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別れてください


 会長の色っぽい姿に興奮するかと思いきや、すっかり萎えてしまった俺は本屋に寄る事なく家に帰る。


 家に着くとまだ昼前だと言うのに、栞の靴が玄関に置いてあった。


 なんだろうか? 具合でも悪くなったのか? 早すぎる帰宅に心配しつつリビングに入ると、ソファーに座り膝を抱えわかりやすく落ち込んでいる栞がいた。


 カーテンを締め切り、薄暗い部屋でテレビも付けず座っている妹。


「……えっと、もう帰って来たのか?」


「………………うん」

 長い沈黙に末にようやく答える妹、一瞬無視されるのかと思ってしまう。

 普通の兄妹ならば、機嫌の悪い時兄の質問を無視する妹もいるだろうが、栞は俺に対して絶対にそんな事はしない。

 でも、栞からは何も答えたく無いという気持ちが伝わってくる。


 俺が何かしてしまったのか? そう考えるも思い付く事は無い。

 エッチな本も結局買わなかったし……。


「えっと、何か飲むか?」

 とはいえ、このままってわけにもいかず、俺は栞にそう言うと栞はブンブンと2度首を振った。


「そか……」

 それにしても一体どうしてしまったのか? 思えばここ数日妹の様子がちょっとおかしかった。

 だけど霊にとりつかれた様子は無い……。


 だから今日は友達と気晴らしに行って、いつもの妹に、元気な妹に戻って欲しかったんが……。


 こういう時、友達と何かあったのか? 喧嘩でもしたのか? って普通なら思うのだが、妹に限ってそれは無いと断言出来る。

 まるで相手の感情を、心を読み取り、そこから二手三手先を考え対処出来る超絶コミュ力を持つ妹に友達と喧嘩なんて有り得ない。


 つまり妹が悩み落ち込む事は自分の事だけって事になる。


 頭が良すぎて先の先を考えてしまうので要らぬ心配を背負い込むちょっと面倒な妹。


 俺は栞の隣に座ると、頭をポンポンと軽く叩く。

 いつもならこれで少しは元気になる、でも今日は違った。


 

「お兄ちゃん……今日……どこ行ってたの?」

 妹は俺を見ず消え入る様な声でそう聞いてくる。


「え? えっと……ほ、本屋に」


「会長さんとお茶してた……」


「あ、そ、そうなんだよ、本屋に行こうとしたら捕まって連れて行かれてさあ、いや参ったよ」


「嬉しそうに会長の胸見てた」


「そ、そんな事……って、何で知ってるんだ?」

 

「麻紗美ちゃんともクラスでイチャイチャして、美智瑠ちゃんとは裏庭でイチャイチャして……先生とは相談室でイチャイチャして、会長とは喫茶店でイチャイチャして……」

 

「し、してねえ! って、栞……お前」


「そうよ……私はお兄ちゃんのストーカーなの……何年も前からずっとお兄ちゃんを見続けて来た、そっと影から……今も」


「いや、ずっとって……」


「嫌いになろうって……ずっとそう思って見続けて来た、でも駄目だった……どんどん好きになっていっちゃった、もうどうしようもないくらいに……」


「栞?」

 栞はそう言うとようやく顔を上げ俺を見つめる。

 そして、栞の美しく綺麗な顔は俺を見るなり激しく歪んだ。

 同時に大きな瞳から滝の如く涙が溢れ出す。


「う、うえええええええええん、ふええええええええええん」

 更には大声を上げ、幼子の様に泣き始める。


「おい、栞? おい!」

 

「ごべん、ごべんなざいいいい」

 

「おい、大丈夫だってストーカー行為なんて怒って無いから、俺だって気になる女の人の事探したりした事だって」

 

「ち、ちがうの、ちがうの……」


「違うって?」


「そうじゃない、そうじゃないの、うえええええええええええん」

 このままでは脱水症状になってしまうのでは? と思ってしまう程に激しく泣きじゃくる妹。

 泣かせたくない、泣いてる女の子を見るのは辛い、忍びない。

 ましてや相手は妹、俺の最愛の家族。


 妹は俺の事を好きだって言ってくれた、俺だってそうだ……妹の事が好きで好きでどうしようもない。

 たとえそれが違う感情だとしても、愛するって気持ちは痛い程わかる。

 そんな妹が目の前で泣いている。

 俺は兄として、なんとかしたい。


「言ってごらん、大丈夫だから」

 俺は隣に座る妹をそっと抱き締めた。

 泣き止むまで、落ち着くまでずっとずっと抱き締め続ける。


 そしてどれくらいの時間が経ったのだろうか……妹はようやく泣き止んだ。


 俺はそっと妹を離した。


「あーーあ、ひどい顔だなあ、美人が台無しだよ」


「う、ひっく、うぐ……」

 妹は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔で俺を見つめる。

 俺はそんな愛くるしい妹を見て微笑んだ。


「どうじで、どうじで、お兄ちゃんは、ぞんなにやざじいの」

 

「どうしてって言われても」

 そんな自覚は無い、むしろ俺はわがままだって思ってる。

 自分のやりたいようにしているだけ、だから友達がいな……少ない。


「……」

 妹は立ち上がると俺から目線を外して俯いた。

 そして、顔を上げ姿勢を正すと真剣な眼差しで俺を見つめ言った。


「お兄ちゃん……私と……別れて下さい」

 

今月までにあと4万文字

誰かやる気スイッチを押して下さい(´・ω・`)

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     処女作『妹に突然』の完全改稿版を書きました         
  超絶コミュ力の妹と陰キャの俺、そんな妹に突然告白され、俺の高校生活がとんでもない事になった。           
  宜しくお願いします。(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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