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無薬  作者: あ行
4/14

4風邪藥

「無薬様、患者を見てください。」

 雑用が慌ててこちらに来る。

「……。」

「ちょっと!無視しないでください。もちろん、無薬様がお医者様では無いことは、充分承知の上でございます。しかし!今日は旅館のお医者様が不在なのです。」

 急に声を荒げてくるなこいつ。

「長にも無薬に頼んどけ……と言われておりまして。あと、無薬が承諾すれば休暇を与えよう、とも言われています。」

「……場所は。」

 机に手を当て立ち上がる。無薬の袖が垂れる。

「ご案内いたします。」

――――――――――

「ゴホッ…ゴホッ。」

 たたみ六畳の部屋にポツンと一人、布団にうずくまっている奴がいた。

「なんだ……お前、ゴホッ、」

「こら、偽善。無薬様の前でそんな態度を。目上の方ですよ?」

 雑用がこちらを見る。

「ん?あぁ、私どもは雑用ではございません。接客です。無薬さんのご存じの通り、この旅館では、雑用、接客、その次に料理・無薬さん、そして一番上が長です。」

 指折り数えて説明した。

「……。顔を見せろ。」

 無薬が偽善の顔を診る。医者なんてやったことないのに。

「無視されてしまいました。」

 窓から光が差し込む。偽善の鼻筋がよく分かる。髪が反射で白く光る。

「……何をしている。目を開けろ。」

 偽善は目を瞑って上を向いていた。

「ぷっはは。ほんと偽善は赤子のように可愛いですね。」

「うるせぇ!」

 急に大声を出す。身体が跳ね上がる。

「……。」

 無薬は外へ向かう。

「あーあ。お怒りになられましたね。まだ藥も貰っていないのに……。」

(わたくし)は悪く無い!……ごほっ、」

「そんなに声を荒げてはまた悪化しますよ。おや、」

 フッと笑った。

「よかったですね。偽善。」

 布団に何か置かれている。布越しで重さが伝わる。

「藥だ……。」

――――――――――

 どいつもこいつも呑気過ぎる。あぁ、どうすればあいつを……!あい……

 身体が軽くなる。

 ばたっ

偽善→口悪

接客→敬語

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