表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
砂時計  作者: 夜桜 刹那
4/5

第三戦【進まぬ町】




真昼の太陽がラル達を強く照らしていた。。

「腹減ったッス〜。。。ラル様ァ〜飯はまだッスか〜?」

アルファは目を細め眉を〔ハ〕の字にしながら言った。

「さっきからキュルキュルキュルキュルうるせェんだよ・・・着いたぞ」

ラルはふと足を止めた。。

前には空が見えないほど大きな門が開いたままラルとアルファを見下ろしていた

門の左右には門の高さと同じようにキレイつまれたレンガが見えなくなるほど遠くまで並んでいた

おかしな事に門の先は夜中のように真っ暗で外灯のあかりが町を照らしていた

アルファは怖くなりふとラルのコートをつかんだ。

「ここの街の名はペンタクル、別名・・・進まぬ街」

「進まぬ街・・・ッスか?」

「外はこんなに明るいのに門の中だけ夜みてェに真っ暗だろ・・?ここはな。。。ずっと夜なんだ・・いつになっても陽が昇らねェ」

「怖いッスね・・・」

ラルはふとコートを脱ぎゆっくり門の中に腕ごと差し出した

「・・・・やっぱりだ。。。」

ラルはつぶやいた。

「どうしたんスか・・・?」

ラルは門の中でコートを両手で広げた

「見ろ。。。ウィンザーにくらったクナイの傷が消えてる。。。」

そのコートは確かにさっきウィンザーにボロボロにされた傷が無くなっていた

「完全に傷が直ってないトコを見ると。。ここ・・・2年前から時間が止まってるな・・・」

「どういう事ッスか・・・?」

「この街に『Black Moon』幹部がいて2年前から能力でこの街の時間を止めてる。。」

ラルはコートを戻し、着た

「幹部ッスか!?」

「こんな能力使えんのは幹部か黒月しか居ねェ。。黒月が本部以外の場所に居る訳ねェしな。。」

ラルは一息つくとアルファの腕を掴み門の中へ入った



ラルの言った通り門の中は夜だった、さっきまで見ていた青空も星が輝く夜空に変わっていた。

「ラル様。。。一つ聞いてもいいっスか・・・?」

「なんだ?」

「ジマンジュさんの時も、今も、なんでそんな『Black Moon』の事に詳しいんスか?」

ラルは急に立ち止まった。そして無表情で呟いた

「俺の親父がな・・・砂時計に詳しくてな。その内に『Black Moon』の事もよく教えてもらってたんだよ・・・」

ラルの顔はさっきと明らかに違っていた。まるで思い出したくない怒りの記憶が蘇ったかのように。。

「いいお父さんじゃないスか。一度会ってみたいッス」

「・・・・・」

ラルは黙っていた。

「ラル様・・・?あっ!!もしかしてお父さんもう亡くなって―」

「生きてんだよ!!」

アルファの言葉を消すようにラルは怒鳴った。

「俺の親父は病弱なお袋を残して、黒月のトコで幹部としてノコノコと生きてやがんだよ!!」

ラルは下を向いたまま悔しそうに拳を握り締めた

冷たい風が二人の間を通った。

「なんか、、すいませんッス・・」

アルファは申し訳なさそうに頭を下げた

「いいんだよ。。お前にもいつか言わなきゃいけねェ事だ・・」

ラルは涙目のままアルファに微笑みかけた。

そのとき。。。

―タッタッタッタッ

薄暗い道の奥から足音が聞こえてきた。

足音はじょじょに近くなっていき黒い物影とともにラル達に近づいてきた

「アルファ、下がってろ、」

ラルは足の一部を砂に変え辺りに散りばめた

「今だ!!」

ラルはそういうと砂を固め物影の前に小さな砂山を作った

「うあっ!?」

物影はそう言いながら砂につまずき地面に落ちた

物影の正体が外灯の光で映し出される

「女!?」

ラルとアルファは声を合わせて驚いた

そう、物影は女の人間だったのだ。

ショートヘアーの黒髪、真っ赤で蛇のように鋭い目、大人の女性といったイメージの女だった

「何すんのよクソガキ!!」

女は鋭い目をラルに向けた

「いや、こんな夜中に走ってくるもんだからてっきり敵かと。。。」

ラルは女と目を合わせないでおこうと必死だった

「っざけんじゃないわよ!!アンタちょっと面かしな!!そこのゴスロリ女も!!」

「ゴスロリじゃないっス!!メイド服っス!」

「語尾に【〜っス】つけるメイドが居るかっつの!!絶対ツンデレ、ヤンデレ狙いだろテメェ!!」

というようなアルファと女の口論はしばらく続き、ようやく一段落付いた所で女がラルに視線を変えた

「男!!名前ェは!?」

「ラルフォード・スコットスミス・・・」

ラルは女に慣れることはないようだ

ラルの名前を聞いた女は少し口元が笑った気がしたがラルは特に気に止めなかった

「アンタがラル様ねェ・・・意外とチビなんだね。。。アタシは20過ぎの男だと思ってたよ」

女は煙管をふかしながら今度はアルファに目を向けた

「ソコのゴス女は?」

「アルファっス・・・」

アルファは不機嫌そうに呟いた

「ラルにアルファね。。。アタシはビィ。本名は覚えにくいからビィでいいよ。」

ようやくビィの目が優しくなった

ラルが安心そうに一息つくと、ビィはふと口を開けた

「じゃあさっきのこかしたときに折った骨の治療費+服の弁償金。」

ビィはニコリと笑ってラルに手を広げ差し出した

ラルは思い切り息を吸ってビィに答えた

「お前ェは当たり屋かァァァァァァァァァァァァ!!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ