表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/43

実戦演習ー後編ー

川から這い上がって、どれくらい時間が経ったのか。


森の匂いが濃い。

水気を含んだ土が冷たく、服が肌に張りつく。

夏である事が、不幸中の幸いであった。


上を見上げれば、崖。

下を見れば、川はまだ速い。


ここは演習フィールドの“外側”だ。

そう直感できるくらい、整備の気配が薄かった。



「……通信、まだ……?」


セリナが、手首の装置を睨むように見た。

レインは、同じ装置に視線を落としてから、静かに首を振る。


「うん。反応、ないね」


音も鳴らない。

雑音すら入らない。


セリナは口元を歪めた。


「笑えないわね……」


強がりの声。

でも、指先が小さく震えている。



レインは、自分の上着の裾を絞った。

水が落ちる音がやけに大きい。


「ねえ、セリナ」


できるだけ優しい声を選ぶ。


「たぶん今、先生たちは捜索してると思うよ」

「でも……私たち、流されてきた距離が長い」


セリナが眉をひそめる。


「つまり?」


「先生たちの想定する私たちの移動範囲は、崖の上でしょ」

「探すなら、まずあそこを中心にするはず」


レインは、崖の方向を指さした。


「でも私たちは、ここ」

「川は、まっすぐじゃないし……流され方によっては、かなり下流」


言葉にすると、現実が輪郭を持つ。

セリナは、舌打ちを飲み込むように息を吐いた。


「……つまり、すぐには見つからない可能性がある」


「うん」


レインは頷く。


「焦らないでいい、って意味じゃないよ」

「焦ると、判断が雑になるから」


セリナは一瞬だけ目を逸らして、


「……分かってる」


と、短く返した。



沈黙。


川の音。

葉が揺れる音。

遠くで鳥の声。


演習のざわめきは、もう聞こえない。


ここには、二人しかいない。



「……さっき」


セリナが、ぽつりと言った。


「なんで、私を助けたの」


刺すような言い方ではない。

疑うというより――確認だった。


レインは、少しだけ笑ってみせる。


「助けるでしょ」


「……私は、あなたに優しくなかった」


「そうかな」

「私は、セリナがちゃんと“ペアの責任”を果たしてくれてたって思ってるよ」


その言い方があまりに自然で、セリナは少しだけ唇を噛んだ。


「……嫌だったのよ」


「何が?」


「あなたが」


言ってから、セリナは自分でも驚いたように目を瞬く。

でも、もう止まらない。


「編入生で」

「普通科出身で」

「それなのに……最初から、みんなの空気を変えた」


言葉が、乾いた音で落ちていく。


「可愛いって言われて」

「優しいって言われて」

「自然に輪の中心に入って……」


セリナは、拳を握る。


「私は、そういうのが苦手なのに」


視線が下を向いた。


「努力しても、評価されるのは“結果”だけ」

「誰かに頼るのも、甘えに見える」

「笑ってごまかすのも、上手くできない」


そこでようやく、レインを見る。


「なのに、あなたは……最初から全部持ってるみたいに見えた」



レインは、否定しなかった。

肯定もしない。


ただ、聞く。


「……それで、私が嫌いになった?」


セリナは、少しだけ目を逸らす。


「嫌い、っていうより……怖かった」

「私の居場所が、崩れる気がした」


吐き出した後の声は、小さかった。


「馬鹿みたいでしょ」


「馬鹿じゃないよ」


レインは即答した。


「それって、“自分の場所を守りたかった”ってことだから」

「当たり前だよ」


セリナが、目を見開く。

その返しを、想像していなかった顔。


「……あなた、ほんとに優等生みたいなこと言うのね」


「そう見えるなら、そうなんだと思う」


レインは、少しだけ肩をすくめた。


柔らかい仕草。

でも、崩れない。



セリナは、しばらく黙ってから、ぽつりと言った。


「……私の家、地方の名家なの」


レインは驚かない。

ただ頷く。


「商いと土地で成り立ってる家」

「軍でもMEKでもない」

「だから、戦いとは無縁のはずだった」


「じゃあ、どうしてMEKを?」


レインが聞くと、セリナは一瞬だけ迷って――言った。


「家は……長男が継ぐの」

「それはもう、決まってる」

「私は、最初から“継がない側”」


声に棘が戻る。


「だからって、自由ってわけじゃない」

「家にとって都合のいい婚約とか」

「都合のいい役割とか」

「そういうのが、ずっと用意されてる」


そこで、セリナは鼻で笑った。


「私が何をしたいかなんて、誰も興味がないのよ」


レインは、ほんの少しだけ目を伏せた。


「……それで、ここに来たんだ」


「そう」


セリナは頷く。


「MEKは、実力主義」

「結果を出せば、立場ができる」

「“家の娘”じゃなくて、“私”として残れる。」

「英雄にだってなれる。」


言い切った後、セリナは小さく息を吐いた。


「……だから、絶対に弱く見られたくなかった」

「編入生のフォローなんて、私の役目じゃないって思った」


自分の汚い部分を、認めるみたいに。


「ごめん」


その一言は、驚くほど小さかった。


レインは首を振る。


「謝らなくていいよ」

「今、話してくれたでしょ」

「それが……嬉しい」


セリナが、わずかに眉を寄せる。


「……なんで?」


「なんで、って?」


「なんで、嬉しいのよ」


ツンとした口調。

でも、もう攻撃じゃない。


レインは、少しだけ考えてから言う。


「セリナが、私を“見て”くれたから」

「可愛いとか、編入生とかじゃなくて」

「ちゃんと、相手として」


セリナの喉が、小さく鳴った。


「……ずるい」


「え?」


「そういう言い方、ずるいって言ってるの」


頬が、ほんのり赤い。

気づかれないように顔を背ける。



しばらくして、セリナが現実に戻るように言った。


「……で」


「ここからどうするの」

「助けを待つ?」


レインは、周囲の地形を見た。


谷は深い。

上へ登る道は、崖に近い急斜面しかない。


そして――


上には、あいつがいる。


「待つだけだと、危ないかもしれない」


「なんで」


セリナが眉をひそめる。

レインは、言い方を選ぶ。


「中級外界種は、下級と違って縄張り意識が強いって聞いたよね」

「さっきの個体……私たちを“逃がした”とは思ってない」


川が障害になって、追ってこれなかっただけ。

なら――川沿いに回り込む、という判断もある。


「それに、演習区域に戻れなかったら、捜索の手掛かりが少ない」

「“ここにいる”って伝える術がないなら……動いた方が見つかりやすい」


セリナが唇を噛む。


「……でも、上に戻ったら、また中級に当たる」


「うん」


レインは頷いた。


「だから、再戦になる可能性が高い」

「でも、戦って倒す必要はないと思う」


「……じゃあ、どうするのよ」


レインは、セリナを見る。

真剣な目。


「私たちが帰るために必要なのは、“安全な道”と“目印”」

「先生たちが探す場所に、痕跡を残すこと」


一拍。


「上に戻って、崖の近くまで行ければ」

「捜索線と交差できる可能性が上がる」


セリナは、少し黙ってから言った。


「……要するに」


「中級に見つからないように、上へ戻る」

「もし見つかったら、時間を稼いで、逃げ切る」


「うん」


レインは柔らかく笑った。


「セリナなら、できるよ」

「判断、速いし」


セリナが、また顔を背ける。


「……褒めたって、何も出ないわよ」


でも、声の硬さは薄れていた。


「動ける?」


レインが聞く。

セリナは立ち上がって、足首を確かめた。

痛みはある。

でも折れてはいない。


「……大丈夫」


「よかった」


レインは、セリナの濡れた髪についた葉をそっと取ってやる。


セリナが固まる。


「……な、なにしてんの」


「ついてたから」


「……そういうの、普通にやるのね」


「普通だよ」


レインは、何でもないように言った。

その“普通”が、セリナには眩しい。


セリナは、短く息を吐いてから、言った。


「……レイン」


「……さっき」


セリナが、声を落とす。


「私、本気で死ぬと思った」


「うん」


「でも」


 一拍。


「あなたが」

「“一緒に逃げよう”って言ったとき」


セリナは、少し照れたように言う。


「……なんでか、信じられた」


理由は、分からない。

でも、その言葉は真実だった。


セリナは、こちらを見る。


「私、まだ二流じゃない」


拳を握る。


「戦って勝てるかはわからない。」

「でもーー」

「逃げ切るだけの自分で終わりたくない」


「……うん」


レインは、柔らかく微笑む。


「それでいいと思う」


否定もしない。

煽りもしない。


「一人じゃ無理でも」

「二人なら、できることは増える」



夜明けの気配が、わずかに空を染め始める。

森が、目を覚ます時間。


「再戦するなら」


レインが、静かに言う。


「場所を選ぼう」

「さっきみたいな、正面衝突じゃない」


「地形を使って」

「“勝ち筋”を作る」


セリナは、その言葉を聞いて目を細めた。


「……やっぱり」

「あなた、只者じゃないわね」


「え?」


「いい意味で」


小さく笑う。


「編入生って聞いたときは」

「正直、足手まといだと思ってた」


「……ごめん」


「だから、謝らなくていいって」


セリナは、立ち上がる。

剣を握り直し深く息を吸う。


「行きましょ」

「夜が明けきる前に」


そして小さく付け足す。


「……足、引っ張らないでよ」


ツン。

でも、声はもう冷たくない。


「うん」

「私も、頑張るね」


レインは笑って、装備のベルトを締め直した。


そして――

二人は再び森の奥へと歩き出した。


———


夜明け前の森は、静かすぎるほど静かだった。

川に流された地点から、二人は時間をかけて上流へ戻っていた。

濡れた服は冷え、足取りは重い。


それでも――

止まるという選択肢はなかった。



「……この方向で合ってる」


セリナが、地形と痕跡を見ながら言う。


声は掠れているが、判断は冷静だ。

完全に消耗しているはずなのに、思考は止まっていない。


「外界種も……私たちを探してる」


「うん」


レインは、静かに頷いた。

魔気の流れが、そう告げている。 

あの中級外界種は、まだこの森にいる。


そして――

こちらに向かってきている。



やがて。


足元の土が、わずかに揺れた。

空気が、重くなる。


「……来る」


セリナが、即座に構える。

木々の間から、影が現れた。


中級外界種。

昨日と同じ個体。


確実にこちらを覚えている。

逃がした獲物を、追ってきた目だ。



セリナは、レイピアを握り直す。


「……レイン」


「なに?」


「正直に言うわ」


一拍。


「私一人じゃ、まだ倒しきれない」


その言葉に、悔しさはある。

でも、逃げも誤魔化しもない。


ただの事実だ。


レインは、少しだけ間を置いてから答えた。


「私も」


優しい声。


「私の真気のレベルじゃ、決定打は出せない」


「だから――」


 レインは、一歩後ろに下がる。


「私は、できる範囲で支えるね」


「十分よ。前に出ないで。」


セリナは短く頷き、細剣を構える。


足元――

循環歩。


呼吸と歩幅、重心が完全に噛み合う。



外界種が動いた。


一直線の突進。


セリナは逃げない。


「細剣式・一の型《穿線》」


最小限の踏み込み。

直線的な突き。


急所を狙うが、硬い外殻に弾かれる。


想定通り。


セリナは即座に体勢を崩し、横へ流れる。

外界種の爪が空を裂いた。



「二の型《返光へんこう》」


反転。

剣先が円を描き、関節部を浅く削る。


ダメージは薄い。

だが、外界種の動きが一瞬、乱れた。


――今。


レインは、ほんの“ささやき”程度に魔気を流す。


外界種の感覚が、僅かに鈍る。

セリナには、気づかせない。



外界種が怒り、咆哮。


地面を叩き、岩が跳ねる。

セリナは距離を取らず、踏み込んだ。


「三の型《断歩だんほ》」


循環歩を崩さず、歩幅だけを切り替える。

一瞬で間合いを詰め、連続突き。


――だが、決定打にはならない。


細剣が、悲鳴を上げる。


「……っ!」


衝撃で、セリナが後退。

膝が、わずかに沈む。


呼吸が乱れ始めていた。



(……ここ)


レインは、外界種の背後に“意識”を置く。


攻撃はしない。

ただ、追う方向を間違えさせる。


外界種の視線が、ほんの一瞬だけ逸れた。



「四の型《流転るてん》!」


セリナが、それを逃さない。


身体を低く沈め、地を滑るように回り込む。

剣が、脇腹の隙間へ。


初めて、手応え。


だが――


「……!」


外界種の爪が、同時に振るわれた。


カウンター。


回避が、半拍遅れる。


衝撃。


セリナの身体が、宙を舞う。



「セリナ!」


レインが、叫ぶ。


――使えない。

大きな力は、使えない。


だから気配だけを、全力で押した。

外界種の追撃が、ほんの一瞬だけ遅れる。



地面に叩きつけられるセリナ。


血。

視界が、滲む。


(……だめ)


(意識が……)



――浮かぶ。


家。

広い屋敷。

決められた未来。


「お前は家を継ぐ必要はない」


だから――

“好きにしていい”と言われた。


それは期待されていない、という意味だった。



(……違う)


(私は、逃げたくてここに来たんじゃない)


(私は――)


脳裏に浮かぶ、隣で息を切らしている少女。

優しい声。

何も聞かず、信じてくれた目。


(……負けたくない)


(ここで終わるのは、嫌)



朝日が、森の隙間から差し込む。


温かい光。


その瞬間――


真気の巡りが、変わった。


世界が、静まる。



「……まだ、終わってない」


セリナが、立ち上がる。


足は震えている。

身体は、限界だ。


それでも――

芯が、揺れていない。


「五の型《昇華しょうか》」


細剣が、光を纏う。


循環歩が、完全に溶け合う。


迷いが、消える。


一歩。


ただ一歩。


外界種の懐へ。


剣先が、核を貫いた。


細剣が、朝日の中で静かに輝いた。


――突き。


深い。

今までとは、明らかに違う。


核を、捉えた。


———


中級外界種が、悲鳴を上げて崩れ落ちる。

魔気が、霧散する。



セリナは、その場に膝をついた。

肩で息をしながら、剣を握ったまま、しばらく動けなかった。


「……は……はぁ……」


指先が震えている。

全身が、痛い。

骨の奥まで、疲労が染み込んでいる。


それでも――


生きている。



「……やった、わね」


掠れた声。

顔を上げると、朝日が木々の隙間から差し込んでいた。

夜が、終わったのだ。



少し離れた場所で、レインが同じように座り込んでいる。


服は泥だらけ。

息も荒い。


「うん……本当に」


レインは、柔らかく笑った。


「セリナ、すごかったよ」


「……」


セリナは、しばらく黙っていた。


自分の体を、内側から確かめる。


さっきまでとは、明らかに違う。


真気の巡りが、滑らかだ。

無理に回していた感覚がない。


“繋がった”。


そう、直感的に分かる。



(……二流)


その言葉が、頭に浮かぶ。


ずっと、届かなかった場所。

才能があっても、越えられなかった壁。


それを――

今、越えた。



「……ねえ、レイン」


セリナは、剣を支えに立ち上がりながら言った。


「私……」


言いかけて、止める。


何を言えばいいのか、分からなかった。


感謝?

安堵?

それとも――謝罪?



レインは、先に言った。


「帰ろう」


それだけ。


無理に言葉を引き出そうとしない、優しい声音。


「……そうね」


セリナは、短く答えた。

でも、その声には、もう刺々しさはなかった。



二人は、肩を貸し合うほどではない距離で、歩き出す。


同じ方向へ。

同じ速さで。


2人が捜索隊に保護されたのは、その数時間後であった。


———


それから数日後。


演習の件は、「想定外の外界種出現と通信障害による事故」として処理された。


教官たちは平身低頭。

生徒たちは無事に戻り、演習は一時中断。

詳細は伏せられたまま、学園には、いつもの日常が戻ってきていた。


昼休み。


チャイムが鳴った瞬間、教室の空気がふっと緩む。


椅子を引く音。

弁当箱を机に置く音。

どこからともなく聞こえる笑い声。


いつもの、学園の日常――

の、はずだった。



「……レイン」


名前を呼ばれて、

レインは顔を上げた。


そこに立っていたのは――


セリナだった。


教室が、ぴたりと静まる。



(……え?)


(今、セリナが……?)


(まさか……)


周囲の視線が、一斉に集まる。

レインも、ほんの一瞬だけ瞬いた。


「どうしたの?」


いつも通り、柔らかく返す。


セリナは、少しだけ視線を逸らし――

それから、短く言った。


「……お昼」


「一緒に、食べるわよ」



一拍。


次の瞬間。


「……は?」


ルカの間抜けな声が、教室に響いた。


「ちょ、ちょっと待て」

「今の聞いたか!?」


ミレイアも、目を丸くする。


「セ、セリナが……?」

「レインを……?」


ざわっ。


教室が、完全に騒然とする。



「え、なに?」

「どういうこと?」

「仲良かったっけ……?」


「ついこの前まであんなに距離あったよな?」

「美女×美女は聞いてないんだけど」


男子も女子も、落ち着かない。



そんな中。


セリナは、腕を組んだまま言った。


「なに、文句あるの?」


低く、鋭い声。


一瞬で、沈黙。


「……い、いえ」


「ありません……」


即座に引き下がる男子たち。



レインは、その様子を見て、くすっと小さく笑った。


「いいよ」

「一緒に行こう」


その一言に。


セリナの肩が、ほんの少しだけ揺れる。


「……べ、別に」

「特別な意味はないから」


「この前の演習で」

「たまたま、話す機会があっただけ」


早口。


明らかに、言い訳。



「はいはい」


ミレイアが、柔らかく笑う。


「じゃあ、私たちも一緒に行っていい?」


「……別に、いいけど」


セリナは素っ気なく答えながらも、レインの隣からは離れない。



廊下を歩きながら。

レインは、隣のセリナに小さく声をかけた。


「体、もう大丈夫?」


セリナは、少しだけ驚いた顔をしてから――

ふっと視線を逸らす。


「……あんたこそ」


「無理してないでしょうね」


「大丈夫だよ」


 レインは、優しく笑う。


「セリナが、すごく頑張ってたから」



その言葉に。

セリナの耳が、ほんのり赤くなる。


「……べ、別に」

「当然の結果よ」


「調子に乗らないで」


言いながらも、歩幅が、少しだけレインに合わされている。



(……なにこれ)


(尊いんだが?)


(ていうか距離近くない?)


周囲の視線は、完全に釘付けだ。



レインは、心の中で静かに思う。


(……ちゃんと、戻ってきた)


血も、魔気もない場所。


昼休みのざわめき。

他愛のない会話。


そして――

少しずつ変わっていく関係。


それを、

守ると決めた自分がいることに。


レインは、まだ気づいていなかった。

挿絵(By みてみん)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ