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砂時計  作者: 夜桜 刹那
2/5

第一戦【砂の寿命】



― カーカァー,,

とある村の小さな港に小さな船がたどり着いた。

船に乗っているのは若い少年と少女だった。

少女がそっと船から降り、少年も続いて船から降りた

すると、さっき少年達が乗っていた船は、少年が降りたとたん、サァー。。と砂になって海の底へと沈んでいってしまった。

「おい、お前。何者だ!」

この港の関係者だろうか、男が一人少年に話しかけた

「ジィさんよォ、俺ァアンタらの見方だぜ?別に悪い奴じゃねェって」

少年はニコリと笑いながら答えた

「信用できん!!名を名乗れ!」

「ちょッ、唾飛んでるってッ、、、俺はラルフォード・スコットスミス。皆からはラルって呼ばれてんだけど。知ってる?」

少年の名はラル、男はその名を聞いた瞬間、腰を抜かして地面に落ちてしまった

「ラ・・・ラルだと!?」

「おッ!? おっちゃん大丈夫か!?そんな驚く事ァ無ェだろ」

ラルは男にそっと手を差し伸べた、

男がラルの手をじっと見つめているだけだった

―グイッッ

ラルの横にいた少女がラルの服を引っ張って港から走って行ってしまった。

男はラルの姿が消えるまでずっと目で追っているだけだった。



「あ〜っッ、アルファ!!服伸びたじゃんかよォ」

ラル達は港近くの商店街にいた

「ラル様がグズグズしてるからっス!」

少女はアルファ、ラルを様付けで呼んでいるのを見るとラルの部下なのか。。

「もォ〜、コレ買ったばっかなんだぞォ!」

「どうせ安モンなんスから、いいじゃないスか。。」

「あ〜っッ、それ言うなよ〜っッ!!」

アルファはそんなラルの言葉を無視し辺りを見渡している

「ん?どうしたアル―」

アルファは人差し指をラルの唇に“シーッ”とするように近づけた

商店街という事もあり周りから色々な声が聞こえる

ラルは耳を働かせた。

『あのラル様がこの村に来たんだってさァ』

『ラル様がこの村を救いに来たんだって』

ラルの顔はニヤけていった

「俺・・・超人気モンじゃん」

「ラル様」

アルファは商店街をひたすら堂々と歩く5〜6人の集団に目を向けた

集団の真ん中にいる男はその集団のトップのようだ

「野郎か。」

ラルの顔が真剣になった

男が歩くたび商店街の人々の顔から笑顔が消え皆、男に一礼する

「ほぅ、隊長のくせして随分お偉いさん気取りじゃねェか」

ラルはクッと鼻で笑った

男はとある駄菓子屋に足を止めた。

人々はざわつき始めた。

すると駄菓子屋の奥から一人の年老いた老人がよろよろとやってきた

「あのジィさんが村長ってトコか」

ラルとアルファは物陰から様子を伺っていた

男は老人に何か話しかけていた

「・・・ここからじゃ聞こえねェな」

ラルは物陰を伝いながら男に近づいた

「約束の日です。ジマンジュさん」

男はそう言って村長と思われる駄菓子屋の主人ジマンジュの前に手を出した

人々は心配そうにジマンジュを見つめていた

「こ、これで最後にしていただけませんか?」

ジマンジュはそっとポケットから砂の入った小さな袋を取り出した

「それはできませんね、では」

男はジマンジュの出した袋を無理矢理奪い取ると

足を使ってクルっと180度回転すると袋をお手玉のように投げながら歩き出した

「ちょ〜っと待てよ、おっさん」

ラルは人ごみを分け男の前に立った、もちろんアルファも一緒に

「見ない顔ですね、誰です?」

「見ない顔?村の人達の顔なんて見たくもねェくせによく言うぜ。」

ラルはそっと腰の刀に手をかけた

「額の『α』の傷、貴方、ラルフォード・スコットスミスですね」

男の周りにいた男達はラルの名前を聞いた瞬間皆刀を握った

周りが再びざわつきはじめた

「おっッ、やっぱ俺有名人じゃん、おっさんの名前は?」

「名前を聞く相手におっさんは少し失礼ではないですか?」

「ウィンザー様」

後ろにいた男たちの一人が男の耳元で何か呟いた

「そうか、ラルフォード君、すいませんね、上からの連絡がきたみたいなので、今回はここまでです」

男はそう言うとラルたちを避けてフっと消えた

「あっ!ちょっッ!待っ!!」

ラルが振り返った時にはもう遅かった、そこには誰も居なかった

「ラル・・・様?」

ジマンジュがそっとラルに呟いた

「おっ!ジィさん、無事だったか?」

「本物ですか・・・?」

「偽者な訳ねェでしょうが。」

ラルがそう言った瞬間、あたりがザーっと盛り上がった

「わ、私達の村を・・・助けていただけるんですか?」

ジマンジュは興奮と感動が混じった声でラルにたずねた

「おぅよ!」

あたりが更に盛り上がった

「・・・と、村救う前にちょっと説明だけしたいんすけど」

ラルは頭をボリボリと掻いた

「は・・・はいっッ、ならウチの店へどうぞ」

ジマンジュは駄菓子屋を指差した

「おっ、じゃあおじゃましま〜す」

ラルはそっと駄菓子屋の奥へと入っていった

アルファは店の前で駄菓子を珍しそうに眺めていた

「どうぞ好きなだけ食べてくださいね」

ジマンジュはアルファに笑顔で言った

「マジっスか!?」

アルファは目を輝かせながら目に入った駄菓子を全てかごに入れ食べ始めた

「・・・じゃあ、説明しますね、ややこしいんで聞き逃さないようにお願いします」

ジマンジュはグッと喉を鳴らした

「500年前の『BLack Moon』の話、一度は聞いたことがあると思います

 『Black Moon』の構成は上から総幹部、幹部、隊長、隊員です。

総幹部はお馴染みの『黒月』です、

幹部は全員で7人、今は5人らしいですが、

隊長は全部で50番隊まであり、隊員の数はその何万倍です

さっきの男は首元の傷からすると32番隊隊長のウ・・・ウィンナーだっけ?」

「ウィンザーっス」

アルファはチョコレートが付いた口でそう答えた

「そう!ウィンザー!

で、まず、この村もそうですが、『Black Moon』の支配陣地ではない国や島には必ず隊長か隊員がいるんです、

そして、その国や島の人々から砂時計の砂、つまり寿命を奪って幹部や総幹部に送っているんです。

ま、俺が話せるのはここまです。」

ラルはそっと足を組みなおしあぐらをかいた。

「それで、ラル様は一体何をしに?」

ジマンジュはラルにたずねた

「俺は、『Black Moon』を潰すために奴らの支配陣地外の国や島に行って隊長や隊員をやっつけてんすよ」

ラルはそう言って立ち上がった

「アルファ〜、出るぞ〜、じゃ、ジィさん」

ラルはポケットから札束を取り出しそっと置いた

「コイツの駄菓子代、置いとくぜ〜」

アルファは口に付いたチョコを見つからないようにラルの服でふき取るとラルと共に駄菓子屋を出た

ジマンジュはラルとアルファの姿が消えるまでじっと見ていた

「あァ〜!!アルファ!!チョコレート付けたろ!!」

ラルは遠くでそう言ってアルファの頭を叩いた

パァンッといういい音があたり一面に響いた



「ここか・・・」

ラルとアルファはある大きな城の前で足を止めた

アルファの頭には大きなタンコブがあり、アルファは涙目で保冷剤を頭に付けていた

城の前には大きな門があり、門番がラルたちを睨み付けている

「なァ、通してくんね?」

ラルは馴れ馴れしく門番に話しかけた

「断る。」

「そう、じゃあ力づくでとおってやらァ」

ドンッ 嫌な音と共に門番が倒れた

「ラル様!?」

「大丈〜夫。これ麻酔銃だから」

「何奴!!」

さっきの音を聞いた隊員たちがぞろぞろとやってきて、ラル達を取り囲んだ

「な〜なァ?ここって『Black Moon』の本部?」

「そうだ! ・・・もしや貴様ラルフ―」

ドンッ ドンッ ドンッ ラルは隊員一人一人正確に麻酔銃を撃ちはなった

「私の部下を随分と遊んでくれましたね・・・」

ラルが振り返るとそこには『Black Moon』32番隊隊長ウィンザーが立っていた


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