何か問題でもあるのか?」

「問題? 問題なら大ありだよ! ありあり過ぎて困ってる!」

「何が問題なんだ?」

 一が席を立ち、ふらふら~っとテーブルの周囲をうろうろする。

 裁也と結維は互いに顔を見合わせて、一の奇行を見守った。

 やがてピタッと動きを止めて、一は裁也を見た。

「――裁也と如月さん。残念だが、君達二人の願いは叶えられない。ミカドの捜索は諦めた方がいい」

「ッ!? どうしてよっ!」

「それはね、君達の話が正しければそのミカド君というやらは、〝エンペラー〟の事だからさ」

「――ッ!!」

 衝撃の事実に二人は息を呑んだ。

 一はため息を吐いて続ける。

「実は僕も困っている所だったんだ。彼に――〝エンペラー〟に仕事の依頼をしているんだからね。その彼と連絡を取れないのは、僕にとって痛手だよ。彼はとても優秀な人間だからね」

 一はUSBメモリーを手に取り、電灯にかざす。

「これが彼の唯一の手がかりになるわけだね。この中に、僕が依頼した内容が入ってればいいけど、全然関係ないものだったら無意味に終わる」

「じゃあ、そうならない為にも早速その中身を確認しよう」

 裁也が言うと、一が首を振った。

「これは僕が確認しとくよ。三人でわざわざ確認するのは時間がもったいない。それより君達には、〝エンペラー〟の家に向かってもらいたい。何かしら足跡が残されてるかもしれないからね」

 一は奥に引っ込むと、薄っぺらい紙を裁也に渡した。

「これは……?」

「〝エンペラー〟の家の住所だ。コロコロと住む場所を変えるヤツでね、逐一連絡させるようにしてたけど……。もしかしたら、行くだけ徒労に終わるかもしれないけどね」

「行くだけ行くさ。何もしないより、よっぽど良い」

 そうかい、と一は言った。

「じゃあ俺と如月さんはミカドの家に行く。お前は、USBメモリーの中身を確認したら教えてくれ」

「オッケー、裁也。任せといてよ」

 裁也は出口に向かい、結維は慌てて彼を追いかけて行く。

 一は、手を振って二人を送り出した。



 完全に気配がなくなった後、一は呟いた。

「……さて、〝エンペラー〟のヤツめ。随分と勝手な真似をしてくれたようだな……」

 USBメモリーを握り、そのまま子供とは思えない握力で、バキンと壊す。

 中身は見なくても解る。あの内容が入っているはずだ。

「俺の下僕を唆そうとしやがって……。まだ生きているなら、俺が息の根を止めてやる……!」

 おもむろに電話を取り出し、ある人物へと連絡をいれる。

「あっ、もしもし? 久しぶり! ロスト・クリスマス以来だね! 元気だった!?」

 一は明るい口調で向こうと会話をする。

 そしてニンマリと嗤った。悪魔のように。

「――そうなんだ。じゃあ、大丈夫だね! 僕の手駒がそちらに向かうかもしれないから一応警告しておくよ。君の事だから問題ないと思うけど、油断してると――狩られるよ」

 相手が、がなり立てるので一は通話を一方的に終えた。

「さて裁也。コレも運命だろうから、頑張るんだよ。皇は手強いだろうけど、君なら乗り越えられるさ」

 さあ、止まっていた時計をそろそろ動かそうか。

 黒く塗り潰した闇に、石杖裁也がどう立ち向かうのか、これも一興だ。

「クククッ……! 裁也ッ! 真実に直面した時、君はどんな魂の輝きを見せてくれるのかな!? クックック……! アーハッハッハッハ――!!」

 黒く濁った瞳。

 吊り上がった唇の端。

 哄笑する子供。

 西尾一は、ニ年ぶりに心の底から嗤っていた。

寝落ちすると、とんでもない出来事に遭遇します。

今日、画面上には、っっっっっっっっっっっっ……、と謎の文字が連なり一人でビックリΣ(゜Д゜;エーッ!

閑話休題。

七つの大罪が王道すぎる件について。

パワーインフレが目立つが、面白さがそれを補っているのでおk。

この漫画、RPGにしても売れそうだなぁ……。

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