アバター作成
偶に急展開、意外とゆっくりストーリーが進んで行きます。
それではどうぞ。
『ようこそ!新たなる異次元からの放浪者様!ここは『ファスクロ』のログインロビー。
ここでプレイヤーアバターを作成し、チュートリアルを行います。』
VRログイン特有の意識がふわっとする感覚を味わい、無事にゲームにログインできたことを確認する。
今目の前にいる、手のひらサイズの一般的に小人と呼ばれる存在の指示に従い、アバターを作成していく。
『先ずはアバター作成から!こちらのメニューから作成しましょう!』
容姿、名前、種族、職業、ステータス、初期装備……。
ウインドウに表示されている項目から、順番にやっていく。
そこまで変える必要性を感じられないので、容姿はリアルと、多分別人……?と違和感を覚える程度に目と髪の色を多少いじる。
髪色は黒に先の方を金色に変え、目をオレンジが強めの琥珀色に。
名前は他ゲーと統一させるタイプなので、いつも使っている『ルナライト』に決定。
因みにこのネームは、名前の神月光から→月光→月と光となり、それを英語にしたものだ。
「……流石、初期からここまで色々選べるのか」
ここまではサクサクと進んでいたが、ここで少し時間が掛かりそうだ。
種族と職業が何十種類も並んでおり、項目の一番上から最後までスクロールするだけで三分はかかった。
俺は職業と種族はじっくり選ぶタイプなので、ここで数十分は時間を取られるだろう。
速くゲームを進めたいがここはしょうがないと割り切り、ゆっくり選ぶ。
「人間…エルフ…ドワーフ……魚面人族?なんじゃそりゃ。
魔族…獣人……――お!」
いまいち心に響かないなか、下の方にスクロールしていくとピンっ!と心が感じる良さそうな種族を見つける。
「¨心魔族¨……あらゆるモノと心を通わせる事が出来る。心を消費して色んな事が出来る。
他と比べて圧倒的に撃たれ弱いが、スキルに多少の補正が掛かる。……これだな。」
¨心¨と言う、ステータス項目の追加。これは、魔力の代わりにもなると考える。
心を消費して色々な事が出来る、つまりは汎用性がかなり高いと見た。
それと、心を通わせる事が出来る……NPC、従魔や召喚獣と言った仲間になる者達と仲良くなりやすいのでは?その二つの考えと胸の直感も合わさり、俺はこの種族に決定する。
次に職業なのだが、これは種族を決めた時点で召喚士と従魔使いの二つに候補を絞っている。
それぞれに決定的な違いは無いが、召喚士が前衛より、従魔使いが後衛よりと言ったところか。
共通でINTに上昇補正。VITに下降補正が掛かる。そこから召喚士はSTR、従魔使いはDEXに補正が掛かる。
そう書いてある説明テキストと俺自身が割と動ける事も考え、職業は従魔使いに決め装備選びに移る。
「成る程、凄い数だ」
どうやらこのゲームは職業や種族関係なく全ての武具を装備することが出来る様だ。
武器はオーソドックスな長剣からマイナーそうな蛇腹剣など幅広く、防具も剣士の革鎧から、鎌使いのボロ布まで。合わせてかなりの種類が存在した。
「ほほう?心魔族専用装備¨心魔陣¨か。」
スクロールをしていくと、最後の項目に良い感じの装備を見つける。
心魔族専用装備¨心魔陣¨
体に専用魔法陣を描き、そこから心を消費して色々な装備を実体化させる。
実体化可能装備は登録したもののみ。登録方法はその装備の鑑定と手のひらの陣を当てる事。
この装備はスキル扱いになる為、心魔陣の上から普通に武具を装備する事も可能。
こう見るだけだとかなり強いが、勿論デメリットもある。
デメリットは、心魔陣で実体化した装備は元のモノより性能が落ちる+実体化に心を消費し続ける。
俺的なあまりデメリットには感じないが、そこの所は使用してみない事には分からない。
装備を決め、最後にステータス振りをする。
このゲームでは一つのステータスに色々な効果があるらしい。
STRは筋力の他に物理に補正があったり、DEXには器用の他に技量の補正がある。
その為、絶対に自分のスタイルに合わないであろうものにも最低限ステータスを振っていた方が良いそうだ。
とりあえず、種族の下降補正で伸びる事は無いVITを除く全ステータスにある程度振り、残りをSH(心)とLUKに全て振る。
「これでよし!……なかなか普通とは言い難いモノになったな。」
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ネーム「ルナライト」Lv1
職業:[従魔使い]Lv1
ステータス
[HP]:20
[MP]:20
[SH]:30
[STR]:5
[VIT]:1
[INT]:10
[DEX]:9
[AGI]:10
[LUK]:16
スキル
≪心魔陣≫≪従魔術≫
装備
武具:[心魔陣:初心者用の杖(実体化中)]
頭;なし
胴:[初心者用のローブ]
腰:[初心者用のズボン]
腕:[心魔陣:登録陣]
足:[初心者用のブーツ]
アクセサリー:なし
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男にしては少し長い黒と金色の髪、少し強い琥珀色の瞳のちょいイケメン。
現実と同じ細めの筋肉質の少し小さい体。
何の変哲もないローブから見え隠れしている目元から体のいたる所にある黒い線の入れ墨。
手のひらには入れ墨みから続き、何かしらの文字で出来た陣がある。
ステータスはLUKとSH振りの幸運心魔。
これが俺のアバターとなる。
実際に作成が完了してみると、思った以上に入れ墨が目立っているのが少し気になる。
変に目立たないと良いが……。
『アバター作成を完了しました!それではチュートリアルに移ります!
こちらの扉にお進みください!』
目の前に現れた扉のドアノブを持ち、どのようなモノか好奇心と楽しみを胸に抱く。
「神ゲーたる一端を味合わせてもらうぞ、『ファスクロ』!」
ワクワクとドキドキを以って、扉をくぐる。
因みに主人公は少しイケメンと自分で言ってますが、どちらかと女顔。女性基準で言うと結構な美人。