第四戦【夜の商店街】
ラルとアルファはビィに連れられ街の中心部である商店街を歩いていた
「あの。。。ビィさん−」
「ビィでいい。」
「あ・・・ビィ、なんでこんな夜中にあんな人気のないトコ走ってたんだ?」
ビィはラルの問いにまた目を蛇のように鋭くして睨みつけた
「聞きたい・・・?」
不気味な笑みを浮かべラルを見下しながらビィは言った。
正直「聞きたい」と素直に言えない。とてつもなく怖い
「いや・・・やっぱいいです。」
ラルもそうだった。
ビィはふと八百屋の前で立ち止まった
そして閉まったシャッターに穴を開ける気かというくらい蹴りに殴り叫んだ
「ハゲェェェェェェェ!!客だァァァァァ!!開けろやァ!!お客様に迷惑だァァァァ!」
「お前ェが一番迷惑なんだよ!!あと俺はハゲてねェ!!」
シャッターの横のドアが勢いよく開き男が歯を磨きながら登場した。
「コイツはアタシの親、とか言ってるけど実際は全く関係ないただの他人なんだけど。無駄に野菜が好きで、好きすぎて食べる方じゃなく売る方の職業になったハゲてはないけどなんか将来ハゲそうだからハゲってよんでるハリス。」
「おい・・99%悪口じゃねェか。。。」
ハリスは頭をかきながらビィが殴る蹴るでボコボコになったシャッターを開けた。
そのシャッター音と共に商店街の一部一部に明かりがつき、次々とシャッターが開けられていった
「よォハリス!!ビィ!!もう開店の時間かい?」
ハリスの店の向かいの薬屋もシャッターを開け、中から若いとは言えないが、40過ぎの男がやってきた
「よォルーちゃん!!」
「よォビィ嬢。今日も一日頑張ろうぜー!!・・・で、ソコの若いの二人は?」
男はラルとアルファに目を向けた
「・・・俺は−」
「コイツはラル。で、このチビがアルファ。」
ビィはとっさにラルの言葉をかき消した
そしてアルファをけなせたのが満足かのようにアルファに微笑みかけた
「ほう、アンタらが噂のね〜・・・俺は薬屋のルゥ・ドロップ。ルーさんでいいぜ」
そんな会話をしている間に商店街は全てシャッターを開け、にぎやかそうに声を張り上げていた
「この街じゃあ朝も夜もずっとこんなんだからな、ビィ嬢の怒鳴り声がめざまし代わりなんだよ」
「この街はアタシの声で始まってアタシの声で終わんの。だからアタシがこの街のトップなんだよー。」
ビィは自慢げに自分を指差した
「あの、、、すいませーん」
ラル達の後ろで声がした
振り返るとそこには赤髪の長髪をなびかせ、チェック柄のバンダナを付けた男が薬屋に話しかけていた
「おぅ、なんか用か?」
ルゥは振り返り男に話しかけた
「サソリの毒を探してるんですが。。。」
「サソリの毒?ここは薬屋だぜ?毒は売ってないねェ・・・」
ルゥは頭をボリボリとかいた
「そうですか・・・ありがとうございまし・・・・?」
男はラルに目を止めた。
しばらくラルを見つめると、何か思い出したかのように近寄った
「アンタ、ラル坊じゃね?俺!!覚えてないか?」
男は自分に指をさして必死に訴えた。
残念ながらラルはこの男に全く見覚えがない。
「あり?忘れちゃった?俺だってスコー・・・・ん?」
男は次にビィに目を止めた。
「アンタ・・・俺と会ったことあるか・・・?」
「さァ?アンタ誰?つか。。。アンタ街じゃ見ない顔だね。。どこのモン?」
ビィは腕を組んで男に睨みかけた
「あ。。俺はただの旅人、ちょっと食料を買いにね。」
「サソリの毒が食料か?ずいぶん変わった人だねェ」
「まァまァ。。そこは企業秘密ってトコよ、じゃあな、ラル坊。」
男はそう言うと、焦り気に暗闇に消えていった
「・・・・変わった野郎だな。。。普通この町に入ったらビックリしちまうぞ?」
ハリスはふと呟いた。
「それは街の外が朝とか昼の時の話でしょ?今は外の世界も夜なんだろ、きっと」
ビィは組んでいた腕を解いて一息ついた
「・・・ちょっと来い、ラル、アルファ。」
ビィはラルとアルファに言うとハリスの店の中へ入っていった
「お・・・おぅ」
ラルは続いて店の中に入っていった。アルファも。
ビィ、ラル、アルファは二階に居た。
ビィは部屋の窓を全て閉めて、密室空間を作った。
「ラル。。アンタに頼みがある。。。」
ビィの顔が真剣になった。
「なんだ・・?」
「この街を出てくれ。。」