頭のおかしいスキルツリー構成
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認識の違いを確認してからも、話は続けていた。まずもって、夢幻の世界の脅威を知らなさすぎるのはなんでなんだろうな。今までスタンピードが起きていなかったからと油断したのか? そんな事では困るのだ。しっかりと管理をしないといけないものなんだからな。
管理不十分でスタンピードを許していたら世話も無い。そもそも積極的に攻略を推奨するべきものなんだからな。強くなるには、スキルブックも必要になってくるし、ドロップアイテムも必要になってくる。それを得ながら夢幻の世界を攻略していくのだ。その辺の認識が致命的に甘い。スキルブックが貴族に買い占められている現状、憂慮すべきことは沢山あるが、そもそもちゃんとスキルブックの内容も理解していない人が大半なんだ。それではいけない。全然よろしくない。まずはスキルの認識から変えないといけないだろう。
「スキルブックを貴族が牛耳っているのは知っているが、それでも、冒険者ギルドでも情報は集めておくべきだ。少なくとも、各職業のスキル一覧くらいは作れないといけない。Cランク冒険者になるには、スキルについてある程度知っていなければいけないからな。それを知らずにスキルポイントを無駄にするべきではないって事なんだよ」
「とは言うがな? どうやってスキルの情報を集めろって言うんだよ。まさか一人一人に聞き取りをしろって言うのか?」
「そのまさかだ。全員にスキルについて聞くんだよ。どのレベルで何のスキルを覚えるのか。それが解っているのと居ないのとでは、育成方針が変わってくる。そこに初期ツリーの情報に加えて、スキルブックのスキルも網羅していかないといけないんだ。全冒険者に聞くんだよ」
「なら、おまえらのも聞いても良いか? 大体のスキルの運用も兼ねてだが」
「俺は前回も公開しているからな。別に構わない」
「あたしも、困っているならいいかなって」
「僕は前から大分変わったけど、まあ、良いんじゃないかな」
「私も、前回は断りましたけど、仕方が無さそうではありますから」
そんな訳で、俺たちのスキルツリーの構成と、スキルの概略、それと何が出来るのかを伝えた。こんなことをすれば、対策を立てられて、暗殺される危険性もあるんだが、ここまで国が壊滅的な被害を受けている現状、知識を少しでも集約しなければ話にもならない訳で。この町で何が出来るのか。この町ではどんなスキルブックを手に入れられるのか。それも貴重な情報ではあるが、皆からどんどんと集めないといけない。そうじゃなければ、冒険者ギルドとしての役割が果たせないからな。
「……攻撃力と防御力を上げて、防御力を攻撃力に変換するタンク兼アタッカーの守護者と、豪運のスキルツリーを活かした、クリティカルでアタッカーとして戦う賭博師、HPとMPをドレインしながらバフを使って味方を強化しつつ、自身もアタッカーとして運用する緑魔導士、そして、すべてを全力でHPに振り切って、ダメージを全て吸うヒーラーの聖女。なんだこの出鱈目なパーティーは。スキルツリーも、豪運は聞いたことがあるが、他のスキルツリーは知らないものもあるぞ。アタッカーが居ないってデメリットがあるにしても、ここまで出鱈目なスキルになるか?実質、タンクがタンクしてないし、ヒーラーのHPが高すぎて落ちるとも思わない。しかも将来的にはバッファーがMPだけでなくて、HPも譲渡出来るようになる編成だと? ここまでスキルが揃っていたら、それは強いだろうな。アタッカーなんて死ぬわけがない。しかも、死亡時に復活だと? 先にMPを消費しておかないといけないから、かなりのMPを要求されるんだろうが、これで負ける相手って、どんなのが想定できる?」
「今のレベルとスキルなら、推奨レベル1000のボスならギリギリって所だろうな。大分完成形には近づいているが、それでもまだまだ強化は出来るからな。Sランク冒険者になれば、300ポイントすべてを使える。そうすれば、俺はそこそこだが、マリアナは爆発力が上がるし、ノーデンはバフでおかしいくらいに強化が出来るようになる。メリアは、まだまだHPが伸びていくからな。聖女の最大の利点は、最終的にHPを爆発させられることにある。それが機能し出したら、割とどんな夢幻の世界でもなんとかなるとは思う。これにドロップ強化が付いてくる豪運持ちが居るからな。基本的に金には困らない」
「それに、この称号の数だ。習得難易度を聞いて、頭が痛くなってくる。なんだこのツーマンセルって奴はよ。レベル差倍のボスを2人で討伐なんて頭がおかしくないと出来ないだろ?」
「2回進化していた個体が多かったからな。比較的簡単に取得できたとは思うぞ。まあ、ソリストは無理だって判断をしたが。唯一メリアなら何とかなるかもしれないって程度だが、それでもAランク冒険者にならないと、聖女が攻撃出来ないからな。そこまでになってくると、死亡のリスクが跳ね上がる。避けるべきだとは思うがな」
「いや、それでも十分おかしいからな? 称号だけでもどれだけ強化されていると思っているんだ。これなら強いはずだ。……こんなことは誰にも推奨できないけどな」
「職業に関しては、まだまだ変える余地はあるからな。というか、このパーティーなら俺が一番弱いからな。守護者は割とありがちな職業だし、普通は防御特化に育てるからな。アタッカーが居ないのと、聖女が居るから、こんなビルドにしているが、安定したタンクの方が良いとは思うからな。まあ、無茶苦茶な事をしているとは思わない。これが最適なビルドだと思って育てているからな。まあ、ここから編成を弄るのであれば、アタッカーを追加するくらいか。俺が抜けてタンクを用意するならそれでもいいが」
「流石にここまでやって貰って、アーデルムさんを切れませんよ」
「まあ、当然だけどね」
「ですよね。色々と教えてもらいましたから」
「お前らのパーティーは揉め事が無くていいな。基本的には誰がどのドロップを貰うのかって事で揉めたり、パーティーの方針が合わなくて解散したり、そもそも稼げないから喧嘩したりって感じだからな」
「そんなことは始めからある程度決めておくことだとは思うがな。俺としては、楽して楽しく夢幻の世界を攻略して、気楽に暮らしていきたいってくらいか。最強にもなるが、悠々自適に暮らせれば、それで良いとは思うんだよな」
「……厄介ごとに首を突っ込む気はないってか。まあ、そうだろうな。冒険者ギルドの職員に是非とも欲しいんだがな」
「それは断るな。まあ、スキルアドバイザーなんてやるものじゃないからな。スキルの特性を理解して、その方法を取ってくれれば強くなるってのは理解してもらえるとは思う。が、それがやりたい事とは別の可能性があるからな。楽して安全に強くなろうってのは不可能なんだ。何処かでリスクはとる必要がある。そのリスクを、ちゃんと理解して、自分の力を発揮してもらえれば、強くなれるとは思うんだけどな。ただ、その強さには責任を持てるが、自分に合うのかどうかには自信が持てない」
「冒険者を強くすることは難しいんだぞ? それを簡単だと言い切るお前がおかしいんだ」
「勉強不足だな。ある程度の職業のスキル方針位は聞いておく必要があるとは思うぞ」
普通に検証に検証を重ねていくしかない。職業のスキルツリーは変えられないんだから、それ以外を何とかするしかない。レベルは幾らでも上がるんだ。300ポイントしか振れないが、経験値は幾らでも稼げるんだよ。全てのスキルを使いこなせとは言っていない。有るスキルで最善を考えろと言っているんだ。無理でも無茶でもない。ちゃんと育てれば、これくらいの事は出来るって事でもあるんだから。冒険者を育てるのが冒険者ギルドの仕事だろう?




