ギルドマスターとお話
OFUSE始めました。
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そんな訳で翌日。昨日は良いものを食べて休んだ。キャンプの後だからな。良いものを食べないといけない。それにお金を持っているんだから使わないとな。無駄に貯め込んでも仕方がない。ちゃんとお金は使わないといけない訳だよ。
ギルドに来ると、すぐさまギルドマスターの元へと連れていかれた。急げとばかりに連れていかれた。まあ、そこまで焦る事でも無いとは思うんだがな。夢幻の世界のボスが進化していた。それだけの話である。むしろ放置して、ボスドロップを狙っていたのであれば、申し訳ないくらいなんだよ。
「失礼します! 昨日の冒険者を連れてきました!」
「入れ」
「失礼します。では、後はお願いします」
「よく来てくれた。クレイデルムのギルドマスター、クラークだ。昨日の今日で悪いが、色々と話を聞かせてもらいたいと思っていてな」
「パーティー代表のアーデルムだ。こっちからマリアナ、ノーデン、メリアになる」
「長い話になるかもしれん。まあ、座ってくれ」
そう促されて座る。……長い話になるのか。それはそれで面倒だな。簡単な聞き取り調査だけじゃないのか? どんなパーティー編成で、どんなスキルがあるのか。それさえ解れば、ある程度はどうにでもなるとは思うんだが。
「まあ、とりあえずこっちが聞いているのは、推奨レベル100の夢幻の世界である、崩落した神殿を、冒険者パーティーがボスを撃破したって聞いた。しかも、ボスは1回進化していた。それであっているか?」
「ああ、あっている。だから、推奨レベル的には+50されたくらいの難易度だろうという事を受付で言ったら否定された訳だ。その辺の情報は特に無いからな」
「……進化していたって気が付いたんだよな? 何で挑んだ?」
「進化していたのは、明らかにHPとMPがおかしかったからだな。道中で進化した雑魚が居なかったことで、進化したのは1回だろうというのは考えていた。まあ、その位であれば、パーティーの育ち具合によっては攻略できるだろう? それなりのスキル構成をしていれば、無茶な事ではないと判断できる。その程度の判断が出来なければ、死ぬだけだろう?」
「……装備からして、普通のパーティーじゃないのは解っていたが、どんな編成だ? この町の冒険者たちの編成を知っているんだろう? それとは別物だとは判断したが」
「編成はタンク、サポーター、バッファー、ヒーラーだ。そこまで可笑しな編成ではないと思うが……。というかだな。ここの冒険者の編成がおかしいんだ。アタッカーを入れ過ぎだし、タンクもヒーラーも居ないパーティーなんて、死んでくれと言っている様なものだからな。馬鹿じゃなければ、バランスよくパーティーを整える。それが普通だ。優良職なんて、そこまで居ないんだから、理想的なパーティーなんて組めるわけがない。だが、アタッカーだけで組むほど馬鹿な事は無いぞ。火力がどれだけあっても、攻撃が当たったら終わりだなんてありえないからな」
「……アタッカーが1人も居ないのか。それでよく勝てるな」
「というか、バランスよくパーティーを組ませるのが冒険者ギルドの仕事なんじゃないのか? ギルドマスターが職務怠慢では困るんだが?」
「パーティーには口出しできねえのよ。そう決まっているんだ。……ロンドウェル子爵家からな」
「ん? 貴族家が口を出してくるのは解るが、何故にアタッカー偏重にさせるんだ? 普通ならタンクも欲しいだろうし、ヒーラーなんて必要ないはずないじゃないか」
「そう思うのも納得が出来るんだが、ロンドウェル子爵家が欲しいのは、アタッカーなんだよ。今の貴族家の主流がそうなんだ。どれだけHPがあっても、最高の攻撃を叩き込めば、撃破できるだろうってな。俺としては、バランスよく育てた方が、最終的には強くなるとは思うんだぞ? ただ、それじゃあ駄目らしい。兵士として使うのであれば、アタッカーが必要なんだそうだ。大方、戦争の事でも考えているんだろうとは思うぞ。戦争があった時は、冒険者ギルドに所属している冒険者を徴兵できるからな」
「タンクやヒーラーはそもそも兵士がやれば良いと思っているのか……。ただ、それだけじゃあ問題が出てくるだろう? 他の冒険者はどうしているんだ?」
「アタッカー抜きのバランス型パーティーを組ませている。……干渉できるのはそこまでだ。有望そうな奴らを集めて、同じパーティーを組ませて、最低でもEランク冒険者には育てたいとは思っているんだがな。そもそもアタッカーが居なければ、Dランク冒険者には、中々なれない。違うか?」
「いや、違わない。最終的にはアタッカーが必要になってくる。こっちもタンク、サポーター、バッファーがアタッカーも兼任しているからな。その内、ヒーラーも戦闘に参加するようにはなってくるが。それでも、本職ほどは火力が出ない。だからバッファーを採用している。別の思惑も無い訳では無いが」
そもそもヒーラーを聖女に出来た時点で、俺の行動方針が決まったし、豪運持ちが転がり込んできたから、緑魔導士を採用することになった。アタッカー運用をするのであれば、クリティカル型になるし、そうなってくると、緑魔導士と相性がいい。フォーマンセルも狙っていきたかったことを考えると、4人行動をする必要があった。こうなるべくして決まった形になる。
その辺の知識はばっちりなんだよな。勿論だが、世界がアップデートされたらどうなるか解らない。今よりも強い編成があるかもしれないし、新しいスキルブックが手に入るかもしれない。その辺は考えないといけないとは思うが、今のベストメンバーはこれなんだよな。
「それでだ。良ければお前たちのパーティーを参考にさせて欲しい。夢幻の世界を攻略できるDランク冒険者は珍しいんだ。最近はアタッカーが主軸になっているおかげで、夢幻の世界を碌に攻略できていない。元気があるのは良い事ではあるんだが、探索だけでボスに挑む奴らは殆どいなくなってしまっている。公開できる範囲で構わん。秘密は多くあるとは思う。冒険者にとってそれは武器になるからな。だから、すべてを教えろとは言わん。出来る範囲で公開をして欲しい」
「……夢幻の世界は子爵家が管理している訳では無いんだな?」
「管理しているが、夢幻の世界は多くある。クレイデルムだけで80近くの夢幻の世界があるんだ。全ては管理できていないはずだ。しかも、貴族家もアタッカーを重要視している。とてもじゃないが夢幻の世界を攻略できるとは思えない」
「……夢幻の世界を放置しすぎれば、どうなるのかは解っているんだよな?」
「スタンピードが起きるんだろう? 今回の事を早めに知れたのは大きい。昨日にはすべての夢幻の世界の確認に向かっている。……出来れば、魔物が出てきているって事は避けて欲しいが、そうもいっていられない可能性があるからな。出てきていた場合は、冒険者ギルドからレイドの提案をさせてもらう。それに参加をしてくれるかは自由なんだが、出来れば参加をして欲しいとは思う」
「解った。それには参加をする。ただ、用がある夢幻の世界もあるんだ。出来ればスキルブックが欲しい。その時はどうしたらいい?」
「スキルブックか……。ロンドウェル子爵家が全て買い上げているからな。ただ、レイドの報酬として、冒険者に分配することはありになっている。運が絡むが、それでも良ければスキルブックは渡そう。それで良いか?」
「解った。それと、こちらのパーティーの公開については、俺はスキルツリーまで公開しても構わない。その他は個人との交渉になる」
「あ、あたしは職業だけでいいですかね?」
「僕はスキルツリーも見ていいけど、見ても何も解らないとは思うよ?」
「私は職業だけにしておきましょうか。その方が良いと思いますので」
そうか。まあ、それならそれで良いんだけどな。豪運を知られたくないってのは、解らないでもないし。メリアは、正直どっちでも良いんだけどな。ノーデンはまだ公開しても意味が無いし。するみたいではあるけどな。それはどっちでも構わないから。




