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いつまでも・・・。

作者: 腐海の主

 

 俺とあいつは幼馴染で、それ以上でもそれ以下でもない。


 そう思ってた。・・・あのときまでは。



 あいつはあの日、恥ずかしそうにはにかんで俺に告げた。


「好きな人ができたんだ。キミも知ってると思うけど

 

 ・・告白しようと思って」


 あぁ、知ってたよ。おまえが誰をいつから好きかなんて事


 とっくの昔にな。


 いつから一緒だと思ってんだ。そんくらい分かる。


 ・・・なんて、言えるワケなくて


「そうか・・・ガンバレよ。」


 とか、ありふれた言葉しかいえなかった。


 自分でもきっと、どこかで分かってたんだと思う。


 でも俺は、‘幼馴染‘って肩書きに逃げていた。


 いつか絶対壊れる縁に、しがみついてただけだった。


 あいつがずっと他のやつを見ているのを知っていたのに、


 そんなの、とっくの昔に分かってたのに。


 それでも刺された気がするのは


 やっぱり、あいつのことが好きなんだって事がわかった


 ― あいつが誰かとくっついて、俺があいつをまだ好きで。なんて、 


 変な三角関係を演じる気は、これっぽっちもない。 



 あいつの隣は俺じゃない。

 

 あいつは他のやつの隣で幸せになるんだって 


 気がつけたのは、ある意味幸運なんだろう。


 引きずらないでいられるのかは分からないが、

 

 これなら、なんとか割り切れる。


 いまさら気づいたって、どうしようもないなんて思わない。


 今だって、自分の正直な気持ちに気づけてよかった。



 ―あいつはあの後、すごく喜んで俺に報告してきた。


「やった!okもらえたよっ!本ッッ当にうれしい!」


 そのときのあいつの顔はとても幸せそうで、


 満開の花のような笑顔だった。


「良かったな、長年の片思いが実って。」


 俺はあいつに、ニヤニヤ顔でそう返した。


「やっぱり気づいてたんだ!なんなんだよキミは


 ・・昔から変わらないなぁ」


 そう言ってあいつは、スネてフイッとソッポを向いた。



 昔から変わらない。これからもあいつとの関係を変える気は無い。


 ・・・そう思わせておけばいい。俺もそのつもりだから。


 でも、俺はあいつの幸せを心のそこから願ってる。



 ―そう想うのは、きっと俺のエゴなのだろう。


 だから、この気持ちにはフタをしよう。


 きっと、それがあいつの為だから―

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