とりあえず半分は終わった
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来る日も来る日も夢幻の世界を攻略していた俺たちなんだが、40個目の夢幻の世界を攻略したあたりで、ギルドマスターから呼び出しを食らった。……別に悪いことをしていた訳では無い。というか、ちゃんと活動をしているだけマシだと思うぞ。後半分で、夢幻の世界を攻略し終えるんだからな。勤勉だと言われるならともかく、怠慢だと言われるとは思えない。何かしらの情報が入って来たって事だとは思うが、さて、どんな情報が飛び込んできたのやらだ。
「そんな訳で、来てもらって早々悪いんだが、今の所の進捗状況を教えてくれ。冒険者ギルドで把握しているのは、夢幻の世界が溢れ出てきているところは今の所ないって状態が続いているって事くらいなんだ。現場はどうなっているんだ?」
「大体が3段階。ただ1段階目の夢幻の世界もあった事はあるぞ。条件を満たしていないのか、過去に誰かが攻略したのかは知らないが、そういう場所もあった。どちらかと言えば、高レベル帯がそこまで進展していない感じではあった。感覚的なものでしかないが、高ランクの夢幻の世界ほど、スタンピードが起こりにくい、または条件が難しいって事なんじゃないかとは思うんだが、検証するにしても材料が乏しいし、そうじゃない場所もあるからな。検証には100年単位で時間が欲しい所ではある。そんな時間は無い訳なんだがな」
「そうか。……まあ、夢幻の世界にも色々とあるんだろうな。それで? 今日で何個目だ?」
「40個目だ。これで半分は終わった事になる。怪しいと思われる所から順番に……という訳にはいかないからな。とりあえず、手当たり次第に攻略していっている。移動時間が必要な場所の方から順番にだ。遠い所の夢幻の世界は、1日以上移動が必要な夢幻の世界は攻略し終わったと思ってもいい」
「……遠い所から攻略していっているのには、理由があるのか?」
「一番の理由は、今度スタンピードが起きた時には、5段階で終わらせたいからだな。まさか4回目の進化をするなんて思っても居なかった。それを防ぐには、出て来たばかりのボスを襲撃する必要がある。それなら、遠いとすれ違う可能性があるからな。それを避けるためにも、1日で到達できる方が良いと考えた訳だ。だから、積極的に遠い場所から攻略していっている」
「なるほどな。確かにそうした方が無難ではあるか。まあ、欲で動いている部分もあるとは聞いているが」
「それは仕方がないだろう? 欲しいスキルブックがあったのと、進化してミスリルゴーレムが出るようになっているのであれば、積極的に狙った方が今後のためにもなるだろうからな。だから沢山納品しただろう? ミスリルは今後の冒険者にも必要な物だとは思うからな」
「……誰が買うんだって事は置いておくとして、まあ、あった方が助かるのは事実ではあるが。ミスリル製の鎧や武器なんてのは貴重品だからな。あれば確かに助かるけどな。……量を考えてくれればもっとよかったんだがな」
「あればあるほど良いだろう? 暫くはミスリルなんて無縁なんだ。確保しておく方が良いとは思うぞ」
「腐るもんでもないからな。まあ、良いか。それじゃあとりあえずは順調に夢幻の世界を攻略していっているって事で良いか?」
「そうだな。もう少しで1年になるが、その位には何とかなるとは思う。毎日行くのは辛すぎるからな。流石に休みは欲しい所だ。幾ら格下だと言っても、万が一があるからな。それを排除するには、多少の休みは必要になってくる」
「その位は全く問題ないな。……いや、今後の事を考えれば、問題も出てくるか?」
「休みも許されないのか? それはきつ過ぎるぞ?」
休みも取れないこんな世の中じゃ。なんて事にはなっていないよな? 休みも取れないなんて普通じゃない。普通はボス討伐に1日使ったら、3日くらいの休みが必要なんだ。ある程度はリフレッシュしないといけない。殺伐な事をやっている訳だ。平凡な日常が必要になってくる。……食い詰めていたら、働かないといけないだろうけどな。そんなことはしなくてもいい。豪運持ちがうちには居るんだから、ドロップアイテムには事欠かない。金には困らないんだよ。夢幻の世界を攻略して、金に困るって事は余程でもあるんだけど。
「いや、まあ、何というかな? ……何処から話したものか」
「そんなにヤバい話か?」
「えっとだな。ヤバい話なのは確かなんだよ。何というか、各所でスタンピードが起きたのは確かなんだ。それで、3つ程町が亡んだ。貴族がどうのこうのとかいう感じじゃねえ。町人が避難して、もう町として機能していないのが3カ所ある。それで、貴族が死んだのは8か所。だから、5箇所は貴族が殺された後に200人くらいを動員して、辛くも勝利したって所が5箇所。正直、その8カ所でも頭が痛いんだが、次にスタンピードが起きそうな場所が5箇所程度ある。まだ5箇所もあるんだ。これからスタンピードが起きるかもしれない土地がだ。……だから問題の土地が13カ所もある。それをどうしていくのが正解なのかの、話し合いをするらしい。まあ、下っ端の俺が考える事ではないが、何を言われるかだ」
「最悪だな……。Sランク冒険者は動員出来ないのか? このためのSランク冒険者と言っても過言ではないだろう?」
「Sランク冒険者は、亡んだ町のボスを何とかして倒せないかって事で交渉中だ。そもそもそこが追加でスタンピードが起きる可能性だってあるんだ。そんなことになったら、酷いことになるのは目に見えている。それを防止するのに、Sランク冒険者を使う事になっているんだよ。まだ比較的無事な5箇所は向こうの冒険者が何とかするだろうとは思う。……何とか出来るかが解らないんだけどな。レイドで何とかするらしいが、犠牲者がどのくらい出るのかが解らねえ。でも、何とかしてボスを倒さないといけないのは確かなんだろ? 冒険者ギルドである程度共有していることはあるからな。ああ、ここは数に含んでねえからな? ここはおまえらのお陰で何とか無事だからな。……数に含めてくれても良いとは思うんだがな」
「支援の必要があるのかと言われたら、必要だろうが、他ほど喫緊ではないという事なんだろう? とにかく何とか後進を育てないといけない。後進の育成はどうなっているんだ?」
「とりあえず、貴族が死んでからは、バランスよくパーティーを組ませているが、育成には時間がかかる。おまえらみたいに格上にどんどんと挑めるような胆力はねえ。そこそこ育てるにも時間がかかるんだよ。数年単位で育てないといけない。というか、1年でCランク冒険者になって、レベルも150を超えているって異常だからな? その辺は自覚しておけよ?」
「異常なものか。経験値を稼ぐために、格上に挑むことは何も無謀じゃない。パーティーが揃っていれば、積極的に格上に挑んでもいいと思っているからな」
「推奨レベルって知ってるか?」
「それはボスを狙っての話だろ? 道中の敵を倒すだけなら、レベルは半分あれば十分だ。パーティーが揃っているならそれ以下でも十分戦える」
認識が違い過ぎるな。格上とは言うが、推奨レベル100なら、50レベルもあれば、道中での狩りは可能だ。自分のレベル以下の魔物を狩るなんて、効率が悪いにも程があるからな。それくらいの格上なら狙っていくべきだろう。まあ、ボスは厳しいとは思うけどな? ある程度のスキルツリーを確保していないと、回復も間に合わないだろうし。ただ、だからと言って挑戦しないのはもっと勿体ない。人数を増やしてでも対処した方が得だ。推奨レベル100は、あくまでも4人から6人パーティーで向かった場合なんだからな。それなら20人くらいで向かっても良いだろうに。そのくらいのリスクはとらないと、強くはなれないんだよ。




