果物の楽園
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「それじゃあ、今日からは果物の楽園に行くからな。推奨レベルは110。これでメリアのスキルブックが揃う事になる。ノーデンは後回しだ。ノーデンの方が推奨レベルが高いからな。俺が一番後だったんだが、……裏の店で揃ったからな。ちゃんと揃えるから心配はしなくてもいい」
「それは心配してないよ。でも、果物の楽園って、ちょっと可笑しな名前だよね。その割に推奨レベルが高い気がするけど」
「本当ですよ。美味しそうな名前なのに、レベルは全然可愛くないですよね」
「ですが、ノーデンさんのスキルを先に1つでも揃えた方がよかったのではないですか?」
「いや、メリアのスキルブックを入手した方が安定する。それだけメリアには負担がかかることになるんだが、問題ないか?」
「それは問題ありませんよ。ですが、アタッカーを充実させた方がよかったのではないかと思っただけですので」
「一理あるが、それでもヒーラーが安定した方が戦いやすいからな。だが、意見はどんどんと言ってくれた方が良い。俺だって間違える事はあるんだからな」
「……本当に間違えるんですかね?」
「さあ? 本人が間違えるかもって言っているんだから、間違える事もあるんじゃないかな」
「知識では完敗していますからね。知らない事がないのではないでしょうか?」
「流石に知らない事は多くあると思うぞ。特に高レベルの夢幻の世界から得られるスキルブックや、ドロップアイテムには詳しくない。流石にそこまでは調べる事が出来なかった」
「それは、誰も知らないのではありませんか?」
「だよね。そんなことを知っているのは貴族以外に居ないんじゃない?」
「でも、貴族も知らないかもしれませんよ。今のアタッカーが流行しているのって貴族のせいなんですよね? なら、知らなくてもおかしくないんじゃないですか?」
貴族だって知らない可能性はあるよな。それは十分にあり得る。だって、高レベルの冒険者がそもそも少ないとは思うし。ちゃんとレベリングをしているのであれば、問題にはならないんだろうが、レベル上げだって、知らない夢幻の世界でやらないといけないとなると、難易度が高くなる。特にタンクは困ることになるからな。格上との戦いってだけでもかなり厳しい。その位には警戒するべきことではあるんだよ。
俺だってゲームでやっていなければ、こんなことは出来なかったはずだ。むしろマリアナがよくついてきてくれているなって感じがする。魔法で何とかする2人とは違って、近接主体になるマリアナは、かなり緊張するとは思うんだよ。絶対にヘイトは渡さないって自信はあるが、範囲攻撃だってしてくる可能性があるんだからな。まあ、それは夢幻の世界が高レベル帯になってきてからの話ではあるんだけど。
『果物の楽園:推奨レベル110』
さて、ここからはいつも通りだ。雑魚を相手にどれだけ戦えるのか。何処までやり合えるのか。そこから調査をしないといけない。そして、狙う敵は林檎の天使だ。……バカみたいな名前ではあるんだが、これでもレベルは90クラス。俺たちよりも十分に強いんだよ。ボスほどでは無いけどな。
「林檎の天使を見つけ次第、ソーンバインドで拘束。速攻で倒す。出来る限り素早く倒して目的を達成する。そうしたら、後はノーデンのスキルブックだけになるからな。後2つと考えると、かなり気分的には楽になる」
「了解したよ。出来る限りの事はしてみせる」
「速攻で倒せばいいんですね。解りました」
「よし。それじゃあ行くぞ」
そんな訳で、雑魚敵を倒し始めたんだが、……知らない魔物も出てきていた。これは、あれだな。進化しているな。
「……やっぱりおかしい。知らない魔物が多すぎる。これは第3段階までいっているな」
「そんな感じがしてましたけど、やっぱりですか?」
「ああ、知らない魔物が多い。対処は出来ているから問題にはならないが、何か致命的な事が起きていないと良いんだが。ここは第3段階までいってしまっている。そうなると、他の夢幻の世界も気になってくるな」
「今は冒険者ギルドが調査をしているんだよね? その結果が出てくるのを待つ感じかな?」
「そうならざるを得ないのではないですか? こちらで全てを調査する訳にはいかないでしょうし……」
「本来であれば、貴族が放置しておくなんて事はありえないんだがな。何を考えているんだか知らないが、ここまで放置するなんてありえない事なんだよ」
あり得ない事が起きている。それはこっちでも把握した。……ボスは2回進化しているはずだ。それは俺の知らないボスだ。何をしてくるのかが解らない。1回目の進化なら、まだ何体かは経験があるんだが、2回目の進化については全く知らないと言っても過言ではない。その前に貴族が討伐してしまうからな。
ただ、3回目の進化の経験はあるんだよな。そっちはイベントで、運営が意図的に起こしたものだ。イベントで戦うボスだから、ある程度の強さはあったが、人数が居れば、何とかなる程度のボスではあったんだよ。本当のスタンピードは経験がない。しかもこれは現実だ。一筋縄ではいかないだろう。
「ただ、林檎の天使も進化しているだろうから、スキルブックのドロップ確率も上がっているはずだ。ちょうど狙い目ではある。ボスも何とか討伐してしまうとするか。放置していても駄目だからな。最悪は全部俺たちが処分しないといけなくなるかもしれない」
「それだけ依頼があれば良いですけどね。夢幻の世界を得意としている冒険者って居ないんですよね?」
「いないはずだよ? アタッカーパーティーが殆んどなんでしょ? それなら僕らだけで倒さないといけないんじゃないかい?」
「そうなると、困ることになりますね。スキルブックの収集が難しくなってしまいます」
「それはそうだな。こっちにも戦うべき理由があるんだから、それを考慮してくれとは思うんだが……。かといって放置も出来ない。八方塞がりになるだろうな」
夢幻の世界を攻略するだけでも、かなり神経を使う。しかも未知の進化個体を相手にしないといけない。神経は磨り減るだろうし、疲労は雑魚敵の比じゃない。だから、俺たちだって、夢幻の世界を攻略したら、日にちを開けて挑戦するんだしな。死なない事を優先にするのであれば、これからも神経をかなり擦り減らすことになる。そんなことをやっていてばかりでは、流石に疲れてしまう。
ただ、Sランク冒険者になるって事は、そういう事でもあるからな。ある程度は挑戦しないといけない。かといって、使い潰されるのも嫌だ。しかしだ。第4段階になっているのを放置して、別の町に行くほど、俺たちも人の心が無い訳では無い。解決してしまいたいという思いはあるんだよ。……面倒だと思うのは仕方が無いにしてもだ。
「やらないといけないのは仕方がない。指名依頼を出してもらえるのであれば、請けても良いとは思う。ただ、その時には特例でCランク冒険者にはしてもらわないと割に合わない。ただでさえ進化個体を倒すことになるんだ。推奨レベル以上の成果を出したとして、報酬も確約してくれないといけないとは思うが」
「それはそうですよね。ただでさえ、夢幻の世界での戦いは疲れるんですし」
「それでも割に合わないとは思うけどね。特例というのであれば、Bランク冒険者にはしてもらわないと。……無理なのかもしれないけどね」
「吹っ掛けるのはありなんじゃないですかね? 交渉とは、そういうものですよ?」
そうだな。報酬の上乗せというか、Bランク冒険者にしてもらえるのであれば、色々と助かる。レベルも上がるだろうし、その位は出来るとは思うからな。レベルが上がることはデメリットもあるんだけどな。称号を狙っていくのであれば、レベルは低い方が良いんだ。ただ、必要なら戦う覚悟はあるんだよ。




